第18話
翌日、流れたニュースには宇宙人の報道はされなかった。情報規制して貰いただのビルの崩落事故としてニュースに流れている。突如現れた空中に浮かぶ高速道路。謎の武装集団や白虎、そして化け物の存在に関しては拡散と削除が平行して行われている状況にある。ネットにはこれが真実であると政府が宇宙人をひた隠しにしている等と、オカルト関連スレッドでは大盛り上がりを見せている。陰陽庁の幹部会が開かれたが、重圧という名の沈黙がその場を支配していた。チームリーダーを務めていた春坂義雄と支部局長の京子がその場に同席して幹部に状況説明を行ったのだが、芳しくない。特に、教会の台頭を容認するかの行動は幹部にしてみれば面白くないのである。日本には教会に頼らずとも独自で魍魎跋扈を退治してきた自負がある。これを認めれば日本の国家安全保障に他国が介入する事にも繋がりかねない。春坂は京子に連絡したが、京子は幹部に報告すべき案件であった。それから教会に動かない様通達をすべきというのだ。春坂にしてみれば要救助の介護が必要な現場が切迫している状況で無茶言うなと悲鳴を上げたい心境である。
すでに議長の座を降りた水蓮が顔を真っ赤にして怒り心頭であるのにも理由があるというものであった。
「・・・・・・・・・・・・・」
突如、現代の安倍晴明である清治がその場に現れる。
「なんや、教会とパイプある御仁が総理に言うて今回だけの助っ人として助成を頼んだっちゅう事らしいわ。何や裏でコソコソとキナ臭い話やで。俺等に相談せんかったんは教会の位置が近かったからとか言うとったけど怪しいもんやな」
春坂の話では、白虎と紅葉、葵が追撃したものの退治に至らず街から森へ逃げたという事であった。その後追尾班を結成、感知者と結界師を現地に派遣して徹夜で今も結界の傍に居る。結界は街全体を覆うものではなく、一つの壁を乱立させて入らせないようにしている。
「これ以降、教会の参入を許さない様に総力を挙げてこの局面に臨む事とする。異論はないな?」
全員が頷き、次に化け物を取り逃がす事の無い様にようやく会議が進められた。
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