ようこそ異世界転移センターへ

カイ

第1話

「そろそろ目を覚まして、起きて?」

― うぅうん、もうちょっと寝かせてよ、お母さん。

「お目覚めの時間だよ、お姫様。ほら、目を開けて?」

優しい男の人の声がする。

― ああ、今日はお父さんが起こしに来たのね、珍しいな。


「うぅ~、あと5分だけえ・・・」

「もう、お寝坊さんだね。チュウしちゃうよ?」

― お父さんにしては声が若いな~、チュウって何言ってんのよ、キモイな。

仕方ないな、そろそろ起きよう、と思い目を開けた。


「あ、起きた。おはよう。」

寝起きの視界に飛び込んできたのは、ブラウンの髪にエメラルドの瞳の色、少し長めの髪をひとつにまとめ、泣きボクロまで完備しているイケメン様であった。


・・・・・・・・・・誰??


― あ、まだ夢の中か。

なんのアニメかドラマか覚えていないけど、眼福だわぁ~。

今日はいいことありそう!なんて思いながらまた目を閉じる。

「あぁぁ、また寝ないの~。もう、仕方のないお姫様だなあ。」

ゆっさゆっさと揺すられて、ペチペチと頬を叩かれる。

― ちゃんと感触があるってことは、夢じゃないのかしら?

もう一度目を開ける。

イケメンがいる。


・・・そういえば、私、一人暮らしだよね。

もしかして、もしかしなくても・・・・・・


「あぁぁぁぁなぁぁぁたぁぁぁ、だああぁぁれえぇぇぇ!」

声を振り絞る。

『キャー、タスケテー』なんて、甲高い声なんて出ない。

人間、命の危機に瀕した恐怖の声なんて、オッサンのような野太い声だ。

― 確か、枕の上のあたりに懐中電灯を置いていたはず。

もしもの時は、これでガツンと、と思って手を伸ばして気が付いた。


これ、私のベッドじゃない。

ていうか、そもそもここは私の部屋じゃない。


「ああ、ごめんね。驚かせちゃったね。ここは、異世界転移センターっていうところだよ。」

「は?」

「だから、異世界転移センター。」

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