第42話 美波さんの家に招かれる②
美波さんが扉を開けると中には美しい女性がいた。顔はどことなく美波さんに似ているけれど彼女は美波さんよりも背が高く黒髪が伸びていた。その姿はまるで女神のようで見る者を魅了していた。
「お、お姉さんですか?」
「私の母よ」
え?!この人美波さんのお母さんなの?!にしては若々しすぎない?!少なくとも40は超えていると思われるが……
「あら若く見られて嬉しいわ。美波。彼が淳志くんなの?」
美波さんの母親と言う人が話しかけに近づいて来た。背が高いのでやはり圧倒されてしまう。
「は、はい……海城淳志です」
僕はペコリと頭を下げる。
「ふぅん。可愛らしい子じゃない」
そういって美波さんの母親は僕の頭を撫でてくる。
「昔の主人に良く似てるわねぇ……」
「そうなんですか!」
「私は美波の母で神崎優子。御年40よ」
「よ、40?!若々しくてとてもそうは見えませんよ」
「あらお世辞が上手ね。ウチの子にしたいわ♪」
「そ、それはちょっと……」
「お母様?」
後ろから凄く凄い圧を感じる……
「あらごめんなさいね美波。まぁこの家はいろいろあるから楽しんでね。後で主人も紹介するわ」
そう言って美波さんの母親は僕を解放する。
「案内人が必要ね。彩香にでも頼みましょう」
「あ、彩香は……」
彩香…何か僕の知ってる人と同じ名前をしてるな……
「お呼びでしょうか。奥様」
と思ったら目の前に本人がいたぁ!しかも何か不自然に敬語使ってるし!
「初めまして、ではないですね。淳志くんこんにちは佐竹彩香です。学校ぶりです」
「あ、あのこの人って……僕の同級生の」
「はぁ……バレちゃったか。彩香の家って彼女の祖父くらいの代から神崎財閥の要職を歴任しててね。その縁で使用人をしてるのよ」
「神崎家と佐竹家は一蓮托生の関係です。何とも黎明期からの最古参の関係だと」
そ、そうなんだ…僕は初めて彩香さんのことについて知ったのだった。
「こちらが美波お嬢様の部屋になります」
彩香さんはそう言ってドアを開けると中は広かった。
僕の家のリビングくらいの広さがあって、そこに家具が綺麗に並んでいた。絵本で見るような天蓋付きのベッドの上には人気のぬいぐるみが積まれていて、まるで寝ている美波さんを警護しているようだ。本棚には難しそうな本が上に整列しており、下には漫画が綺麗に並んでいた。
「美波さんも漫画を読むんですね。意外です」
「まぁあそこにあるテレビゲームも含めてお父様が良く読む人なのだけれど人並みには読むわ。主に少女漫画が多いけれどちゃんと海賊冒険漫画や小学生探偵漫画も全巻あるわ。そのせいで屋敷の一部屋丸ごとが漫画ルームになってるわ……まぁ部屋は余ってるから問題ないけど」
「啓馬とか晃とか光士郎辺りだったら一生入り浸って出てきませんねこれは……」
「また別の機会に呼んでみるといいわ。今は二人きりになりたいのだけれど」
辺りに女の子の香りが充満しているので僕も少し恥ずかしくなってしまう。
「さぁこっちにきて座りなさい?」
そのまま僕は座布団……ではなく美波さんの膝の上に座らされ、後ろからぬいぐるみのように抱きしめられる。
「ちょ、美波さん?!」
「一度でいいからあなたを後ろから抱きたかったのよ」
そう言って美波さんは僕の頭を撫でて来た。
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