15匹目 脅しは強めに
「一つ聞きたいんですけれど、もしかしなくても、私おとりでした?」
子供と身体を寄せ合って縮みあがっているルチェッタは、震える声で尋ねてきた。5人立っていた男の内、最後の1人を、ぽいっと投げ捨てながら、フィオは答える。
「おとりっちゅうか、
「餌にしないでください! ひどいです!」
「まぁまぁ、結果オーライですわ」
それでもまだぎゃあぎゃあと騒いでいるルチェッタを無視して、フィオは子供の方に手を出した。
「ほら、盗んだお金ば、さっさと返さんね」
「ち、近寄るな! ゴリラ女!」
「あら、口の悪か子やねぇ」
「そっちこそ変なしゃべり方しやがって。このお金は俺たちのもんだぞ」
「うちは別によかとよ。でもほんとによかと? 今ここでお金ば渡さんやったら、あんた、ずーっとこの男たちに追われるっちゃけど」
「……」
フィオが告げると、周囲を見まわしてから子供はおずおずとお金を差し出してきた。それを横たわる男達に見えるように受け取る。
「さぁ、見たやろ? お金はうちが受け取ったけんね。もうこの子たちに手ば出しても意味なかとよ」
男の一人が身体を起こし、そして痛そうに頭を擦った。
「あんた何もんだ? 何であんたみたいな女が、そんな大金を持っていやがる?」
「誰でもよかろ。それより、お金の話、誰から聞いたと?」
「バカが。言うわけないだろ」
「ふーん。まぁ言わんでも、だいたい見当はつくけどね。両替屋とは仲よし?」
「……」
「はぁ……別にこれ以上どうこうする気はないけれど、そげなこと続けよったら、いつかほんとに痛い目見るけんね」
「ふん。今見ているよ」
「こんくらい痛いうちに入らんよ。まだしゃべれとるやん?」
「……わかった。あんたらには手を出さない。ここは手を引く」
「うん、それがよか」
男達はのそりとそれぞれ立ち上がると肩を抱きつつ、フィオ達の元から去っていった。その後ろ姿を見送った後、フィオは一度咳払いをすると、ルチェッタの方に視線を向け肩をすくめて見せた。
「ね?」
「何がですか?」
「金貨なんか落としたら騒動になるでしょ。このまま金貨を放置したら、もっと大事になりますわ。次の敵は私ではなんともならないかもしれない」
「えぇ、身に染みて理解しました。おかげさまで」
不満そうなルチェッタだったが、話の流れには同意を示していた。金貨の数を確認すると、やはり足りない。ということは残りを取に行く必要がある。面倒だなと思いつつ、フィオは子供の方に向き直った。すると、子供の方も理解しているようで、怯えた顔をしている。さっきの男達への脅しが過ぎたか? 逃げられても困るので、フィオは、なるべく穏やかに尋ねた。
「このへんに釣りできるとこ、あると?」
「「……?」」
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