第13話
「止まりなさい!!化け物!!」
絵美の声等意にも介さず、化け物が歩みを止める事は無い。その瞬間、赤い光の粒子が目の前に広がる。後方に居た少年が、瞬時に絵美の目の前に移動したかのようだった。赤い光に包まれた少年はその刀で、絵美の前に立ち化け物に立ち憚る。しかし、その前に化け物の顔が爆発する。次いで、手、足、胴、に何発か銀銃が撃ち込まれる。再生が追いつき、回復はしたが化け物は事態を飲み込めていない。紅葉、葵も周囲を確認して自分たちが囲まれている事に焦りを感じていた。味方ではない、何者かの攻撃に緊張が走る。
「おい、ボンクラ気を付けろ。10人以上居るぞこいつは」
「・・・結界張れるか?」
「この場の全員は無理だな。建物や被災者まで広域でカバー出来るのは玄武くらいだ」
葵の後ろ側から数名、建物の窓から、屋根から、飛んでいるヘリコプターからの射撃は確認出来たが、後一体何名潜んでいるかは未知数と言える。ようやく、春坂が追い付いて、周囲を見渡して絶句する。シスター、宣教師の恰好をした武装集団が重火器を用いていつでも引き金を引く準備を整えているのである。
「――――――――――教会が何故!?いやっそんな馬鹿な!!」
一台の黒い車が止まり、扉が開かれると一人の女性がこの場に姿を現した。
葵の後ろから、コツ、コツと靴の音を鳴らして登場する。
「ごきげんよう、陰陽師の方々。この一瞬だけ、我らもあの化け物を担いましょう。まぁ、これだけ被害が出ればあちらも、我々の提案を考えざるを得ないという事でしょう。フフフいつまでも妖怪の討伐に関する国防を陰陽師だけに任せているからこうなるのです」
悪い笑みを浮かべた金髪碧眼のシスターが指を鳴らして、後方で射撃を行っていた部隊を前に出す。黒いスーツに身を纏っている男女2名の姿が現れると、化け物を四方に囲んで、銀銃を浴びせた。たまらず、化け物はクロスガードして防いではいるが、流石に集中砲火に耐えられなかったのか大きく跳躍してまたビルの屋根へと移動する為壁を上り始めた。シスターはヘリに合図して空から梯子が下ろされスーツの2名はそれに乗って上へと上昇していく。化け物が壁を上りきり、屋根へと移動すると黒田、前田がスーツを装着して待機していた。
「それじゃあ、始めますか。バックアップは任せておけ」
「頼みます」
手には霊子剣を装備して近接戦闘の準備もしてある。ヘリが上昇して残りの二人も追い付いて来た。
「だらしない陰陽師の代わりに俺らがお前をやっつけたるでぇ」
「そのセリフ、返り討ちフラグっぽいからやめなさいよ」
二人が着地して銃を構えて、二人の銀銃が化け物に直撃した。
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