【王国・任務受付所/作戦会議室】
「えーと……今回の依頼内容は、“西の森の調査”ってやつだっけ?」
王城の一室で説明を受ける俺。王国の命令で、アリエルとともに簡単な調査任務に同行することになった。
「森に出没する魔物の異常を確認する簡単なお仕事だ。が、一応念のために“第三の戦力”を用意しておいた」
そう言って、王国の担当官が扉の方へ手を振る。すると――
「しっ、失礼しまーす!!」
ドタドタと不器用に入ってきたのは、深紅のローブに身を包んだ青年。髪はボサボサ、杖は立派なのに、足元はサンダル。なんというか、全体的に雑だ。
「紹介しよう。彼の名は《ノエル=グラン》、王立魔導師団に所属する……れっきとした“魔法使い”だ」
「魔法使い!? すごっ、頼もしい!」
「うむ、確かに肩書きだけは頼もしいな」
「……あれ、今なんか変な言い方した?」
俺が首を傾げる中、当のノエルはなぜか笑顔で胸を張る。
「いやー、魔法が使えないけどがんばります!!」
「即自己申告!?!?」
見事なまでの爆弾発言だった。俺は二度聞きし、アリエルは剣の柄に手を伸ばしかけた。
「どういうこと!? 魔法使いなのに魔法が使えないって……じゃあ君はなにができるの!?」
「知識です! 理論武装だけは完璧です! あと、魔法の原理とか、詠唱の間違いを見つけるのとか、座学系なら任せてください!」
「座学って戦場で役に立つのか!?」
「……ま、まぁ魔法陣の解析とか、封印解除とか、魔力反応の検出とか、そういう支援系が得意なんです……たぶん」
「“たぶん”やめろ!!」
「タクミ、我に比肩する脳筋かと思ったが……方向性がまったく逆だったな」
うん、ほんとにな。
でも、なんとなく、分かる気もした。
――不器用でも、この世界で生きようと必死でもがいてる奴。
「……でもまあ、俺も《他力本願》なんて他人に頼るしかないスキルだし。ちょっと親近感あるかも」
「え、ほんとですか!? 嬉しいです! 僕、こう見えても“人を信じる力”だけは誰にも負けないんです!!」
「……それはそれで強いような気がしてきた……!」
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