第10話

男の子達は、1駅となりの高校に通っているらしい。それぞれどの部活に所属していて、趣味はこれで…と自己紹介がてらいろいろ教えてくれた。




次は女子ね!となり、順番に自己紹介。私は最後。




「佐倉陽菜子です。中学で陸上をやってました。趣味は……」




簡単に済ませた。相手の男の子達の名前はもう覚えていないし、ハルよりかっこいいとも思えなかった。





比較対象が兄なのは申し訳ないけど。




合コンはそこそこ盛り上がった。そのなかでもケイと呼ばれる彼は、私へ積極的に話しかけてきた。




底抜けに明るくて、ノリが良くて、いかにもモテそうだなって感じ。家をとび出た手前、ハルのことが気がかりであまり気分が上がらなかった私を、ぐいぐい輪の中に入れてくれた。




「陽菜はさ、好きな人とかいんの?」




その呼び名はハル以外で初めてだなと思いつつ、端っこの席でピザをちびちび食べながら質問される。




思い返してみると、今あの人かっこいいと思う人は何人かいたけれど、そこから異性として意識することは無かった。




「いないかも。今まで1人も」




「えっ!?まじ?じゃあ付き合った奴もいないってこと?」




「うん」

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