9話目 小さなご主人様(前半ルイザ視点、後半サク視点)

sideルイザ


ご当主様にリラ様が報告しているのをお茶の片付けをしたりしながら観察する。

私が仕える。小さなご主人様。最初にお会いしたのはご主人様が、意識がない時……急に夜中に呼び出されたと思ったらご当主様の運命の番が見つかったとのこと。そのお付のメイドに私が選ばれたとの事でしたわ。なぜ私が?とも思いました。入って短くは無いが長くもない……正直私よりベテランのメイドは沢山います。なのに……

でも、会ってみてわかりました。あぁ、私はこの方に仕えるんだって。ご当主様はアルファ、ということは見つかった方はオメガ……オメガ性のメイドは他にもいるけれど、年齢が1番近いのは私でしたわ。


ボロボロで怪我を沢山している小さな男の子……この方がご当主様の……なんでこんなに……そう思っているとご当主様から簡単な説明がありました。詳しいことはまだ分からないけれど、生家で虐待を受けていたとのこと……。なんてこと!

断る理由なんてない。このお方を私が守らなければ!


ご主人様は目が覚めてから混乱している様子だったけれど、ご当主様がいることで安心している様子でした。普段は王宮に行くことが多いご当主様だけれど、しばらくは在宅でお仕事をなさるそうで。ご主人様に挨拶するとポカンとしながらも名前で呼んでくださいましたわ!鈴のような愛らしいお声……あの時閉じていた目は開かれ、紫の宝石のような目をしていらっしゃる。顔も可愛らしいお顔で……美少年と言っても過言では無い容姿をしていらっしゃいましたわ。

未だに、身体は傷だらけのご主人様ですが……どう少ししたらリーゼ先生が治癒魔法をかけてくださるとのことでしたわ。早く良くなればいいのですが……。


そんな、ご主人様様のお名前が決まりましたの!リラ様ってお名前になられました!これから、お名前で呼べるのが嬉しいですわ~!リラ様の最近のお気に入りは絵本。ご当主様がリラ様がいらっしゃってからセバスさんに頼んでいた品物ですわ!選り取りみどりで楽しくなってしまいましたわ!文字にも興味を持っていらっしゃるリラ様……。文字表をお渡しすると……


「ありがとう……ございます。」


って……!とってもお可愛らしかったですわー!それから、ゆっくりと文字のお勉強をされておられたのですが、その速度が速いこと!あっという間に文字を覚えられて、絵本もゆっくりながら読めるようになっておられましたわ!リラ様は天才ですわ!

私は運命の番がいますから……ご当主様とリラ様には幸せになって欲しいと願っておりますわ。


そう、お二人がお話している姿を見ながら、思っているのでしたわ。


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sideサク


私が仕えるのは小さな男の子。リンデール侯爵家の侍従として使えて数年。私が仕えることになったのはご当主様の運命の番だった。

ボロボロで傷だらけ……生きているのも不思議な様子だった。でも、なんとか持ちこたえた。ルイザと共に傷の手当てをしたり、体を拭いたりのお世話をする。こんな小さな体に惨いことを……しかも、家族から受けていたと聞いた時には怒りを覚えた。

でも、もっと怒っていたのはご当主様の方。あんなに怒っているのは初めて見た……。ベータの私でも恐怖を感じたけれど……ルイザは平気なようだった。過去のことがあるからだろうか……



お付になったのは良いものの、私はこの顔からよく怖がられる……小さなご主人様に怖がられないか心配だった……でも、心配は無かったようで……そのまますんなりと受け入れられた。

あまり、表情がでないご主人様をより一層気にかけながらお世話をしている。

そんな、ご主人様のお名前が決まった。無かったことにも驚きだが……お名前はリラ様というらしい。とても、可愛らしい名前。リラ様にお似合いの名前だった。


お二人の中は睦まじい……。運命の番というのはこんな雰囲気なのかと……ルイザとロイはそこまでくっつくことは無いからか……



さて、リラ様はどうやら、頭がとても良いようで……絵本に興味を持ったと思ったらルイザからもらった文字表を見て、私とルイザが教えるとすぐに覚え、読めるようになってきた。そのため、ご当主様に報告し、家庭教師はどうかと提案をさせていただいた。リラ様も興味を持たれたようで数日後には巷で有名が方がやってきた。

教え方が上手で丁寧、褒め上手で特に幼子の扱いが上手らしい。顔合わせの日やって来たのは優しいお顔の男性。雰囲気は穏やか、優しげだ。お話している様子もリラ様の話を聞きどんなものが好きなのかどんなことに興味を持っているのかを会話から探っている様子だった。リラ様も楽しそうに話をしている。表情はあまりでていないが、少しだけ口角が上がっている。

その後の会話も和やかに続き、変えられる頃にはリラ様も少し残念そうにしておられた。でも、ご当主様と話をすることで気持ちが上を向いたよう。


出来ることならば、この穏やかな日々が続くことを祈っている。



 

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