第3話|ふたりで作る手ごねハンバーグ
あたたかくてちょっぴり照れくさい――
「よし、今日はハンバーグ!」
日向は、エプロンのひもをぎゅっと結んで言った。
今日は自分が料理担当。昨夜からちょっと緊張していた。
「ひとりで全部やるのもアリだけど……今日は“ふたりで”作りたいなって」
「うん、そういうの、いいかも」
楓は嬉しそうに袖をまくり上げた。
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今日のレシピ|手ごねハンバーグ(デミグラス風ソース)
材料(2人分)
ハンバーグ
* 合いびき肉 … 300g
* 玉ねぎ … 1/2個(みじん切り)
* 卵 … 1個
* パン粉 … 1/2カップ
* 牛乳 … 大さじ2
* 塩 … 小さじ1/3
* ナツメグ … 少々(あれば)
* 黒こしょう … 少々
* サラダ油 … 大さじ1
ソース
* ケチャップ … 大さじ2
* ウスターソース … 大さじ2
* 赤ワイン … 大さじ2(なければ水でも)
* バター … 10g
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作り方
「まずは玉ねぎ炒めるね。焦がさないように、甘くなるまで」
フライパンに油を熱し、楓が玉ねぎをきつね色になるまでじっくり炒める。
その間、日向はボウルに合いびき肉を入れ、卵、パン粉、牛乳、調味料を加える。
「よし、いくよ」
冷ました玉ねぎも加え、手でこねる――
ぎゅっ、ぎゅっと、肉がまとまっていく感触が手に伝わる。
「なんか……不思議。生地に気持ちが入るって、こういう感じかも」
「うん。ふたりで混ぜると、ハンバーグに“責任”生まれるよね」
「重いよ、その責任」
笑い合いながら成形したパテを、フライパンで焼いていく。
強めの中火で片面3分、焼き色がついたら裏返して蓋をして、弱火で7分。
肉汁がじゅわっとあふれ、香ばしい香りがふたりの鼻をくすぐる。
「ソースは任せて!」
楓が小鍋にケチャップ、ウスター、ワインを入れ、軽く煮詰める。
とろみが出たところでバターを溶かし入れた。
「うわ、甘くて酸っぱくて、いい香り!」
「これ絶対おいしいやつ……!」
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味の感想(by 楓)
ナイフを入れると、肉汁がじゅっとこぼれて、思わず目を見合わせる。
一口頬張れば、ふわっと柔らかくて、ほんのり甘い玉ねぎの香りが広がって――
そのあとに来る、濃厚なデミソースのコクと酸味。
「やばい、これ。お店出せる」
思わず言って、日向の顔がほんの少し赤くなった。
でもきっと、それはハンバーグのせいだけじゃなかったと思う。
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夜は少し冷えてきた。
だけど、ふたりのキッチンには、熱があった。
火と香りと、笑いと――ふたりの気持ちが、少しずつ混ざり始めていた。
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次回、第4話は「朝焼けのフレンチトースト」。
休日の朝、甘くてふわふわの時間。
ふたりの間に、なにかがやさしく染みていく――
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