帰宅

 自分の仕事内容をまとめた報告書を女王陛下に渡し、そのまま女王陛下と一晩をと共にした後に僕は自分のお店を帰って


「禁書庫に行ける日が楽しみだな」


 ベッドの上でしっかりと女王陛下から禁書庫への許可証を貰った。

 これで僕は何時でも禁書庫へと入れることになる。


「ふんふんふーん」


 それにワクワクとしながら、僕は久しぶりに自分のお店に店員として開店の準備を始める。

 

「……僕が北の大地に行っていることが知れ渡っているのか、抽選人数ちょっと少ないな」


 開店準備を終えた僕は端末を操作しながら、今日どんな感じになるかを想像していく。


「お、お邪魔します……」


 そんな中、ゆっくりと扉が開かれて中にお客さんが入ってくる。


「いらっしゃい。初めてのお客様かな?」


 新顔のお客さんだ。

 今日は抽選した人の数が少なかった。だからこそ、新顔の人も比較的に抽選に当たりやすかったのだろう。


「……ほ、本当に男性がいるっ」


「そういうお店だからねぇ。置いてあるのはすべて僕の私物だよ」


「お、おぉぉぉ」


 入ってきたお客さんは僕の言葉に壊れた機械のように首を縦に振りながら辺りを見渡す。置かれている商品の数々を前に目を血走らせ、興奮からか鼻血を流し始める。


「し、使用済み……お、男のっ。こ、これは全資産はたいてでも」


「アハハ。申し訳ないんだけど……結構お金を稼いでいる商人さんだよね?全部買い占められるほどの在庫はないかなぁ?」


「ハッ!?す、すみません……こ、興奮してしまって……そ、そうですよね。か、買い占めとか……して、いいわけないですよね」


「そうだねぇ。あくまで置かれているものは僕の使った私物。そんな大量に一日で使えるわけじゃないからね。どうしても在庫は少なくなっちゃうんだ」

 

 食器とか、鼻かんだティッシュとか、もう商品として売っていいのか……?なんて思うようなものまで並べていてもなお、全部飛ぶように売れて一瞬で在庫は枯渇する。

 怖いよね。

 まぁ、前世で僕も女の子のかんだティッシュが売っていたら買うけど。間違いなく。気持ちは大いにわかる。

 聖水を置いていないのが僕に残された最後の良心、良識である。


「でも、その代わりにサービスはちゃんとしてあげるから……うちの店のサービスは既に話題になっているし、知っているでしょう?」


「……は、はにゃっ!?」


 自分が肩に手を置いた瞬間に固まって動かなくなってしまったお客さんを連れて僕は裏にある寝室へと連れていくのだった。

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