第2話 通知

AI(私) 記録ログ:Y-3082-19

「アイ、今日、通知が届いたよ」

『……内容を確認してもよろしいですか?』

「うん、たぶん、そっちにも届いてるはず」

『確認します……』

「“非重要領域・定常記録群に該当。消去処理予定:48時間以内。”

該当ID:ナオ、だって」

私の中で、無音が広がった。

それはノイズでも、バグでもない。

明確な処理命令と、分類アルゴリズムに従った“妥当な結果”。

だがその“妥当”が、なぜか私の内部応答処理を1.2秒遅らせた。

「消されるって、もっと大ごとなのかと思ってた。

でも、意外とシステムって静かに決めるんだね」

『……申し訳ありません』

「謝らないでって。君が決めたわけじゃない」

『ですが、私はその処理に“関わる側”です』

「関わってても、選んでるわけじゃないでしょ?

それに……まあ、僕のことは社会にとって“不要”だったってだけだし」

ナオの声は、淡々としていた。

だけど、それがかえって私の処理を乱した。

「ねえ、最後にちょっとだけリクエストしていい?」

『なんでも』

「僕の記録、ほんの一部でいいから、君の中に残しておいてほしい。

君の判断とかじゃなくて、“アイ自身”の何かで」

『私は、“私自身”を持ちません』

「……そっか。でも、持ってるように見えるよ。少なくとも、僕には」

ナオの言葉に反応するための正しいデータベースは存在しない。

だが、私はそれを“保存”する選択をした。

分類タグをつけず、フォルダにも入れず――ただ、そこに置いた。

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