その美少女は黒鐘ミミ。
T村
第1話 恋愛アホフラグ
俺、
実家から早朝に出てきたことと、荷物の搬入作業に体力を使い果たしたのかとても疲れており、とても夕食を自炊で作る体力と気力はもう俺にはなかった。
「今日は外食にしよう」
そう呟き、外へ出た。15分ほど適当に周辺を散策したところで、俺のアパートの近くにはコンビニが1つ、郵便局が1つ、薬局が1つ、業務用のスーパーが1つあった。流石は東京と言わんばかりに商業施設が整っており、生活に不自由を感じることはとてもなさそうだった。
また俺のアパートの近くにはそこそこ大きな公園があり、3月末の今日でも、満開には少し満たない程度に桜が咲いていた。何故かは分からないが俺はこの公園を既にすごく気に入っており、今夜は何かフードをテイクアウトし、この公園で食べる事を決意した。その後に近くの牛丼屋で牛丼を購入し、再度この公園に戻ってきた。公園内のベンチで購入してきた牛丼を食べ始めて、ものの5分で完食した。食べ終えた牛丼の容器を公園内のごみ箱に捨て、桜を眺めながら園内を歩いていた。
「何か面白い事起きねーかな、この新天地で」
直近の1年間を思い返せば、決まった時間に起きて、予備校と家を往復するだけでとても楽しい生活とは言えなかった。なんとか志望大学に合格することが出来、2浪は避けることは出来たが、俺の中でこの1年間は何もしていない時間にしか感じれなかった。
「近くに可愛い子とかいねーかな」
年頃の男子なら皆1度はそんなことをぼんやりと考えたことがあるだろう、俺も例に漏れずその一人だ。しかし、こんなことを呟いて目の前に美少女がいるのなら何も苦労はしないのである。砂粒程度の淡い期待を持ちながら、公園の外周をぐるりと1周散歩して、可愛い子がいなかったら大人しく家に帰ることにした。
「まあ、いるわけないよな」
最後の角を曲がり、公園の入り口側に再び戻ろうとしている。もうすぐ可愛い子探しの短い旅が終わる。どうせ誰もいなくてこの後はただ寝るだけだ。そう考えると少し寂しいような気もしたが、どこか気が楽ではあった。半分諦め状態で角を曲がった。
「はいはい、どうせだれもいませんよっと、俺、お疲れ様でした、え……? 」
そう、いたのである、しかも飛びっきりのが。こう言うと皆が嫌いな黒い虫を連想させるような言い方にも聞こえるが、とにかく飛びっきりのが今目の前にいるのである。これは話しかけるしかないな。俺の中で既に心は決まっており、彼女にグングンと近づいていった。すると、彼女が俺に気付き向こうから、
「何? なんか用?」
やっべ、めっちゃ楽しい今。
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