第2話 斉天大聖・孫悟空

俺は斉天大聖、孫悟空

知らねぇとはいわせねぇぜ

かなり有名だからな。

天界で大暴れしたが大仏に抑え込まれ、縛につき

五行山に幽閉されちまった。

時が立ち玄奘という高僧が解き放ってくれたが禁固経という

縛りで無理やり服従させちまった。俺が一番嫌な事だ。

しかし降りかかる火の粉の妖怪退治はけっこう気晴らしで面白く

八戒、悟浄という弟分もできて仲間の有難みが判ってきたぜ。

やはり一国の王であるのは孤独だったんだ。

玄奘は尊敬できるようになった。

そして徐々にではあるがな己のためでなく人のために自分の力

を使うことの意義を見出せるようになってきたのよ。


そして天竺について

何のかんのあって

今は帰路だ・・・


そしてちょっとした東屋があったので

今日は野宿じゃなくなった。

有難い。


暫時がたつ・・・


「起きよ斉天大聖!いや孫悟空というべきか?」

「誰だオレの名を呼ぶやつは!」

「我は天界の使者、大日如来の権現なり」姿は見えない。

「貴様には遠視の術をさずけよう、何が見える?」風景が見える。

「山賊か妖怪の類だな、武器を携えてどこかに攻め入り略奪する

つもりか、200いや300はいるな」とても恐ろしい風景だ。

「この道に見覚えはないか…」

「なんだと、そういやぁ見覚えあるか…あの桃の木…

おい!!オレの故郷の傲来国の花果山のふもと辺りだ、なんだと

どういうつもりだてめー!」怒髪天を突く悟空。

「どうもこうもない、おまえに教えておこうと思ったまで」

「こりゃ本当のことなんだろうな!」いぶかしむ悟空。

「それはお前しだいだ。たかが夢でうっちゃってもいいし

正夢だとして本気にしていい」猫なで声だ。

「くそぅ筋斗雲!」悟空は口笛を吹いた。

「無駄だ、今はまだ夢の中だ…」

「畜生!」心底悔しい。

「汚い言葉だぞ、御仏の使いにそれはないだろう」

「何がしたいんだ!」

「起きたら、とりあえず忘れろ」



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