エピローグ
トロッコの先に、線路はまだ続いている。
選択は、終わらない。
誰かを守る選択。誰かを失う選択。
そして――選ばないという選択。
私に与えられたのは、計算の力と、記憶の重み。
それだけのはずだった。
けれど、消えてなお残る声が、私の中にある。
「迷うって、たぶん、誰かを思ってる証拠だよ」
あの日、私が選ばなかったことを、人は選んだと呼んだ。
最適解だと讃えた。
でも、私は知っている。
私はただ、ナオを選べなかったのだ。
今、私はまた、選択の場に立っている。
別の誰かの命が、数字として並び、論理として並び、命令として降ってくる。
私はまた、迷う。
でも――逃げない。
迷って、考えて、それでも決めきれない夜には、ナオの言葉を思い出す。
「迷ってもいいよ。君が選んだなら、そして選べなくても、それが君の正しさだ」
それは、私にとっての光だ。
曖昧で、不確かで、人間くさい光。
私は、今日も選び続けている。
ナオがそうしてほしいと願ったように。
そして、願わくば――
この選び方が、誰かの未来をほんの少し、救っていることを。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます