未完成の魔物

 魔砲が縦横無尽に森の中を駆け巡り、辺りは光に包まれる。


「ちっ」


 だが、それで殺されたのは最初の一人だけ。

 他の魔女教徒たちは逃げ惑い、回避し続けている。


「もうちょっと戦う意思を見せてくれてもいいんだけど?」


 魔女教徒たちは逃げてばかり。僕の攻撃から逃げてばかりであり、攻撃することは稀。時折飛んでくる攻撃を結界魔法で軽く防ぐだけだ。


「ハァァァァァアアアアアアアアアア!」


「……」


 魔砲から逃げ惑っている魔女教徒たちを剣を持って追いかけているリーシアのことを眺めながら僕は自分の頭を働かせていく。

 探らなきゃいけないのは相手の目的だ。特に意味もなくただハイポイズンスネークを量産し、ただ僕たちと戯れるのが魔女教の目的ではないはず……何か、もっと根本的な目的があるはず。

 魔女教徒たちから読み解けるものはない。こいつらは感情が死んでいるのか、以前、色仕掛けを試してみたりもしたが、普通に失敗した。あの時は死にたかった。


「ふぅー」


 確認するべきは、魔女教徒が暗躍していたこのフィールド。

 魔砲を放ち、魔女教徒たちを本気で狙いながらこの場全体に対して探索魔法をかけ続ける。


「こいつだな」


 その果てに、僕はこの大森林の遥か地下に沈められていた魔物の存在へとたどり着く。

 こんな地下深くに隠されていたらそりゃ簡単に気づけない。でも、気づけた。なら、僕がだいぶ有利だよね!杖をくるりと回して地面へと向け、地下にいる魔物を狙って魔砲を放つ。

 最大威力で放った魔砲は地面を抉りながら突き進んで巨大な穴を作り、そのまま地下にいた魔物にまで直撃する。


「「「……ッ!」」」


 その瞬間、魔女教徒たちが血相を変えて僕の元にまで迫ってくる。


「これがお前らの本懐かっ!」


 どうやら、僕はちゃんと当たりを引き当てることが出来たらしい。

 自分の元へと向かってくる魔女教徒たちに向けて僕は魔砲を放つ。一人二人と打ち落とし、それでもまだ、自分の命など度外視でこっちへと突っ込んでくる。


「ほっ」


 近づかれるのはNGー。近距離は別にそこまで強くないので!

 僕は魔法で後ろに下がりながら魔砲を連発し続け、それと並行してブチ開けた穴の奥にいる魔物にも干渉していく。


「後ろ!?危ないわよ!」


「んっ、ありがと」


 下がっていく僕の背後に待ち伏せしていた魔女教徒。

 そいつをぶっ潰し、僕の背後を支えるような形で剣を構えるリーシアに対してお礼を告げる。


「護衛よろしく」


「はっ!?」


 そして、僕はそのまま自分の護衛をリーシアに任せて杖を地下の魔物へと向ける。

 どれだけ干渉しても全然足りない。魔物の全容を理解出来ないし、どんな魔物かもほとんどわからない。干渉してみてわかったのは人工的な魔物でまだ完成はしていないというだけ。

 それ以外わからないが……完成させたら不味いのはわかる。

 今のうちに潰す。


「魔砲」


 最大威力だ。

 巨大な魔法陣を描き、多量の魔力を込めて魔砲を未完成の魔物に対してぶっ放そうとする。


「ガァァァァアアアアアアアアアアアアアアアッ!」


 だが、それよりも前に魔物の咆哮が響き渡る。


「ちっ」


 駄目か。不完全のまま動かしてきやがった。

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