2話
「ここです。」
守谷さんの寝ている部屋に来た。戸を開け、中に案内する。
「守谷…さんですか?」
「あぁ…はい…」
先ほどの失礼な言葉を言っていた人とは思えないほどの変貌だった。
「私は氷室冬馬といいます。聞きたいことがいくつかあるのですが、いいですか?」
「はい…」
…なんだろう…さっきまでと違いすぎて妙に苛々する…さっきもこのくらいの調子で話してほしかったわ…
「現在の容態を教えてもらえると助かります。」
「あ、それなら…」
透真くんがメモ帳を取り出した。
「先程守谷さんに容態を聞いたときのメモです。これをお読みになってください。」
「ありがとうございます。」
冬馬さん(失礼と呼ぶのは控えて置くか)はメモ帳を読み始めた。しかし、読む量は守谷さんのメモだけで無く、前にこの邸宅で体調不良になった人のメモも読んでいた。
「なるほど…朝比奈くん。」
急に呼ばれたので体がびくっとなった。
「なんですか?」
「君にもなにか、体調の不良があるんじゃないかい?」
何で分かったんだろう。
「咳が出たり、喉が痛かったり…目がかすんだり、胸に違和感があったり…ですかねぇ…」
氷室さんはフッと微笑み、
「実に興味深い…どうもありがとう。」
こんな失礼な人に急に感謝されると、なんというか…むず痒い…
「では、守谷さん。ありがとうございました。お大事になさってください。」
そういうと、部屋から出ようとするので、ついていく。
「なにか…わかりました?」
「いや?まだまだです。赤い部屋に、行ってみないとわかりません。」
正直、さっきので部屋には近付きたくないんだけどなぁ…でもなぁ…一人だと何するかわからないしなぁ…
「では案内します。」
「あ、その前に。」
まだ何かあるの?早く帰ってほしいんだけどぉ…
「配信、始めてくれません?」
「……は?」
この人…なにを言っているんだ?え…?
「あそこで主人にもてなして貰っている若狭が言ってただろ?お金がないんだ。事務所の存続もかかっているんだ。」
言ってたなぁ…でもそれがどう配信と…
「そこでだ。君の配信で私の推理を披露する。宣伝だ。」
「配信待機には結構集まってきましたよ。」
「じゃあ、カメラを付けてくれ。」
私はカメラのスイッチを押した。
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