第27話|スコーンとジャム(日曜日の朝、ふたりだけの小さな喫茶店)

日曜日の朝に焼きあがる、幸せな音と香りを――



「……起きてる?」


寝ぼけた声で、楓がキッチンを覗くと、

そこにはエプロン姿で粉まみれの日向。


「おはよ。ちょっと早起きして、スコーン焼こうと思って」

「え、それって……あの、紅茶に合うやつ?」


「そう、それ」


日向の手の中には、まだ丸められていない生地のかたまり。

部屋の中に、バターと小麦のやさしい香りが漂いはじめていた。


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今日のレシピ|バター香るプレーンスコーン


材料(直径6cm×6個分)

* 薄力粉 … 200g

* ベーキングパウダー … 小さじ2

* 砂糖 … 大さじ2

* 塩 … ひとつまみ

* 無塩バター(冷えたもの) … 50g

* 牛乳 … 100ml(調整用)

* 卵黄(つや出し用) … 1個分

* 好みのジャム(いちご・アプリコットなど)


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作り方

1. 粉とバターをなじませる

ボウルに薄力粉、ベーキングパウダー、砂糖、塩を入れて混ぜる。

角切りにした冷たいバターを加え、手でバターを粉にすり合わせるようにしてサラサラに。


2. 牛乳を加えてまとめる

牛乳を少しずつ加えながら、切るように混ぜる。

ひとまとめにしてラップに包み、冷蔵庫で15分休ませる。


3. 成形して焼く

生地を2cmの厚さにのばし、型で抜く。

表面に卵黄を塗り、180℃に予熱したオーブンで15〜20分焼く。


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オーブンの前で、ふたりは並んで座る。

中で少しずつ膨らんでいくスコーンに目を細めながら。


焼き上がったスコーンは、ほんのりきつね色で、表面がさくっと割れる。


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味の感想(by 楓)

外はサクサク、中はふわっとして、じんわり広がるバターの香り。

ジャムをつけたら甘みが加わって、口いっぱいに朝が広がる。

これ以上なにか言う必要、ないくらいに、おいしい。


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テーブルには、小さなティーポットと、2つのマグカップ。

窓から差し込む光のなか、ふたりはまるで、小さな喫茶店の店主と常連みたいだった。


「毎週は無理だけど、たまにはこういうのもいいかもね」


「うん。“ふたりモーニング”って名前つけようかな」


名前をつけることで、思い出が少しだけ特別になる。

それが、ふたりだけの、朝の習慣になっていくかもしれない。


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次回は「クリームシチューと、ただいまの間」

あたたかく迎える味がある。帰る場所がある。

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