第17話「月と太陽の共鳴」
ドラクロワ宰相の声が舞踏会場に響き渡った。
「ルナリア王国の紳士淑女の皆様」彼は満ち足りた様子で言った。「本日は特別な夜になります。月光舞踏会の伝統に則り、王太子殿下と、神に愛された聖女セレスト・ブライトウッド嬢の婚約を発表する栄誉を賜りました」
ヴィオレットは既視感に震えながら、会場の端に立っていた。たった今、彼女は時間の月環を使い、数分前に戻ってきたところだった。混乱の中でセレストが撃たれ、命を落としかける瞬間の直前まで。今、彼女の記憶の中では、その悲劇はすでに起きていた。しかし、この時間軸では、これから起こることなのだ。
「今度こそ」彼女は決意を胸に秘め、舞踏会場を見渡した。
フレデリックが彼女に気づき、困惑した表情を浮かべていた。彼はヴィオレットの異変を感じ取ったのだろう。ヴィオレットは小さく頷き、目で合図した—「計画変更。シャンデリアを落とす準備を」
彼は一瞬戸惑ったが、すぐに理解したように頷き返した。彼はさりげなく壁際へと移動し始めた。そこには大きなシャンデリアを支えるロープと滑車が設置されていた。
「結婚は単なる二人の契りを超え、王国の未来を輝かせる聖なる儀式です」宰相は続けた。「今宵は月の光が特別な輝きを放つ夜。この神聖な瞬間に、古来より伝わる祝福の儀式を執り行いたいと思います」
舞台の上では、セレストが王太子の隣に立ち、完璧な聖女の微笑みを浮かべていた。しかし、ヴィオレットにはその目の奥に潜む葛藤が見えた。彼女は本当に赤き月の洗脳から部分的に解放されているのだろうか?それとも、それもまた宰相の計画の一部なのだろうか?
考えている時間はなかった。すべては数分の間に決着がつくのだ。
「まずは、花嫁となる聖女に特別な祝福を」宰相はセレストに向き直り、赤い宝石が埋め込まれた聖杯を差し出した。
ヴィオレットは人々の間を縫うように、舞台に近づき始めた。今度は違う。今度は計画通りに進めるのだ。
セレストが優雅に聖杯を受け取り、その内容物を一口飲む。彼女の表情が一瞬歪んだが、すぐに元の穏やかな顔に戻った。ヴィオレットには、その瞬間の変化が読み取れた—セレストの中で何かが起きている。
「次に、王太子殿下にも同じ祝福を」宰相が言うと、侍従が別の杯を持ってきた。
正確に同じ展開。ヴィオレットは息を呑んだ。セレストが体を震わせ始め、彼女の目が一瞬、赤く光った。
「セレスト?」王太子が心配そうに声をかけた。
「大丈夫です、殿下」セレストは微笑んだが、その声には異質な響きがあった。「これは月の祝福が私の中に流れ込んでいるだけです」
宰相はほくそ笑んだ。「そうだ、聖女よ。月の力を受け入れなさい」
セレストはゆっくりと胸元から太陽の羽飾りを取り出した。それは金色に輝き、会場のシャンデリアの光を受けて眩いばかりの光を放った。
「これは…」宰相の表情が変わった。「どこでそれを…」
「月の祝福だけでは不十分です、宰相」セレストの声は力強かった。「太陽の力も必要でしょう?」
ヴィオレットは急いで舞台に向かって進んだ。フレデリックもまた、壁際でシャンデリアのロープに手をかけていた。彼は次の合図を待っていた。
「何をする気だ?」宰相が低い声で言った。「計画通りに進めろ。さもなければ…」
「さもなければ何?」セレストは羽飾りを高く掲げた。「私は自分の意志を取り戻しました。『赤き月』の洗脳からね」
「馬鹿な!」宰相は声を荒げた。「お前は私の…」
「あなたの操り人形ではない」セレストが言い返した。「私は自分自身なの。そして…」彼女はヴィオレットの方を見た。「私には姉がいる」
ここからが違う。ヴィオレットは今度は宰相ではなく、シャンデリアの真下に立っていた。彼女はセレストに向かって合図を送った。
「全員、退避してください!」彼女は突然大声で叫んだ。「危険です!」
人々は混乱し始めたが、ヴィオレットの叫びに反応して会場の端に移動し始めた。
「何をする!」宰相は激怒した。
その時、セレストは太陽の羽飾りをヴィオレットに向かって投げた。「姉さん、受け取って!」
羽飾りが空中を舞う。ヴィオレットは片手を伸ばして羽飾りをキャッチした。同時にもう片方の手で、宰相を掴んで引き寄せた。
「何!?」宰相は驚きの声を上げた。
「あなたとの決着をつける時よ」ヴィオレットは冷静に言った。
太陽の羽飾りが彼女の手に収まった瞬間、時間の月環と共鳴し始めた。二つのアイテムが放つ光—銀色と金色が交じり合い、まるで生き物のように脈打っていた。
「フレデリック、今よ!」ヴィオレットは叫んだ。
フレデリックはシャンデリアのロープを一気に切断した。巨大な金属の照明器具がゆっくりと天井から外れ始めた。
「退避!」レイモンドの声が響き、残りの人々も一斉に会場の端へと逃げ出した。
宰相の顔が恐怖で歪んだ。「何をする気だ!」
「終わりにするのよ」ヴィオレットは冷たく言った。
シャンデリアが落下する音が轟いた。ヴィオレットは最後の瞬間に身をかわし、宰相をその場に残した。
しかし、宰相も素早く反応し、横に飛びのいた。シャンデリアは床に激突し、ガラスと金属の破片が四方に飛び散った。轟音が会場中に響き渡り、一瞬、あたりが暗くなった。
「ドラクロワ!」ヴィオレットは叫んだ。煙と破片の向こうに、宰相の姿を見つけた。彼は無傷ではあったが、明らかに動揺していた。
「愚か者め」宰相は唾を吐くように言った。「これで儀式が止められると思ったか?」
彼はローブの下から拳銃を取り出した。ヴィオレットは固まった。前回と同じだ。
「今度は違う標的だ」宰相はヴィオレットに銃口を向けた。
「姉さん!」セレストの叫び声が聞こえた。
銃声が鳴り響く前に、何かが宰相に飛びかかった。セレストだった。彼女は宰相の腕に飛びつき、銃の向きを変えようとしていた。
「邪魔をするな!」宰相は彼女を振り払おうとした。
二人が揉み合う中、銃が火を噴いた。弾丸はどこかに飛んでいった。
「セレスト、離れて!」ヴィオレットは叫んだ。
しかし、セレストは宰相から離れなかった。「絶対に許さないわ!あなたにこれ以上姉さんを傷つけさせない!」
「貴様!」宰相は怒りに震えていた。「いつから洗脳から解けたのだ!」
「完全には解けていないわ」セレストは苦しそうに言った。「でも、姉さんのおかげで、自分の意思を取り戻しつつある。本当の意味での『聖女』になるために、自由意志が必要だったのよ」
二人の格闘は続いた。宰相は再び銃を構えようとし、セレストはそれを阻止しようと必死だった。
「みんな、下がって!」ヴィオレットは叫び、月環と太陽の羽飾りを掲げた。二つのアイテムは今や激しく共鳴し、部屋全体が不思議な光に包まれた。
宰相の顔に恐怖の色が浮かんだ。「いいや、それは許さん!」
彼は再び銃を向けた。今度はセレストに。
「いいえ!」ヴィオレットは叫んだ。
銃声が鳴り響いた。セレストのドレスに赤い染みが広がり始める。
「セレスト!」ヴィオレットは絶望的な声で叫んだ。
セレストはゆっくりとひざまずき、驚いたような表情で自分の胸に触れた。「姉さん…私…」
ヴィオレットは彼女に駆け寄った。「セレスト、しっかりして!」
宰相は冷たく笑った。「遅すぎる。聖女の血が流れた。これで儀式は別の段階に入る」
彼は両手を広げ、何かを詠唱し始めた。突然、セレストの血が床に滴り落ちた場所から赤い光が立ち上り、不気味な渦を形成し始めた。
「時間の扉が開く」宰相は陶酔したように言った。「血の代償によって」
「いいえ!」ヴィオレットはセレストを抱きかかえながら叫んだ。「これを止める方法はない?」
「姉さん…」セレストの声は弱々しかった。「まだ…できる…」
彼女は震える手で太陽の羽飾りに触れた。ヴィオレットの手に握られたそれは、セレストの接触に反応して、一層強く輝いた。
「二つを…一つに…」セレストは息を切らしながら言った。
ヴィオレットは理解した。彼女は月環を太陽の羽飾りに重ねた。二つのアイテムが接触すると、まばゆい光が放たれ、衝撃波が部屋中を走った。
「なっ…何だと!?」宰相は後ずさりした。
「正統な血筋の者だけが使えるのよ」ヴィオレットは冷静に言った。「あなたの計画は崩れるわ」
光の渦が二人の姉妹を包み込み、セレストの傷から流れる血が止まり始めた。
「不可能だ!」宰相は怒りと恐怖が入り混じった表情で叫んだ。「私が何年もかけて準備した儀式が!」
「あなたはいつも間違っていた」ヴィオレットは立ち上がり、セレストを支えながら言った。「儀式の本当の目的は時間を支配することではない。正統な血筋を守ることなのよ」
「黙れ!」宰相は再び銃を向けた。「全て台無しにしたな。ならばせめてお前たちは死ね!」
「その銃を下ろせ、ドラクロワ」
冷たく威厳のある声が響いた。王太子アレクサンダーが、衛兵隊を率いて現れた。彼の目は氷のように冷たく、宰相を射抜いていた。
「殿下…」宰相は動揺した。「これは誤解です。彼女たちが儀式を妨害したのです。私は王国のために…」
「十分だ」王太子は静かに言った。「全てを見ていた。聞いていた。時間を支配しようとしていたのはお前だ」
「殿下、この女たちは王家の血を引く者たちです!彼女たちこそ王位に対する脅威なのです!」宰相は必死だった。
「知っている」王太子はシンプルに言った。「だからこそ、私は彼女たちを守る」
宰相の顔から血の気が引いた。「殿下…まさか…」
「『月影の守護者』の一員として、私も彼女たちを守る義務がある」王太子は静かに言った。「お前の陰謀は終わりだ、ドラクロワ」
「ばかな…」宰相はひざから力が抜けたように床に崩れ落ちた。「殿下までもが…」
衛兵たちが素早く宰相を取り囲み、武器を取り上げた。
ヴィオレットはセレストの状態を確認した。月環と太陽の羽飾りの光に包まれ、彼女の傷は驚くべき速さで癒えつつあった。
「セレスト、大丈夫?」
「ええ…」セレストは弱々しく微笑んだ。「痛みが…和らいでいく…」
フレデリックとレイモンドが駆けつけてきた。
「ヴィオレット!」フレデリックは安堵の表情を浮かべた。「無事か?」
「ええ、何とか」彼女は疲れた様子で答えた。「でも、まだ終わっていないわ」
確かに、部屋の中央では、セレストの血から立ち上った赤い光の渦がまだ消えていなかった。それどころか、その渦は拡大し、まるで何かを形作ろうとしているかのようだった。
「これは…」レイモンドが厳しい表情で言った。「儀式の力が独り歩きを始めている」
「どういう意味?」ヴィオレットは尋ねた。
「宰相が始めた儀式は、彼のコントロールを離れたということだ」レイモンドは説明した。「血の代償が支払われた以上、儀式は完結しようとしている」
「どうすればいいの?」
「二つの力を一つにしなければならない」セレストが答えた。彼女はゆっくりと立ち上がった。傷は癒えつつあったが、まだ完全には回復していない。「月と太陽、二つの力が一つになれば、時間の歪みを正すことができる」
「でも、それはどうやって?」ヴィオレットは混乱していた。
セレストは優しく微笑んだ。「私たち自身が一つにならなければ」
「一つに?」
「私たちは双子…二つで一つの存在よ」セレストは説明した。「心を一つにして、儀式を完成させなければ。そうすれば、時間の歪みも元に戻る」
「でも、宰相の企みを実現させることになるのでは?」
「いいえ」セレストは頭を振った。「彼の目的は時間を支配することだった。私たちの目的は時間を癒すこと。同じ力でも、意図が違えば結果も違う」
ヴィオレットは月環を見た。すでに深い亀裂が入り、ほとんど力が残っていない。「私の月環はもう…」
「大丈夫」セレストは彼女の手を取った。「私たちの中にある力で十分よ。その指輪は単なる触媒に過ぎないわ」
二人は見つめ合い、無言の了解を交わした。そして、手を取り合って赤い光の渦に向かって歩み始めた。
「危険だ!」フレデリックが叫んだ。
「下がっていてください」ヴィオレットは振り返って言った。「私たちにしかできないことなの」
渦に近づくにつれ、その力が二人を引き寄せるのを感じた。風が激しく吹き荒れ、髪や衣服が舞い上がる。
「怖い?」セレストが尋ねた。
「ええ、少し」ヴィオレットは正直に答えた。「でも、あなたといるから大丈夫」
「私も」セレストは微笑んだ。「長い間、孤独だった。でも、姉さんを見つけて、本当に良かった」
「私もよ」
二人は渦の中心に立った。赤い光が彼らを包み込み、月環と太陽の羽飾りが反応して輝き始めた。
「何が起こるか、わからないわ」ヴィオレットは言った。
「大丈夫」セレストは穏やかに答えた。「私たちは一つになるの。そして、時間の歪みを癒す」
二人は互いに向き合い、両手を取り合った。月環と太陽の羽飾りを互いに近づけると、その光はますます強くなり、赤い渦と交じり合い始めた。
「私はヴィオレット・アシュフォード」ヴィオレットは力強く宣言した。「時間の月環の相続者にして、ルナリア王国の正統な血筋の者」
「私はセレスト・ブライトウッド」セレストも続けた。「太陽の羽飾りの守護者にして、ルナリア王国の正統な血筋の者」
「私たちは二つにして一つ」二人は同時に言った。「時間を癒し、歪みを正すために」
驚くべきことに、二人の声は一つに溶け合い、不思議な共鳴を生み出した。光の渦は色を変え始め、赤から紫へ、そして純粋な白い光へと変化していった。
舞踏会場全体が光に包まれ、誰もが目をそらさざるを得なかった。その光の中で、ヴィオレットとセレストの姿は次第に見えなくなっていった。
「何が起きている?」王太子が問うた。
「時間の修復だ」レイモンドは敬意を込めた声で答えた。「彼女たちは時間の歪みを正している」
「彼女たちは無事なのか?」フレデリックは心配そうに尋ねた。
「信じるしかない」レイモンドは静かに言った。
光はさらに強くなり、それから突然、パッと消えた。舞踏会場は再び通常の明るさに戻った。そこにはヴィオレットとセレストが立っていた。二人とも変わりなく、むしろ以前よりも生き生きとしているようだった。
「ヴィオレット!」フレデリックは駆け寄った。
「大丈夫」ヴィオレットは疲れた表情ながらも微笑んだ。「終わったわ」
「何が起きたんだ?」
「時間の修復よ」セレストが答えた。「宰相が作り出した歪みを元に戻したの」
「どういう意味だ?」王太子が近づいてきた。
「宰相の儀式は、時間の流れを捻じ曲げ、彼自身が時間を支配しようとするものだった」ヴィオレットは説明した。「私たちはその歪みを正した。これで時間は本来あるべき流れに戻るわ」
「そして、記憶も?」王太子は不思議そうに尋ねた。
「あなたはどのように覚えているの?」ヴィオレットは王太子に尋ねた。
「私は…」王太子は少し困惑した表情になった。「君たちが双子の姉妹であること、宰相の陰謀、そして今夜の儀式のことを覚えている。だが、それ以外に何か…忘れている何かがあるような…」
「不思議ね」ヴィオレットは静かに言った。「私の時間遡行についての記憶は消えたようね」
「時間の流れが一本に統合されたからでしょう」セレストは言った。「分岐していた時間軸が一つになった。だから、"別の時間軸"の記憶は曖昧になる」
ヴィオレットは自分の指を見た。時間の月環は粉々に砕け、ただの銀の指輪になっていた。「私の時間遡行の力も…」
「もう必要ないわ」セレストは優しく言った。「私たちは過去を変えるのではなく、未来を作っていくの」
宰相は衛兵に囲まれ、床に座り込んだままだった。彼の表情は虚ろで、全てを失った人間のようだった。
「彼はどうなるの?」ヴィオレットは尋ねた。
「裁かれる」王太子は厳しく言った。「長年の陰謀と謀反の罪で」
舞踏会場に残っていた人々が少しずつ近づいてきた。彼らの表情には畏怖と好奇心が混ざっていた。
「何が起きたのですか?」ある貴婦人が尋ねた。
「真実が明らかになったのです」王太子は声高に言った。彼は舞台に上がり、全員の注目を集めた。「友人たちよ、今夜、私たちは歴史的な瞬間を目撃しました。宰相ドラクロワの長年にわたる陰謀が暴かれ、そして…」彼はヴィオレットとセレストに向かって手を伸ばした。「ルナリア王国の正統な王家の血を引く者たちが、その真の姿を現したのです」
人々の間にざわめきが広がった。
「この二人、ヴィオレット・アシュフォードとセレスト・ブライトウッドは、実は双子の姉妹。そして、古代ルナリア王家の直系の子孫なのです」
「まさか…」「信じられない…」人々の間で驚きの声が上がった。
「彼女たちの存在は、長らく隠されてきました。しかし今夜、その秘密は明らかになりました」王太子は続けた。「そして、彼女たちは王国を救ったのです。私たちすべてを」
ヴィオレットとセレストは互いに視線を交わし、小さく微笑んだ。彼女たちの間には、言葉にできない深い絆が生まれていた。
「どうしよう」ヴィオレットは小声で言った。「私はこんな公表を予想していなかったわ」
「私も」セレストは同様に小声で答えた。「でも、もう隠す必要はないわ。私たちは自分たちの運命に向き合うの」
彼女たちの手に握られた月環と太陽の羽飾りは、今は静かに光を放っていた。しかし、その奥底には、まだ何か言い表せない力が眠っているようだった。
「姉さん」セレストが唐突に言った。「月環は砕けたけど、その欠片…何か感じない?」
ヴィオレットは手のひらに残った砕けた月環の欠片を見た。確かに、それはわずかに脈動するような光を放っていた。「これは…」
「まだ終わっていないかもしれないわ」セレストは静かに言った。「この物語は」
ヴィオレットは不思議と恐怖ではなく、穏やかな受容を感じた。「そうね。でも今度は、私たち二人で向き合えるわ」
彼女たちが静かに言葉を交わす中、舞踏会場の窓から月の光が差し込み、二人を包み込んだ。その光の中で、ヴィオレットは月環の欠片が再び結晶化し始めるのを感じた。
時は流れ、そして時に立ち止まる。彼女たちの旅は、まだ終わっていなかった。
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