第44話:「REJECT CODE」のメイクアップと衣装制作
グランドファイナルまで、あと3日。
スタジオではROUGE NEONが、REJECT CODEの音とVELVET CROWNの舞台演出を見学中だった。
音に合わせた不死鳥の演出が幕を引くと、メンバーたちは興奮気味に語り始める。
七海が目を輝かせて言う。
「REJECT CODEとVELVET CROWN、いい感じに仕上がっとるがね。おおっ、あれやね!不死鳥が飛び立つときに衣装の色がパッと変わったら、めっちゃ映えるんじゃない?」
ルカがうなずきながら。
「それめっちゃカッコええて!照明当たるたびにキラッと変わったら、観客も驚くがね!」
ミサが目を細めて微笑みながら、クールに提案する。
「シャンブレー生地とか、ええんじゃない?角度で紫から赤に変わるやつ、あれ照明に映えると思うんだわ」
ひよりが勢いよく続ける。
「体温で変わる生地とかもおもしろいがね!演奏しとるうちに、どんどん色が変わっていくなんて、インパクトあるよ!」
れいながにこやかに締める。
「ほいで、サーモパウダー染めにしたらどう?最初は茶色で、あったまると赤になって、最後に紫に変わるんだて。めっちゃドラマチックになるわ!」
七海がキリッとした表情で言い切る。
「うん、両方やろまい!」
メンバーが一斉に驚いたように声を上げる。
「両方!?」「ほんとに!?」
七海はにっこりと笑って、まっすぐ前を向く。
「フォトクロミックもサーモパウダーも、両方使えばええがね。光でも温度でも色が変わる衣装——そんな演出、見たことないやろ?
やるなら、とことん。そうせんと『LUX NOCTIS』に埋もれてまうわ。」
ミサが少し不安げに眉をひそめる。
「……でも、そんなに上手くいくかしら?実験とか重ねなきゃ……」
七海が力強く答える。
「うちらはROUGE NEONやて!」
「やる時はやる、それが私たちの矜持やて。中途半端な演出じゃ、お客さんの心は動かせんのやて。
REJECT CODEが“音”で旗を掲げるなら、私たちは“色”で旗を掲げたる!」
ミサがその言葉に背筋を伸ばし、決意の色を帯びた瞳で頷く。
「……わかったわ。やったるがね。ROUGE NEONの本気、見せたるんやて!」
スタジオの空気がピリッと引き締まる。
その場にいる全員が、まるで戦場に立った戦士のような覚悟を胸に刻んでいた。
スタジオで、七海が自信満々に提案する。
「ヘアスタイルは、各メンバーの普段の形保ちつつ、**ワックス+スプレーで不死鳥の羽ばたきを演出したらええんじゃね?サイドやバックに向かって髪束を羽根みたいに立ち上げるがね!」
ルカがうなずき、具体案を足す。
「ライブ直前にな、**ファイバーワックスとスモークミスト使って、髪に広がりと躍動感出したらええがね。前髪とかこめかみの毛束を炎みたいに細〜くねじって立てたら、目元に火の印象が宿ると思うがね」
ひよりも真剣な声で提案する。
「フロントの一束を外ハネにして、赤ラメワックスでハイライト入れたら、火種みたいにキラキラするがね。しかもライト当たったときに赤とか金の隠し色が浮かぶ加工スプレー使えば、黒の中から炎色がチラッと出るんよ。見た目以上に、“隠された強さと再生の兆し”が表現できると思うがね!」
セクシー担当れいなが、堂々とした調子で提案を始める。
「メイクは、闇と炎が交差する“復活の顔”をイメージしたらどうやろ?それがREJECT CODEの覚悟、見せる演出になると思うがね」
――「復活の顔」とは、LUX NOCTISの“支配の演出”に対抗する、REJECT CODEの覚悟を表現するためのメイクテーマだ。
れいなは続けた。
「アイメイクはな、下アイシャドウにダークグレイ+ディープバイオレットを使って、“闇”を感じさせる影を演出すべきだがね。
上まぶたは、シャープなブラックの跳ね上げアイラインを引いて、“猛禽の鋭さ”を瞳に宿らせるんよ。
あと目頭に赤ラメを少しだけ載せるのもええと思う。炎が灯ってるみたいな瞳になるがね。」
みんなはうなずきながら、そのビジョンを眼前に描いていた。
ミサが次に口を開いた。
「ルージュはな、燃え上がるようなクリムゾンレッドのリキッドルージュにしたらええじゃん。
唇の中央はちょっと濃いめにグラデして、“燃焼感”がにじむように演出するんよ。
フォルムはくっきり縁取って、**“叫ぶような赤”**を作ったら、めちゃインパクトあるわ!」
その言葉にうなずきながら、ミサはさらに続けた。
「チークとハイライトはな、チークは控えめにして、ゴールド系ハイライトを多めに入れるんよ。
炎が上に向かって昇っていくイメージで、火の粉の煌めきを頬骨の高めに入れるんだがね」
七海はその提案を受けて頷き、メンバーの空気が、熱に包まれる。
それはROUGE NEONが、メイクという武器で、“パーフェクトREJECT CODE”を武装してステージに送り込もうとしている証だった。
七海がメンバーに言う。
「ほんなら、必要な素材、調達しに行こまい!」
メンバーが一斉に声を上げる。
「よっしゃ、買い出しやがね!」
「燃えるがね〜!」
「ええもん、見つけたるでよ!」
七海が舞依に向かって告げる。
「ちゅうわけで、ちょっと買い物行ってくるでね!」
舞依が笑って答える。
「お願いします。いってらっしゃい」
ルカが肩を回しながら言う。
「よっしゃ、気合い入れて探すがね。照明映えする素材、見逃さんよ!」
ミサがスマホを構えながら。
「このへんの手芸屋、全部チェックしたるで。ええ布、絶対あるはずやて!」
ひよりが元気よく続ける。
「体温で色変わるやつ、実験用に何種類か買うといたほうがええがね!」
れいながウィンクして。
「サーモパウダーも、フォトクロミックも、まとめて揃えたるがね。ROUGE NEONの買い出し、なめたらあかんよ!」
七海が笑いながら締める。
「うちらが本気出したら、買い物も演出の一部になるんやて。行こまい、みんな!」
買い出しから戻ったROUGE NEONのメンバーは、スタジオの隅に染色スペースを広げた。
テーブルには染料の瓶、計量器、試験布、UVライト、ドライヤーがずらりと並び、空気はピリッとした集中モード。
ミサが冷静に口を開く。
「まずは染料の調合からやて。いきなり本番は危ないで、小さい布で試してみよまい」
七海が頷いて笑う。
「さすがミサやて。冷静な判断、ほんと頼りになるがね」
調合された染料を布に塗布し、紫外線ライトを照射。
光が触れた瞬間――まるでスイッチが入ったみたいに、黒っぽかった布が鮮烈な赤に変わった。
ひよりが目を見開いて叫ぶ。
「うわっ、光った!一瞬で変わったがね、これ!」
ルカが興奮気味に続ける。
「めっちゃええやん!この反応速度、ステージ映えするで!」
ミサが頷きながら分析する。
「紫外線にはバッチリ反応しとるね。次は温度変化、試してみよまい」
ドライヤーで熱風を当てると、布は赤から紫へと変色。
紫外線と組み合わせると、色が複雑に変化し、まるで呼吸するような布になった。
れいなが感動して言葉を漏らす。
「ヤバいね、これ。絶対映えるがね!」
ミサが布をじっと見つめながら、冷静に判断する。
「でもな、温度での変化がちょっと弱い気がするんよ。もうちょい配合、いじってみるわ」
七海が布を持ち上げて光に透かす。
「この質感、ええ感じやて。染め方次第で、ほんと生きるように変化すると思うわ」
ルカが笑いながら言う。
「うちら、染色職人みたいやね。ROUGE NEON、手ぇ抜かへんで!」
こうして衣装の生地が少しずつ命を宿すように染め上げられていった。
その後、REJECT CODEのメンバーの採寸をして、衣装の型取りを行っていくROUGE NEONのメンバー。
七海は舞依と琴音の採寸を担当。メジャーを腰に回しながら、にっこり笑う。
「舞依ちゃん、スタイルええねぇ〜。衣装のイメージにピッタリやて!」
舞依が照れながら笑う。
「そんな、恥ずかしいです…」
七海が琴音の採寸に入る。
「おやおや、こっちはえらい可愛らしい顔しとるがね。しゃれとるヘアスタイルもよう似合っとるし、こりゃ衣装映えするに決まっとるわ」
琴音が舌を出してウィンクしながら答える。
「そりゃ、小悪魔琴音ですから♡」
ミサは萌絵の採寸担当。クールビューテイー同士の絆が生まれていた。
「萌絵さんのクールなイメージが引き立つように作るわ」
「ありがとうございます、ミサさん」
ルカは穂奈美担当。性格は真逆だが、演奏スタイルは共通するものがある。
ルカが採寸を進めながら、笑い混じりに声をかける。
「穂奈美ちゃん、性格通りの熱いライブ、期待しとるでよ!」
穂奈美が元気よく返す。
「まかせて!日本一の最強ツインテールギタリスト穂奈美様が会場を湧かして見せる!」
ひよりは彩の採寸をしながら、布を胸元に当てて首をかしげる。
「彩ちゃん、胸おっきいがね!生地足りるかな〜?ちょっとセクシーでええかも!」
彩が慌てて手で胸元を隠す。
「えー?そんなー!あんまり胸強調しないでー!」
れいなは香澄の採寸をしながら、じっと顔を見つめる。
「香澄ちゃん、近くで見ると意外とセクシーやん?私が作る衣装で、そのセクシーさ、前面に出したるで!」
香澄が目を輝かせて叫ぶ。
「ホントですか!是非!今度こそ男子のハートをゲットするのよ!」
こうして無事衣装の採寸と型取りが進んでいった。
七海がROUGE NEONのメンバーに向かって声を張る。
「衣装は明日までに仕上げるでよ!みんな、気合入れていこまい!」
メンバー一同、声を揃えて叫ぶ。
「よっしゃー!やったるでぇ!」
そして――衣装は、ついに完成した。
七海が静かに言う。
「これが、伝説の始まりやて。うちらが、色で旗を掲げたるがね」
メンバーたちは頷き合い、覚悟を胸に刻んだ。
グランドファイナルまで、あと少し。
ステージは、もうすぐ燃え上がる。
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