陸軍大佐パトラ

「失礼、ギルドマスターはいるだろうか?」

 アララガルが現れて10日後、海岸のベースキャンプからハンターズギルドの受付に戻った私の前に、陸軍の将校が訪ねてきた。

 深緑色の軍服に大佐の階級章を身に付けた褐色肌の黒髪の猫人族の女性。

 差し出された名刺には『ランデル国陸軍ベルファスク基地第十三連隊長 パトラ・アレクサンドリア』と記されている。

「ギルドマスターは三階です、ご案内いたします」

「よろしくおねがいする」

 パトラを先導して、ギルドマスターの執務室へ案内する。

「失礼します、陸軍のパトラ大佐をお連れしました」

 ギルドマスターに敬礼して報告。

 パトラを一瞥するやギルドマスターは起立してパトラに挨拶する。

「ようこそ、パトラ大佐。こちらにどうぞ」

 客用の立派な椅子を用意して着座を促すと、パトラはそれに従う。

「それでは、改めてご用件を伺います」

「まずはこれを見てほしい」

 机に広げられる一枚の地図。

 そこにはミギナ山地のエリアが詳細に記されている。

「近々、陸海軍の合同でアララガル討伐作戦が決行される。

 そこでハンターたちには奴の誘導を行ってもらいたい」

「誘導ですか?」

「そうだ」

 相槌を打って言葉を続ける。

「奴はミギナ山地のすべてを支配下に置いた。

 それを逆手に取ってアララガルをここへおびき出す」

 地図の一点をトンと指さす。

「ミギナ要塞跡地ですか」

 アルガーノ戦役において防衛の要衝となった頑強な要塞。

 トーチカを中心に防衛線が築かれており、今は狩猟時におけるベースキャンプの一つになっている。 

「作戦はこうだ。

 アララガルの縄張りを荒らす為に大きくて派手な建物を建造する。

 無論、囮用だ。完成させるつもりはない」

「なるほど、それで奴が現れたあとは?」

「奇襲で翼を破壊して飛行能力を奪った後、ハンターたちは奴と刃を交えながら爆撃隊が来るまで現地に拘束する。

 拘束に関しては、補助としてアンカー弾と射出装置をこちらで用意する。

 トーチカに隠して、時が来たら胴体に撃ち込むといいだろう」

「承知しました。それで、当日の動きは?」

「ハンターと補佐役は陸軍基地にて集合。

 現地指揮官である私の指示に従って動く。良いな?」

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