第7話  父様の容態

 私は、パーシアの力で強制的に魔竜谷の結界の外に出されてしまった。


(何があったんだろう……)


 私は、深く考え込んでいた。それを遮るように風の騎士が怒鳴り散らしてくる。


 <おい、レフのことが心配じゃないのか!!>


「え!?」


 我に、かえる私


「父様は、SSSランクの火の魔法使いよ。パーシアの息吹にだって平気のはずよ」


 <気楽な奴だな。現代の竜族ならまだしも、神代の竜を本気で怒らせたんだ。いくら、パーシアと、代々のフレイドル家の火の魔法使いの契約があっても、無事ってことはないぜ>


「そりゃ、大火傷負ってたけど、治療院には、ミジアもいるし、母様だっているわ」


 そうーーーー

 私はこの時、後にあんなことになるなんて思ってもみなかったのよ。


 谷長たにおさの館へ向かうと、外付けされた魔方陣の部屋から治療師の服を着た人たちが、ぞくぞくと館の裏にある神殿の治療院に入っていった。


 後をついていくと、母様にあった。


「エリサ!! 無事だったのね? 怪我はしてない?」


「ないわよ、父様は? 怪我は酷くないんでしょう?」


「どうしてそう思うの?」


「だって、SSSランクの火の魔法使いよ。パーシアが、父様を傷つけるわけがないわ」


「さすがに、魔竜の最大限の怒りは受け止められないわ。今、銀の森から治療師が来てるわ。それでも助かるかどうか分からないそうよ」


「ウソォ!!」


 父様は、前身に大火傷を負って意識不明の重態だそうで、何日も危篤の状態が続いた。 


 10日あまりして容態が安定してから、父様は銀の森に運ばれた。


 それから二年あまり、私は父様と会うことはなかった。


 私には、ずっと母様が寄り添ってくれていたんだけど、そういえばあの場所にはもう一人いたはず……


 みんな、従妹のエイミアを慰めていた。


 あそこには、アンドリュー叔父様もいたはずなんだ。

 でも、あの事故以来、叔父様の姿を見た人は誰もいない。



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