第一章

第1話【一回目の告白】

前回のあらすじ――


約5ヶ月付き合った彼女と別れ、傷心中の高校2年生、八雲蒼空やくもそらは自室に引こもるかのように勉強に没頭していた。


が、そんな彼の元にやってきたのは学校で1番の美少女と言われる先輩、空澄桃華あすみとうかだった。


身に覚えのない来訪に半信半疑で驚きながら招き入れることに。

そして、入るや否や彼女の口から出てきたのは「私と付き合って」という告白だった


🫧‪🫧🫧🫧


「えっと……」


「あ、いきなり言われても混乱しちゃうよね。ごめんごめん」


「あ、いえ……その、付き合うって言うのは買い物とか……」


「買い物……まぁ付き合った後にデートとしてなら?」


ダメだこの人話通じねぇ……!


付き合……っいや、ありえないありえない!

俺みたいなやつに告白――それも学校一の美少女が?


ははっ……こりゃ現実じゃない夢だな……



「夢じゃなくて現実なんだけど?」


「エスパー?」


「ん?」


「いえ、なんでもないです……」


「まぁとにかく! 八雲くん、私の恋人になってください」


「無理です」


「なんでぇ〜!?」


なんでも何も無い。

俺には不釣り合いすぎる。それに、つい最近元カノに振られて別れたばかりなのに。


「なんでもないも、俺じゃ先輩とは不釣り合いですし」


「君は天秤かい?」


「違いますけど」


「ストレートにつっこまないでよ。私傷ついちゃう」


「そうですか。じゃあ天秤ってことにしておきます」


「それはそれでズルくない?」


何だこの人。

色々と……いや、言わないでおこう。


「天秤かどうかは置いておくとして、そもそも俺が先輩と付き合うこと自体が嫌なんですけど」


「だからストレートに言わないでって。まぁいきなり言ったから〜私も〜悪いところはある(?) みたいな?」


今すぐ右ストレートを決めたい。


「とにかく! 私は君が好きなわけで、君は今フリーってこと!」


「……」


「つまりは私と付き合うこともでき――」


「帰れ」


「え……?」


「今すぐ帰ってください。それと二度と俺と関わらないでください」


「え、ちょっ待って!?」


俺にはこの人は受け付けない。

そう思えるほどに怒りが勝った。


「――先輩には分かりませんよ……」


🫧‪🫧🫧🫧


次の日、俺は先輩のことなど考えず学校に登校していた。が、通学路にいたのは――


「や、待ったよ?」


「なんでここにいるんですか」


「なんでって君を待ってたからなんだけど」


「待つ必要ないでしょ。それともう――」


「いーや、待つよ。関わるなって言われて引き下がる私ではないのです」


この人まじでめんどくさいな!?

え、なに……この人好きな人には絶対に着いていくマンかなんかか???


だとしたら相当やばい人だぞ……


「サラッと失礼なこと考えてない?」


「だからエスパー?」


「ん?」


「はぁ……勝手にしてください」


「やたっ!」


子供みたいな人だなぁ……


とはいえ、俺はまだこの先輩を信用したわけでも、許した訳でもない。


勝手にさせるが一定の距離は置く。それが俺のためでもあり、先輩のためでもあるからだ。


だから――


「離れて歩いてくれません?」


「え、嫌だけど」


嫌らしいです。

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