第9話  フレイドル家での日々が始まった

母様が、銀の森へ行くと私は、フレイドル家の屋敷にいる三人の従兄妹たちと暮らすことになった。

……父様のお兄様にあたるエル・ダール伯父様は、すでに亡くなっていて、伯母様は、身分が低いとか言われて実家の方へ返されたそうなの。


初日の朝から、五の刻起床と共に、朝の礼拝で聖典を読まされたわ。

それが終わったら、みんなで裏山の泉で水汲みをさせられた。これが、三往復。


「桶を底につけるんじゃないよ。泉が濁ったら、台無しになるからね」


<エリサ、水汲みは嫌か?>


二往復目で、息の上がってる私を見て、右肩にいる泉の主が言った。


「そりゃ、やらなくて良いならやらないわよ!! 意味不明でしょう? こんなこと!」


私が、泉の主と話してたら、ミジアに気付かれてしまった。


「何を話しているんだい? エリサ」


「あのね、望むなら明日から屋敷の水瓶全部満タンにしてくれるって泉の主が言ってるわ」


「お前の水の精霊は、この泉の主だからな。お前の望みなら叶えてくれるだろう。だが水は、お前だけのものではない。生きるための必需品だ。苦労して得てこそ、有り難さが分かるというもの。

お前のように、なんでも精霊に頼って楽することばかり覚えるのは、良いのかな?」


うぅ!! 早速、説教が飛んできたわ。


「エリサ、お前には忍耐と体力がない!

午前中は、古代レトア語の聖典が読めるように特訓だよ」


「古代レトア語は、何となく読めるわ。

別に難しいものでもないもの」


ミジアは、呆れ返っていた。


「やっぱり、お前には少し集団生活をさせた方が良さそうだね」


私は、思い切りあかんべーをした。

同時に、ゲンコツが飛んできた。


「「痛いわ~~!!」」


「反抗は許さないからね! 他の従兄妹たちと同じ生活をするんだ」


あくまでも、ミジアは上から目線で言った。


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