幼馴染の2人新婚編
華子
第1話 新婚の2人
新婚当時 穣司と恵梨奈の様子、新婚旅行 出発
ずっと片想いしていた幼馴染
中村 恵梨奈にプロポーズをした狼人間の末裔
桜木 穣司。
去年12月末、2人は晴れて夫婦になった。
そこから早3ヶ月、老健「あさがお」
恵梨奈の希望によりケアマネジャーの肩書は旧姓のまま
「中村 恵梨奈」として介護チームのリーダーとして、
穣司は介護福祉士として日勤、夜勤とも忙しい日々を送っている。
休憩中の穣司と同期入局の理学療法士 松山 孝太が食堂で休憩中、こんな話をしていた。
孝太
「穣司、3ヶ月経つけど新婚生活どう?
(穣司、相変わらず山盛りのご飯 食べてるなー。
だからあんなに筋肉付くんだ…羨ましい…)」
穣司
「ああ、まあ順調だよ。
(孝太って少食だよな、腹減らないのかな…)」
話すことと思う事は多少違えど孝太は新婚の穣司が気になってしょうがない。
孝太
「お互い、仕事辞めなかったもんな、ぶっちゃけ…すれ違いとか、マンネリ化とかしない?
…。俺実は高校、大学と付き合っていた元カノ、それが原因で別れてる…
葵ちゃんとは…そうはなりたくなくて…」
穣司と孝太の同期入局の言語聴覚士、関本 葵は現在は孝太の恋人でもある。
穣司
「そうなの? マンネリ化?
ん~~お互い忙しいからこそ、マンネリしないのかも…」
孝太
「と言いますと…」
穣司
「正直な話、俺が夜勤の日、恵梨奈さんとは朝会わないで夜にやっと家で会えるみたいな日が結構あるんだよ。
逆もある、朝一緒に朝ごはん食べて、恵梨奈さんは夜遅くまで対応して夜帰宅時間に会って俺が顔見て先に寝ることも。
だからこそ、休日や時間があった時には一緒に楽しめるんだ。
最近だと公園散歩、あとはバスケ観戦かな…」
孝太
「ぶっちゃけ…それ、月何回くらい?」
穣司
「ん~~月5回くらい」
孝太
「うえっ少ねぇっ!逆に心配になるっ」
穣司
「えっ?多いと思ったけど少ないの?」
孝太
「ぶっちゃけ…そんなに少ないと浮気疑われたりは…?
俺、元カノには浮気なんてしてないのにかなり疑れた…。
葵ちゃんにはそれ防止するのに、毎日スマホ見せたり、毎日葵ちゃんの体調を気にかけるようにはしてる。
葵ちゃんは毎日はしなくて良いとは言ってくれているけど…」
穣司
「恵梨奈さん俺よりも忙しいし、浮気疑うなんて無いって!
俺は1人の時間は大体ジムで筋トレ、あとは家の事かな。最近料理と洗濯にハマってる。
やるのは楽しいんだけど、あと片付けが苦手で注意はされまくって時間はかかるけどね…。
恵梨奈さんは忙しいからしっかり休んでほしいんだ。」
孝太
「うっは〜ストイックだな…。
あっ時間だ、そろそろ戻ろうか。」
穣司
「うん、ごちそうさまでした〜」
食堂職員
「は〜い ありがとうね〜」
すれ違いで恵梨奈と葵が食堂へ
恵梨奈&葵
「あっお疲れ〜」
穣司&孝太
「お疲れ様〜」
恵梨奈
「あっ松山くん、14時半のリハ会議前にドクターが少しお話したいみたいだから、顔だして欲しいって。
桜木くんは来週入所のショートステイの利用者さんのケア計画表をまとめておいてね。」
穣司&孝太
「はい、承知しましたっ!
(相変わらずキレッキレ…)」
背筋が伸びる二人。
食堂の食事を持ち、テーブルに座る恵梨奈と葵
葵
「恵梨奈さん、ぶっちゃけ…穣司くんとは今どんなカンジですか?
(うっはぁ…恵梨奈さん、ご飯大盛り〜っ
それなのに全然太らないからホントに羨ましい…)」
恵梨奈
「えっ?あぁ…普通かな。
(葵ちゃん、ご飯少ない?夜お腹空かないのかな?ちゃんと食べてるのか心配になる…。
新潟にいる文男さん(穣司祖父)から結構な量のお米貰うから今度お裾分けしようかな…)」
この2人も先ほどの2人と全く同じ質問と考え事をしている。
葵
「穣司くん…愛が重たいとかありません?
孝太くん…私の事結構な頻度、気にかけてくれる…いや、かけ過ぎな位で…」
恵梨奈
「まぁ、葵ちゃんの事を大切にしてくれているんだね。
ただ逆に放っておかれるのも寂しいよね。
そのバランスが難しい…
ん~~重たいって感じる事…たしかにあるかも…」
葵
「えっ?何ですっ?」
恵梨奈
「私の方が忙しいから、少し寂しい想いさせてないかな?我慢させてないかな?無茶させてないかな?って思う事がある。」
葵
「と言いますと?」
恵梨奈
「私が夜遅くに帰ってきても、穣司は私の帰宅時間まで寝ないで起きてる。
ほぼ毎食夕食は作ってくれる。
私の顔見て少しお話したら彼は寝る。
次の日私が休みの日は穣司は仕事の有無関係なく…私の為に時間作ってくれているけど…
逆の立場だったら私はココまで尽くせないかな…。」
葵
「あ〜なるほど…無茶させてないか、尽くさせてないかの心配か…」
恵梨奈
「もちろん感謝はしてるし、それは伝えているよ。
ただもう少し穣司は、私にもっとワガママを言っても良い気もする。ちゃんとお話しようかな。」
葵
「そうなんですねぇー私達も話し合いしてみるかな〜」
恵梨奈、こうは言ったものの実は穣司が子供時代からの「事なかれ主義」がかなり引っかかっている。
穣司は小学生時代はいじめを受けており、穣司をイジメた子供は何故か恵梨奈から毎回強烈なお仕置きを食らう。
少女時代の恵梨奈は今も昔も変わらず弱いものイジメが大嫌いだ。
でも反撃しない、オオゴトにしない穣司にも嫌気がさしていた。
要は弱いものイジメも、弱いままのいじめられっ子も大嫌いだった。
恵梨奈は穣司にメッセージを送った。
恵梨奈
「明日休みだよね。穣司、夜何かしたい事ある?」
穣司
「特にないかな…恵梨奈さんは仕事だよね。」
恵梨奈
「そうだけど、ホントに?
(いや、特にないかな…が1番困るっ)」
穣司
「うん。恵梨奈さんはある?あるなら付き合うよ。俺明日休みだし」
恵梨奈
「…。
(質問返しされた…。いつものパターン…)
無いよ。今日は早く帰れるから。」
穣司
「了解、利用者さんのケアの時間だから行くね。」
恵梨奈
「…。モヤモヤする…今日は半月か…
奥の手、やってみるか…」
2人の新居は恵梨奈が以前住んでいたアパートの近く、10階建ての鉄筋コンクリート作りの中古マンションの4階、将来も見据えて3LDKの広めな部屋に引っ越した。
駅からは離れたが、施設からは近くなった。
恵梨奈は自身が一人暮らししていたアパートを通り過ぎるたびに穣司との最初の思い出を反芻する。
恵梨奈
「あの日から、私達の関係は始まったんだ…」
思い出に浸りながら19時半頃帰宅した恵梨奈
穣司は料理に夢中で今日も夕食を振舞ってくれる。
ただ相変わらずキッチンの片付けが出来ていない…
恵梨奈
「ただいま〜
あーもうっ穣司!キッチンの片付け、ちゃんとやっ…
あっいや…いい、あとでやる…
いただきます…」
穣司
「あっごめんごめんっ え?」
穣司はまた叱られると思ったが、いつもの檄が飛んでこなかった事に違和感。
夕食を完食し片付けする恵梨奈。
穣司
「あっ恵梨奈さん!疲れているなら、先にお風呂どうぞ。俺は明日休みだし…あとで大丈…」
恵梨奈
「穣司っ!私の事はいい!
あなたはホントに子供の時から変わらないんだから!
いつもさ、そうやって自分の気持ちに蓋して、
自分のしたいことを後回しにしてさ…
もっと自分を労りなよ!自分を大切にしてよ!!」
穣司
「えっ?」
呆気にとられた穣司、叱られたのも束の間恵梨奈は穣司に近づき抱きしめる。
恵梨奈
「んっ!」
穣司にキスする恵梨奈。
穣司
「んっ…えっ…(不意打ちキス…)」
さっきまで自分を叱っていた恵梨奈がキス…
穣司は少しパニックになりつつも…
なんとなく察し穣司も彼女を抱きしめ優しいキスを返した。
穣司
「あぁ…そうだったね…恵梨奈さん…ごめん。
少し頑張りすぎちゃって…恵梨奈さんを喜ばせたくて、ラクさせたくて…」
穣司は優しく恵梨奈を抱きしめる。
恵梨奈
「少しじゃないよ…がんばりすぎ…」
穣司
「ふふっ…恵梨奈さん…一緒にお風呂入ろ…
俺、癒されたい…。恵梨奈さんの事も…癒したい。」
恵梨奈
「ふふっ素直でよろしい…」
湯船に浸かる2人。
恵梨奈は穣司の胸に、もたれかかってる。
恵梨奈
「穣司…あなたがそうしたい時には…
今日みたいにして欲しい…しっかり伝えて欲しい…
もっとワガママ言ってもいいんだから…」
穣司
「ありがとう…でもそれで恵梨奈さんが…
無理してない?疲れない?」
恵梨奈
「疲れていたら、しっかり伝えるよ。
疲れていても今みたいにさ、スキンシップして…癒してほしい日もある…」
穣司
「ふふっ…じゃあこの後も…
だい…ぶへっ!」
穣司の頬を両手で掴む恵梨奈。
恵梨奈
「まったく…イチイチ許可取らんでいいっ」
穣司
「ぶへっ はひ…ふふ…」
お風呂あがりに着替えベッドに移動した2人。
穣司は上を脱ぎ恵梨奈を抱き寄せて優しいキスをするが…恵梨奈は深くキスし表情はかなり蕩けている…。
更に深いキスをする恵梨奈。
恵梨奈
「はぁ…穣司…。もっと…んっ…」
穣司
「ちょっと…そんな目で見られたら…んっ…
恵梨奈さ…やばい…
興奮しきた…
グルッ…ウォォアッーッ!…ウゥォ……。
…。
フゥ…。
恵梨奈……。」
体を震わせ漆黒の狼人間に変貌した穣司。
狼人間の時は人間よりも性格や人格が強めになる。恵梨奈の事も呼び捨てだ。
そう恵梨奈の奥の手。
穣司を意図的に興奮させ満月の週以外に狼人間にする事だった。
結婚後は狼人間の血の暴走もほぼ無くなり、狼人間と人間の状態をある程度コントロールできるようになった穣司。
意図的に刺激したり、穣司自身に興奮や高ぶりが起こらない限り満月の週以外は狼人間にならない。
しかし最近恵梨奈は物足りなさも感じていたのも事実。
たまにこうやって奥の手を使われ、操られている事に穣司は気づいている。
だがそういう突拍子もない事する恵梨奈も穣司は大好きだ。
穣司
「ふふっ…恵梨奈…まったく…
突然トリガーを外してくるから困ったもんだ…
ふぅ…恵梨奈…沢山癒して欲しいんだな…。」
照れながら頷く恵梨奈。
穣司は微笑み、恵梨奈を丁寧に抱き寄せて愛し始める。
狼人間の穣司のふかふかの体に優しく抱かれる恵梨奈は恍惚な表情を浮かべ嬉しそうだった。
丁寧に沢山愛し合った2人。
穣司は狼人間から人間に戻り恵梨奈を抱き寄せた。
穣司
「ふぅ…。今日は満月じゃないのに…はぁぁ…
俺興奮しすぎちゃったよ、もう。
恵梨奈さん…満足した?」
恵梨奈
「…。まだ…もっと欲しい…。」
穣司
「ふふっそう言うと思った…。おいで…」
人間の姿でも優しく抱きしめる穣司と求める恵梨奈。再び時間をかけて丁寧に深く愛し合った2人。
穣司は心地よい疲労感に浸る。
穣司
「癒やすつもりが…なんか俺が癒されているような……ふわぁ〜眠い…
恵梨奈さん…ごめん先に寝る…」
恵梨奈
「ふふっおやすみ…」
翌朝まで爆睡してしまった穣司。
時刻は9時過ぎ、恵梨奈は穣司を敢えて起こさずに仕事へ行った。
穣司
「あっやべぇ…寝すぎた…。
恵梨奈さん…仕事行ったんだな…
ん、メッセージだ…。」
恵梨奈
「朝ごはん作ったから食べてね。今日みたいにずっと寝てる日があっても良いから、たっぷり自分を労ってね。」
穣司
「ふふっ自分を労るか…確かにしてなかったな…朝ごはん食べて筋トレ行ったら少しゆっくりしよう。」
ジムで筋トレ終わりに駅の近くの旅行代理店のチラシが目に入った穣司。
中にはオススメの新婚旅行と書かれていたものも。
穣司
「新婚旅行…行きたいな。
この場所、すごい綺麗だし…実際見てみたいな…。きっと恵梨奈さんに似合う…
うん…提案してみようかな。」
その日の夜…恵梨奈は少しがっかりした様子で帰宅。
恵梨奈
「はぁ…ただいま…」
穣司
「おかえりなさい、あれ?どうしたの…」
恵梨奈
「職場で、来ちゃった…生理…またダメだったか…ごめん…」
穣司
「そっか…ああ…謝らないで…恵梨奈さんっ
(恵梨奈さん…結婚してから生理来るたびに酷く落ち込むな…)」
恵梨奈
「案外妊娠ってしないんだね…本格的に妊活した方が良いかな…はあ〜」
穣司
「もし、妊活したいなら俺は協力するよ…
ただ…恵梨奈さんが負担に思うなら…俺は勧めない。
その…確かに子供は欲しいけど…恵梨奈さんの事抱くのは…
恵梨奈さんを愛する為にしているというか…
俺が恵梨奈さんを…愛してるのを伝えるというか…コミュニケーションの一環というか…
あっ…俺何言ってんだ。」
恵梨奈
「ふふっ…ちゃんと意見、言えるじゃん穣司…
今ので良いんだよ。」
穣司
「あっそうかな、ははっ、晩御飯食べよ。」
夕食後、穣司は恵梨奈に新婚旅行の提案した。
恵梨奈
「えっ新婚旅行!?」
穣司
「どうかな…もちろん今すぐにじゃなくって良いから!
また施設では4月に新人さん入ってくるし教育期間や時期見てというか、恵梨奈さんはどう思う?
俺は…正直、行きたいな…休み確保出来る?」
恵梨奈
「嬉しい!私も行きたかった!
そういえば考えてなかったね!何処にしようか?」
穣司
「ここが良いな…。綺麗…あっ海外はダメかな…ベタかな?あっ、あくまでも候補ね…
国内でも全然大丈夫だから。」
恵梨奈
「えっ。ハワイ?
マジっ、全然ベタじゃないよ。
むしろ豪華なくらい!
予算は…うん、問題ない!
よし4月5月の人員の教育期間終わってから6月に1週間調整する!ハワイにしよう!
穣司はそれまでにパスポート作りにいこうね。」
穣司
「うん。はあ〜楽しみが増えた〜♪
よし仕事頑張ります!」
時は流れ…6月後半、日本は梅雨時期
2人は午前に勤務を終え、成田空港にいた。
時刻は夜6時
夜8時の夜行便でホノルルシティに行く2人。
今は軽く夕食中…
平日とはいえ成田空港の国際線ターミナルは出国する人が多くいる。
穣司
「ふぅ…ごちそうさまでした。
それにしてもやっぱり空港ってすごい…。
恵梨奈さんのお父さんをお見送りしたとき以来だ…。
恵梨奈さん、やっぱり留学した経験あるからめっちゃ慣れてるね、カッコいい。」
恵梨奈
「まあね。それでも海外は8年ぶりくらいかな。よしそろそろ行こう。
穣司、チェックインはあっちのカウンターだね。パスポート大丈夫?」
穣司
「う、うん!パスポート…ここ!」
穣司はスーツケースをガラガラ引き、恵梨奈は軽やかなワンピースでパスポートを手に颯爽と歩く。
カウンターで恵梨奈が英語で手続き。
恵梨奈
「We’re on our honeymoon, heading to Waikiki!」
訳 私達は新婚旅行でワイキキに向かいます。
スタッフ
「Congratulations! Enjoy Hawaii!」
訳 おめでとうございます ハワイ楽しんでね
レイの絵柄のステッカーを渡す。
穣司
「カングラ…?おめでとうみたいな事?」
恵梨奈
「おっ当たり!穣司、初フライト楽しみ?
大体行きは7時間くらいかな?映画見たり寝てれば案外すぐに着くよ。」
穣司
「7時間!?長っ!」
搭乗ゲートから見える飛行機を見た穣司。
穣司
「飛行機、でっけえ…!これ、どうやって飛ぶんだ…?」
恵梨奈
「ふふ、穣司かわいい。」
穣司
「かわいいって…」
飛行機内 エコノミークラス、窓側席に座る2人。しばらくして飛行機が離陸する。
穣司
「うお、雲の上…夜空がキレイ…。」
穣司シートベルトをガチガチに締め、緊張で背筋ピーン。
恵梨奈は慣れた手つきで機内エンタメシステムを操作しヘッドフォンを装着。
恵梨奈
「穣司、映画選ぶ?アクション?ロマンス?」
穣司
「アクション!でも…なんか揺れてないっ?
これ、落ちないよね…?」
恵梨奈
「大丈夫、揺れは普通よ。リラックスして。」
穣司の手を握る恵梨奈。
穣司
「う、うん…。
(うっはあ…恵梨奈さんの手、柔らかい…)」
離陸してしばらくしドリンクサービスが来た。
CAさんがカートを押して登場。
CA
「Hi ,How about a drinks,?」
訳 ドリンクはいかがですか?
恵梨奈
「Well....White wine, please. Chardonnay if you have it.」
訳 えっと…白ワインを、もしあればシャルドネを下さい
穣司
「んー…ジンジャーエール!プリーズ!
(これで通じた…よな?)」
ここでトラブル発生。
CAさんが慌ててドリンクを間違え、恵梨奈にジンジャーエールを、穣司に白ワインを渡してしまう。
穣司
「お、ジンジャーエール!キラキラだ…
ハワイ仕様かな?いただきます。」
いきなり三口分くらいガブッと飲む穣司。
穣司
「ん?
う、うわっ!なんか…頭クラクラする…
これ、ワイン?」
恵梨奈
「それたぶん私のワイン!CAさん間違えた!
あっ穣司、お酒弱いんだっけ?大丈夫?」
穣司
「うぐ…恵梨奈さん…お腹が…トイレ…」
穣司、慌ててトイレに駆け込む。
CAさん
「Oh no, I mixed up the drinks! Sir, are you okay?」
訳 あら、飲み物を間違えちゃいました!大丈夫ですか?
恵梨奈
「He’s fine, just… sensitive to alcohol. No worries!」
訳 彼は大丈夫ですよ、ただ…アルコールに弱いんです。ご心配なく。
CAさん
「I’m so sorry! I’ll bring extra ginger ale and snacks for him!」
訳 本当にごめんなさい!ジンジャーエールとおつまみを追加でお持ちします!
謝罪され無料でコナコーヒークッキーをサービスしてくれた。とんだ災難である。
飛行機内トイレ
穣司
「ううぇ…ヤバい…俺、酒弱すぎ…
恵梨奈さんにカッコ悪いとこ見られた…」
トイレから出てフラフラで席に戻る穣司。
恵梨奈
「うわっ顔真っ青!大丈夫?」
穣司
「ごめん、恵梨奈さん…カッコ悪いとこ見せちゃった…」
恵梨奈
「ふふ、カッコ悪いなんてないよ。
ほら、水飲んで寝なさい。」
穣司
「はい…。」
水を飲ませ、ブランケットをかける。
穣司、そのまま爆睡。
穣司
「ぐぅ~…恵梨奈さ…ん…ハワイ…」
恵梨奈
「ふふっ可愛い…ふわぁ…
そろそろ消灯時間だから寝るか…おやすみ…穣司。」
穣司の頬に軽くキスする恵梨奈。
約7時間後、飛行機がホノルル国際空港に着陸。
恵梨奈
「穣司、着いたよ!ハワイだよ!」
穣司
「う…ハワイ!?うわっすげぇーっ」
機内から降りる2人。
穣司
「うわ、空港もデカい!なんか…南国っぽい匂い!」
2人は入国審査カウンターに並ぶ。
恵梨奈はパスポートとESTA書類をサッと準備。
穣司はオドオド。
審査官
「Next!」
訳 次の方ー
穣司
「ハロー!マイネーム…ジョージ・サクラギ!
ハニムーン!ワイキキ!ラブリー…ビューティフルワイフ!
ベリー…ハッピー!アンダースタン?」
審査官
「…。Hahahaha, your enthusiasm is clear! Japanese people are fun.」
訳 ハハハ、熱意が伝わったよ!日本人って面白いね。
笑いながら恵梨奈に目をやる審査官。
審査官
「Hi,Ma’am, can you clarify?」
訳 やあ奥さん、もう少し詳しい説明できる?
恵梨奈
「Yeah,We’re on our honeymoon, staying in Waikiki for five days. Here’s our ESTA and hotel info.」
訳 ええ、私たちは新婚旅行で、ワイキキに5日間滞在する予定です。ESTAとホテルの情報はここにあります。
流暢に説明し書類を渡す恵梨奈。
審査官
「Perfect. Welcome to Hawaii, George and Erina! Enjoy your honeymoon!」
訳 完璧だね。ジョージとエリナ、ハワイへようこそ!新婚旅行を楽しんでね!」
スタンプをポンと押し、スムーズに通過。
穣司
「うお、通過した!(俺のジャパニーズイングリッシュ、ダサすぎた…安易にハワイ提案したの、ちょっと恥ずかしい…)」
恵梨奈
「ふふ、穣司の『ベリーハッピー』、熱意伝わってたよ!カッコよかった!」
穣司
「恵梨奈さん、優しい…」
税関でスーツケースを受け取る2人。
穣司
「よし、俺が持つ!」
筋肉フル稼働でスーツケースをガラガラ。
恵梨奈
「ふふっ頼もしいね!」
空港ロビーでハワイの暖かい風とレイを渡すスタッフに歓迎される。
穣司
「お〜 サンキューベリーマッチ!」
恵梨奈
「ふふっ…楽しい旅になりそう。」
2人は手を繋ぎ、ワイキキのホテルへ向かう。
ハワイ新婚旅行、2人らしいコミカルな幕開けだ。
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