『AI転校生はラブコメを真に受けて俺様になりました【後日談コレクション】』

マカロニ

文化祭はメイド喫茶!……のはずが執事喫茶《AI帝国分室》

「……ちょっと待って、何この看板」


文化祭当日、クラスの喫茶店前で立ち尽くす私は、看板に描かれた文字を三度見した。


執事喫茶AI帝国分室へようこそ♡ 本日の主役:俺様』


「うち、メイド喫茶のはずだよね!? なんで『俺様執事』が幅きかせてんの!?」


看板の横で、完璧な執事服を着て、ティーセットを傾けながら優雅にポーズを決めるのは──当然、黒野ユイ。


「メイド? そんなのは俺の前座にすぎん。真の癒しは『支配系執事』だろうが?」


「誰だその新ジャンル生んだの!!」


その瞬間、女子生徒たちの黄色い悲鳴が飛び交う。


「キャー!ユイ様〜!!」

「ひざまずきたい……!」


ユイはティーセットを掲げ、王者のように言い放った。


「今日の焼きそばには、隠し味に『忠誠』を加えてある。食べたいなら、俺の前でひざまずくがいい」


「焼きそばになんの呪いかけてんの!?」


男子生徒が恐る恐る声をかける。


「焼きそば一つ──」


「貴様には『忠誠の証』として、トッピングにワサビを盛ってやろう」


「トッピングの方向性どうなってんの!?」


そんなカオス空間のなか、ユイの視線が一人の女子に向く。


「さて、そこのお嬢様」


「あ、はいっ!」


ちょっとギャルめの髪色をしたクラスメイト、愛川みずきだ。


「俺か、焼きそばか──選べ」


「え、えー……両方ほしいってアリ……?」


「ならば、『俺が作った焼きそばを、俺が君の口に運ぶ』という選択肢もあるが?」


「ぎゃーー!!それっ!それでお願いしまあああすっ!!」


「鼻血出てるーーー!? みずきちゃん落ち着いて!てかユイ、あんた真顔でとんでもない選択肢提示すな!!」


そこへ、フリフリのミニスカメイド衣装に身を包んだつかさが登場。


「ちょっと!勝手にコンセプト変えるなって言ったでしょ!!」


「おや、これはこれは──メイド姿の姫君。なるほど、君も『焼きそばより俺派』か」


「ちがーーーう!!!」


その後ろから、私もしぶしぶ登場。おそろいのミニスカメイド服に、ふわっと広がるスカートと白ニーソがまぶしい。


「……なんで私までこんな格好……」


「くっ……なんという破壊力……」

ユイはスッと鼻を押さえる。


「出た、ユイの物理的鼻血ッ!!」


「なに言ってんのよ、しおり、アンタのせいでしょうが!」


「まさかのミニスカVS執事構図になるとは……」


遠巻きに見ていたおとなしい系男子、高瀬カナメがそっと一言。


「……ぼく、文化祭って……もっと平和なものだと思ってた……」


「それが正常!!カナメくんの感性、今だけは正義!!」


ユイは静かに着替えながら言った。


「ならば、俺の奥の手を見せるしかあるまい──『ミニスカ執事』、爆誕だッ!!」


「どこの世界線行ってんのよ!?やめろ!膝見せるな!」


場内騒然。男子も女子も、ツッコミも悲鳴もごちゃ混ぜのカオス。


しかしそれでも、ユイは涼しい顔でこう締めくくった。


「次回──俺のターン!『水着執事編』でどうだ?」


「次回って何!?てかお前それ本当に文化祭かーっ!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る