UDON CODE:FLOWA -出汁に沈んだ国家機密-

@CODENAME-FLOWA

第1話 さぬきの騎士作戦編1

─────────────────────────

【お知らせ】小説家になろうにて、同時連載中です。

カクヨムでは、なろうの3話分を1話にまとめてあります。

─────────────────────────





任務開始を告げる通信は、やけにあっさりとしていた。




「FLOWA、こちらゼロ本部。任務コード:さぬきの騎士作戦。標的は某財閥の研究拠点。目標は“秘伝出汁文書”の保護。繰り返す——」




香川県まんのう町。


その山中には、誰も知らない“うどんの聖域”があった。


「おう、そっちは異常なし。問題ねぇな、BENI」


通信に乗る声は、隊長SAJIROサジロウのものだった。軽い口調とは裏腹に、その動きは手慣れたものだ。


「こちらも異常なしです、隊長。ですが、油断は禁物かと」


冷静に返すのはBENIベニ。UISFの実働部隊でも一目置かれる情報分析官。今回の任務ではSAJIROの補佐役として随行している。


「はいはい、お堅いことで。……んで、FLOWA。そっちはどうだ?」


潜入ルートの後方を進んでいた俺——新人諜報員FLOWAフロウアは短く応えた。


「問題なし。目視できる範囲、警戒は薄い。ルートクリアを確認」


「おーし、さすが情報屋のホープ。香川の山でも迷わねぇな」


「……地形把握は任務基本行動に過ぎません」


「ちょいちょい冷てぇな、フロウアくんはよォ」


SAJIROは愉快そうに笑いながらも、手元の携行端末でマップを確認している。


BENIがその横で淡々と補足する。


「目標施設まであと800メートル。財閥の研究拠点はこの先の谷間にあります」


「んじゃ、行くか——」


このとき、俺はまだ知らなかった。


この任務の奥に潜む、“うどん”を巡る黒い企みと、俺自身の「諜報員としての覚悟」を問われることになるとは——。


──────────────────────────────


SAJIROは軽くM4を持ち上げると、グリップを握る手にわずかに力を込めた。


CQC仕様の短銃身モデル。サプレッサーはQDC 556、アングルフォアグリップもピストルグリップもマグプル製で統一。ストックはUBR GEN2。施設内を這いずり回るには、まさに実戦向きのカスタムだった。


「……まんのう町の山奥に、これだけの防備か。さすがは某財閥。金のかけ方が違うぜ」


夜の闇に溶けるように、巧妙に偽装された入口があった。


BENIは自身のM4を無言で構え直す。


標準的なカービンレングスの銃身に、実戦経験から選び抜かれたアタッチメントが光る。


「……ホントにうどん絡みばっかだな、ウチの任務は」


照準器はEOTech製ホロサイトに倍率切替式ブースターを追加。状況に応じて瞬時に倍率を切り替えられる構成だ。近距離から中距離まで、幅広い対応力を見せる仕様。サプレッサーはSAJIROと同様、QDC 556を選択。ストックは精密射撃時の安定性を重視したPRS GEN3。


「だけど——笑えない現場も多い」


そして——俺、FLOWAフロウア。


新人諜報員とはいえ、この現場に立つ以上、手ぶらではいられない。


「……冷静に。状況観測と情報支援が俺の役割だ」


俺が手にするのはAR-15。


WAVE製サプレッサーで発射音を極限まで抑え、屋内外問わずに対応できるVUDU 1-6倍ライフルスコープを搭載。


フロントにはバイポッドフォアグリップ。瞬時に展開すれば安定した伏射も可能。


ストックはBENIと同型のPRS GEN3。細かな調整が利き、長時間の観測や射撃にも耐えられる。


「……BENI、FLOWA。各自、装備チェックは完了か?」


SAJIROの問いかけに、二人の声が重なる。


「ああ、問題なしだ。」


「派手に撃つなよ、新人さん」


からかうように、SAJIROは片目を細めた。


──────────────────────────────


夜のまんのう町山間部。


月は薄雲に隠れ、星の光も頼りない。


湿った夜風が静かに谷を吹き抜けていた。


俺たち——UISF・情報潜入工作部隊は、谷間の斜面を這うように降りていく。


目指すは某財閥が秘匿する研究拠点——通称「製麺所Xエックス」


名前だけ聞けば冗談のようだが、実態は洒落にならない。


うどん文化を牛耳ろうと目論む某財閥が、水資源や小麦、さらには出汁素材まで研究・開発・独占するために築いた、香川の闇そのもの。


「……見えてきたな」


先頭を行くSAJIROが、低く呟いた。



木々の隙間から薄ぼんやり覗く、人工的な構造物。


しかしそれは、外観だけなら完全に「廃れた製麺工場」にしか見えない。


外壁はわざと古びたコンクリートで覆われ、所々に落書きや劣化の痕跡まで再現されている。夜目には完全に山の廃墟。


「偽装レベル、相当高いですね……これ、上空偵察でも引っかかりませんよ」


BENIが苦々しく呟く。彼女の端末には、赤外線・熱源探知・音響センサーによるデータが表示されていた。


「でもよォ……この辺りの廃工場にしちゃ、設備が妙に生きてる」


SAJIROの視線の先——


屋外灯は一切ないが、わずかに光る監視カメラの赤外線ランプ。


そして、風に揺れる雑草の間に不自然に整備された排水溝のフタ。


「……排水ルート、稼働してるな。内部は稼働中と見て間違いない」


俺は双眼鏡越しに、建物の周囲を確認する。


カメラは旧式と最新型が混在。明らかに“わざと”死角を作ってある。


だが、そういう死角ほど危険というのが諜報の常識だ。


「クセのある偽装だ。あの財閥の趣味か、あるいは……罠か」


BENIが冷静に分析する。


SAJIROはにやりと笑って肩をすくめた。


「さすが“うどん財閥”だぜ。うどん屋のクセにこういうとこだけやたら本気。まったく、香川の闇は奥が深ぇよなァ?」


俺は、静かに答えた。


「……だからこそ、我々の仕事がある」


谷に響くのは、夜虫の声と、俺たちのわずかな足音だけ。


“製麺所X”——その偽装廃工場の内部へ。


今、UISF・情報潜入工作部隊は接近する——。


 ——赤外線のラインが、淡い赤色の筋として床面を横切っている。


 BENIは一度その前で膝をつき、手早く計測器を操作した。


 「……前方20。IRセンサー。トリップワイヤ付き。感知タイミングは——3秒間隔」


 耳元の通信に、低く短い指示が返ってくる。


 「了解。死角を作れ。BENI。FLOWA、ドローンの動きは?」


 廃工場の外壁をなぞるように巡回する無人偵察ドローン。FLOWAは携行端末に映し出された航路データを凝視し、即座に応答する。


 「北東ルートに逸れた。こっちへの戻りは——約90秒後」


 「……その間に通す。準備する」


 BENIの指先が小型デバイスに触れる。スイッチが入ると、空気がわずかに震えた。局所的な電磁ノイズ。センサーの閾値しきいちに触れないギリギリを突いた“歪み”が、監視システムに干渉を始める。



 「——今だ」



 SAJIROのシルエットがまず闇に溶け、その後をFLOWAが続く。


 二人は赤外線のわずかな隙間を読んで足を運び、床面すれすれを張るレーザーを腰を沈めてかわす。ドローンの視界外——わずか数秒の静寂と闇。


 工場入口手前。全員が一息だけ、浅く息を吐いた。


 「……まんのうの山でこれかよ。やりすぎだろ」


 鉄骨の骨組みが錆び、風に軋む音だけが支配する空間。だが、その沈黙こそが異様だった。


 本来ならもっと雑然とした、廃墟特有の「崩れた生活感」があって然るべき——それが、無い。


 「気づいたか。意図的に“死角”を作ってる配置だ。あいつら、隠してるな」


 指示を受けたBENIが入口に取り付く。指紋と静脈認証のデュアルロック——それを見て、少しだけ口元が緩んだ。


 「物理式、か。……古臭いが、突破は可能だ」


 指先に薄膜状のツールを装着する。体温と湿度を再現する偽造パターン。そして静脈認証には、指先から微弱な電流を流し込み、疑似パルスを生成。機械側のチェックを欺く。


 カチリ、と微かに響いた解錠音。


 「……通る。FLOWA、次のセンサーまでの距離は?」


 携行端末を睨みながら、FLOWAは一歩前へ出る。


 「3メートル先。圧力センサーあり。安全ルートは——私が誘導します」


────────────────────────────────


言い終えるのと同時に、FLOWAは足元に視線を落とし、


わずかな埃の流れと、床に走る微細な段差を注視しながら慎重に歩を進めた。


靴底で床をそっとなぞるように動かし、わずかに沈む箇所を感知すると、迷いなく避ける。


一見すると古びた廃工場。


しかしその床は、"最新鋭のトラップ群が埋め込まれた“狩場”だった。


その存在を知る者だけが、音も立てず、無駄もなく、すり抜けることができる。


一歩。さらに一歩。


FLOWAが進んだその先には、埃の薄い一本のラインが静かに続いていた。


風が抜けたように不自然に掃けた道筋。


メンテナンスドローンの定期通行ライン──つまり、唯一の安全地帯。


「……このラインをトレースすれば、圧力センサーの干渉は最小限に抑えられます。慎重に。」


背後からSAJIROが低く唸った。


「お前、新人にしちゃ……いや、なんでもねぇ。ありがたく使わせてもらう。」


BENIもわずかに口元を緩め、無言でそのラインに足を重ねる。


息を殺し、影のように。


三人は静かに、そして着実に、工場内部の闇へと足を踏み入れていった。


だが、FLOWAの視線だけが──


一瞬だけ別の場所を捉えていた。


赤外線センサーの配置。圧力センサーの密度。


そして、微かに残る「不自然さ」。


……仕掛けの配置が、防衛ではなく“隠蔽”のためのものだとすれば──。


(——やはり、“秘伝出汁文書”がこの工場の内部に隠されている)


この仕掛けは、単なる迎撃装置ではない。


何かを「見せない」ために意図された配置。


FLOWAの情報処理脳が、その違和感を静かに警告していた。


FLOWAは、微かに目を細めた。


その瞳が、闇の奥を射抜くように静かに輝く。


情報処理と現場分析を武器とする新人諜報員の勘が、確信へと変わりつつあった。


「……この配置、やっぱり不自然です。」


呟くように言いながら、彼は携行端末を片手に、圧力センサーの敷設パターンをなぞる。


「床の反応板が多すぎる。“侵入防止”ってレベルじゃない。


これは……通路そのものを隠す意図がある配置です。」


BENIが小さく息を呑んだ。


「——隠し通路、か。」


「可能性は高いです。秘伝出汁文書……それがこの工場にあるなら、


“見せない仕掛け”の存在はむしろ、確かな手がかりになります。」


FLOWAはふっと、わずかに口角を上げた。


前進する。慎重に、しかし迷いなく。


端末に表示される安全ルートは、極限まで細く、曲がりくねっていた。


時に片足立ちでバランスを取り、わずかな接地面を探るような通過を求めてくる。


それでも──


「こっちです。……一歩、左へ寄って。次、段差あり。そこを越えたら──センサー圏外。」


BENIとSAJIROも、わずかな間も空けずに従った。


無駄口も、余計な音もない。ただ、静かに。影のように。


そして、通路の最奥へとたどり着く。


FLOWAの指先が、コンクリ壁のわずかな継ぎ目をなぞる。


「……ありました。隠し扉。」


その声に、二人の表情がわずかに引き締まった。


 隠し扉は、わずかな軋みもなく、音も立てずに開いた。


 ……静寂が、一気に空気を支配する。


 その先に続いていたのは、コンクリート打ちっぱなしの狭い階段。


 古い工場の外装とは明らかに異なる、冷たく無機質な空間だった。


 FLOWAは足元に視線を落としながら、わずかに眉をひそめて呟く。


 「……地下構造。ここまで隠すってことは……何かある。」


 BENIが低く答えた。


 「──地下に“本命”がある、ってことだな。」


 FLOWAは無言のまま、一歩、階段を踏みしめた。


 靴底が落とすはずのわずかな音さえ、異様なほどに反響する。


 まるで、侵入者の存在を壁が告げているかのようだった。


 「音、反響しすぎですね……」


 「敵がいないからこそ、かえって怖ぇな……」


 SAJIROの苦い声に、FLOWAは静かに頷く。


 だからこそ、彼らは足音を殺す。


 一段一段、慎重に。


 滑るように、影のように。


 進むにつれ、階段の様子が少しずつ変化していく。


 当初はざらついたコンクリ壁だったはずのものが、次第に人工的なパネルへと切り替わっていく。


 足音の反響も、自然な空間のそれではない。


 整った反射音が、どこか“造られた場所”であることを物語っていた。


 鉄筋、鋼材、そして最新素材の防音パネル。


 まるで──地上の工場そのものが、“カムフラージュ”だったかのように。


 「完全に……違う施設、ですね。」


 「わざわざ、地下に作った“別空間”か……」


 やがて、階段は尽きる。


 その先には、銀灰色の硬質なセキュリティドアが待ち構えていた。


 扉の中央部には、黒いスキャナーが静かに埋め込まれている。


 ──カードスキャン式。


 FLOWAは一歩近づき、瞬時にスキャナーの型番を視認すると、


 思考を加速させ、UISFのデータベースと照合を走らせた。


 「……カードスキャン型。おそらくID認証式です。」


 BENIが眉をひそめる。


 「……突破、可能か?」


 FLOWAは携行端末のインターフェースを起動させながら、わずかに目を細めた。


 「カードが無い以上、物理認証は無理……ですが──」


 その金色の瞳が、静かに光を宿す。


 「……この型、外見こそ汎用ですが、中身は旧S-C3シリーズの派生型。


 内部構造に“管理者用チャンネル”が残っている可能性があります。


 もしそうなら──端末コードから、隠し入力経路にアクセスできるはずです。」


 BENIとSAJIROが黙ってうなずく。


 選択肢は一つ。


 やるしかない。



────────────────────────────────



FLOWAの指先が、携行端末の仮想インターフェースを素早くスワイプする。


 無音の操作音が、スキャナー内部のプロトコル層を剥がすように流れていった。


 「──接続開始。ポートコード確認。……やはり、管理者用チャンネルが残ってますね」


 表示された内部構造は、見慣れた汎用型のようでいて、要所の設計が異なる。


 FLOWAは即座にそれを見抜き、残された“バックドア”にアクセスを開始する。


 「この形式、外部入力には対応してませんが……。


  本体側から逆指向で送信を受ける構造になってる。逆手に取れば──突破可能です」


 BENIとSAJIROは、緊張を顔に出さぬまま静かに後方を警戒している。


 この静寂すら、緊張の一部だ。


 「セキュリティプロトコル、通過……再認証要求ブロック……仮想ID投影、開始……」


 FLOWAの声は低く、淡々としていた。


 やがて、スキャナーの黒いパネルがわずかに脈打つように明滅を繰り返す。


 ──ピッ。


 音がした。


 それはカードを差し込む音ではない。認証が通った合図だった。


 「……通りました。開きます」


 FLOWAがそう言い終える前に、セキュリティドアが静かに、そして重々しく開いていく。


 内部には、ひんやりとした空気が流れ込んできた。


 それは地下の湿度ではなく、管理された温度と気圧の制御空間。


 完全に“稼働中の施設”──それがこの先にあるという証だった。


 「やっぱり、“ただの倉庫”じゃなかったな……」


 SAJIROが小さく呟く。


 「……ようやく中身を見れるな」


 BENIがわずかに肩を回し、無言でFLOWAに頷いた。


 FLOWAは頷き返し、スキャナーを一瞥する。


 「……侵入記録、書き換え済み。ログには“アクセス異常なし”と表示されるはずです」


 その徹底ぶりに、SAJIROが小さく笑った。


 「いや、マジで新人かよ、お前……」


 「諜報員の仕事は、“痕跡を残さず入ること”ですから」


 FLOWAの声音は静かだった。だがその言葉には、確かな自信があった。


 ──3人は、無言のまま扉の先へと歩みを進めた。


 待っているのは、地下に秘された“本命”。


 そして、“秘伝出汁文書”への確かな手がかり。


 冷たい空気を切り裂くように、3つの影が、静かに沈んでいく。



────────────────────────────────



 ドアが開いたその先──


 確かに“通路”があるはずだった。


 しかし、現れたのはコンクリート壁。


 何の装飾もない、ただの遮断面が、静かに行く手を塞いでいた。


 「……偽装、ですね」


 FLOWAが即座に見抜く。


 彼の視線は壁の継ぎ目ではなく、周囲の微細な空気の歪みに向けられていた。


 「可視範囲だけが“静止”してる。温度変化も、電磁ノイズも不自然です。


  ──電子偽装。パネル式の擬似壁です。」


 SAJIROが少し眉をしかめた。


 「……つまり、"見えてる壁"が嘘ってことかよ。」


 FLOWAは頷き、携行端末を起動。


 非接触センサーをかざすと、壁の一部が波紋のように揺れ、


 奥に**もうひとつの“本当の扉”**が現れた。


 「奥に“本命”が隠れてます。問題は……」


 彼は端末のセキュリティログを確認し、


 その扉に設置された特殊な読み取り装置を見つめる。


 「……“液体識別型 出汁認証センサー”。」


 BENIが思わず声を漏らす。


 「……まさか、ここでそれが出てくるとはな……」


 「UISF内部でも、使用例は一桁しか報告されてません。


  正規の“鰹出汁”と、それに含まれるアミノ酸・燻香成分・pHバランスを識別する、超高精度認証ギミックです。」


 「つまり、“うどん屋の味”で開けるってことかよ……」


 皮肉めいたSAJIROの声に、FLOWAは鞄の奥から


 一枚の小型パッチを取り出した。


 「対策はあります。UISF製、“フェイク鰹出汁パッチ”。」


 パッチは、体温で活性化する多層式の液体発生構造を持ち、


 表面には微細な濾過膜がある。


 中には、“調整済みフェイク出汁”が0.4mlだけ封入されていた。


 「本物の味じゃない。けれど、認証に必要な化学的要素は再現済み。


  用途は一度限り、誤差許容は0.05以内。失敗すれば、警報が走ります。」


 慎重に、呼吸を整えながら──


 FLOWAはパッチを装置の読み取り口に押し当てた。


 数秒の静寂。


 センサーの内部で、液体の成分解析が始まる。


 微かな音と、分析インジケーターが淡く点滅する。


 「成分確認中……燻香一致率、98.7%……」


 「アミノ酸バランス、合格……pH値許容範囲内──」


 ──ピッ。


 またしても、小さな、だが決定的な音。


 センサー横の表示灯が緑に切り替わり、


 “本当の扉”が、無音で横にスライドしていった。


 「……突破完了。」


 BENIが感嘆と驚きの混じった息を吐く。


 「フェイク出汁で開くドアなんて、誰が考えたんだよ……」


 「“本物だけが開けられる”という発想を逆手に取るのが、諜報の基本です。」


 FLOWAは、表情ひとつ変えずに言った。


 そして静かに、仲間を振り返る。


 「ここから先が、本当の“裏”です。気を引き締めて。」


 3人の諜報員は、互いにうなずき合い、


 開かれた扉の先──未知なる空間へと、足を踏み入れていく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る