第18話|ラーメンと、約束の場所

夜の静けさ。

薄明かりの中で、ふたりの部屋はいつもよりひんやりしている。

仕事や学校が終わったばかりの、少し疲れた身体を優しく包み込むのは、あたたかいラーメンの香り。


「ラーメン、食べたい?」

日向がぼそっと言うと、楓は嬉しそうに頷いた。

「うん、でも、今日はちょっと特別なやつにしよう」


コンビニで買ってきた、少し高めのラーメン。

けれど、ふたりの間には何かしら少し切ない、重たい気持ちが流れ始めていた。


---


今日のレシピ|ラーメン(こってり豚骨風)


材料(2人分)

* ラーメンの麺(インスタント) … 2玉

* 豚骨スープ(インスタント) … 2袋

* チャーシュー(市販) … 4枚

* ゆで卵 … 2個

* 青ねぎ … 適量

* メンマ … 適量

* 白ごま … 少々

* 海苔 … 2枚


---


作り方

1. スープを作る

鍋にお湯を沸かし、豚骨スープの素を入れてよく混ぜる。

少しこってりとしたスープに仕上げるため、強火でしっかり温める。


2. 麺を茹でる

別の鍋で麺を茹でる。パッケージの指示通りに茹で上げ、湯切りをした後、すぐにスープに入れて混ぜる。


3. トッピングを準備

チャーシューは軽く温め、ゆで卵は半分に切っておく。

青ねぎやメンマを細かく切り、海苔を準備。


4. 盛り付け

ラーメンを丼に盛り、スープを注ぐ。

チャーシュー、ゆで卵、青ねぎ、メンマ、白ごま、海苔をきれいに並べて完成。


---


温かなラーメンの湯気が部屋に立ちこめ、ふたりは少しだけ黙って器を手に取った。

ラーメンの香りが食欲をそそり、自然に箸を伸ばしていく。


一口食べた日向がふと静かに言った。

「ねえ、楓」

「うん?」


楓が顔を上げると、日向の顔が少しだけ真剣に見えた。

「私たち、これからどうなるんだろうね」

「……どういう意味?」

「なんていうか……さ。お互い、もっと遠くに行くって決めたけど、それでも今みたいに、こうやって一緒にいられるかなって」


その言葉に楓は一瞬、息を呑んだ。

でも、すぐに静かに答える。


「……わからないけど、きっと大丈夫だよ」

「うん、だよね」

「だって、こうやって一緒に食べてるだけでも、少しだけ未来が見える気がするから」


お互い、笑顔を見せたけれど、どこかその笑顔の奥に隠された不安が感じ取れる。

それでも、ラーメンのあたたかさが心に染み込み、少しだけ心が軽くなった。


---


味の感想(by 日向)

こってりしたスープが濃厚で、麺の食感が良くて、まさに温かさを感じる味。

チャーシューの甘みと、青ねぎのさっぱり感が絶妙にバランスを取って、食べながらホッとする。


「これが、私たちが一緒に食べる最後のラーメンじゃないって思いたい」って、ちょっとだけ思った。


---


夜の静かな部屋で、ふたりは言葉を少しずつ選びながら、確かに心に残る時間を過ごしていた。

ラーメンを食べ終わった後、楓は黙って日向の隣に寄り添う。


「大丈夫、きっと。」

そう言って、手を握ったその瞬間。

ふたりの間には言葉にできない“約束”が、ほんのりと感じられた。


---


次回は「スパゲッティと、思い出の場所」

少しだけ遠く、でも大切な場所で交わされた言葉――


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る