信号

愛染ヒドロ

告白

 横断歩道の前に、2人で並ぶ。

 一緒に帰れるのはここまで。


 いつも通りの帰り道。

 けれどその日は、もうずいぶん暗くて、なぜか、ここで別れてしまうことが、たまらなく、寂しかった。


 信号が青から赤に変わる。

 押し込んでいた気持ちが、あふれてくる。


「ねえ」


 彼は私を見た。

 そっと目を瞑り、勇気をだして、一歩踏み出す。


「好きだよ」


 彼に背を向け、そう告げた。


「まって!」


 彼の声が、後ろから飛んでくる。


「僕も、」


 突然、体がなにかに締め付けられた。


「好き」


 彼の声が、耳元で聞こえる。


 私は彼に、後ろから抱きしめられているようだった。

 驚いて、思わず目を見開く。


 赤が、私に警告するように、煌々と光り輝いていた。


 天地が逆さになるような、体が飛ぶような、そんな感覚がした。


 鼓動が早まる。頭が回らない。


 その後、ブレーキ音が響いた。

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