No.017 決意 side-ハナ

 1節 自分の思い


 あたしだって意志がある。他の誰かと同じように。

 あたしはそれを示すだけ。あたしの両親に対して。

「……はぁ」

 改めて言おうと思うと緊張する。だってあたしの人生を大きく決めることだし。

 でも、今更言うのをやめようかと言えば、答えはNOだった。

「ねえパパ、ママ」

「どうしたの?」「どうした?」

「私、やっぱりあの高校に行きたくない。私が行きたいって言ってた高校に行きたい」

 言った。あとはもう止まらない。

「まだそんなことを言うのか?」

「だって当然でしょ?私は私で行きたい進路を決めるんだから」

「私とお父さんの言うところにしなさい?悪いことは言わないから」

「嫌だ!」

「将来の仕事とか考えたらのほうがいいよ?」

「でも私はに行きたいの!ママの言うとこは私のやりたい部活ないから!」

「部活で決めたって仕方ないでしょ?」

「仕方なくない!部活で高校決める人だっているでしょ!?」

「でもそれは強豪の部活だからで、別に月花は強豪だから入りたいわけじゃ無いでしょ?」

「それは、そうだけどさ……」

 すぐに言い返せなかった。数秒間の沈黙が流れる。

 短いけど、すごく長い時間に思える感覚だった。

 でも、すぐに言い返す言葉は浮かんできた。

「でも私は音楽が好きなの!!」

 続けて言う。

「少なくとも、わざわざ軽音部がある高校を選ぶくらいには!」

「だから「だからじゃなくて!私は音楽が好きだからあの高校に入りたいの!」

 なんとしてでも折れさせる。

「でもあの高校の偏差値は50にもいかないでしょ?そんな高校はダメ」

「それはお母さんのエゴでしょ?私には私のエゴがあるの!」

「私とお父さんはあなたのを考えて言ってるのよ?」

「じゃあを考えて私の行きたい高校に行かせて!?」

「だから月花のを考えてるのよ!」

「将来だけじゃなくて私の心も考えてよ!」

「本当にお前も言うようになったな。やっぱりあのバンドは抜けさせてよかった」

「は……?」

 今までで一番許せない。

 END MEMORIESを抜けさせてよかったなんて。

 私の中で、何かが千切れた。ぷつんって。



 2節 絶対に


「私はあのバンドが好きなの!!!!」

 今日一番の大声かも。

「近所に迷惑だからやめなさい!」

「何!?あたしのためを思ってるならあたしの行きたい高校に行かせてよ!あたしのやりたい部活をやらせてよ!そうじゃなきゃ納得しない!」

「じゃああんたスマホ解約するわよ!?」

卑怯ひきょうだよ!」

 その手は使われたら抗えない。

 スマホを解約したら、パソコンで会話とかをするのを余儀なくされる。

 従うしかないの……?




 ——————————



 あの後もっと言い争って、あれがこうだそれがどうだって続けた結果、「どうなっても知らない」の言葉と一緒に私が行きたい高校に入ることを許してくれた。

 嬉しいい。ついに、ついに手に入れたんだ。第一志望への切符を。

「バンドも勝手にしろ」って言うんだから、私はそりゃ喜んだ。

 これをバンドメンバーに伝えたら、みんなも喜んでた。それを見て本当に安心した。あたしはこのバンドにいていいんだって。



 3節 感情


 なんか私はいつの間にかEND MEMORIESにすごい大きい感情を抱いてる気がする。たぶん、これはバンドに対してだから恋愛的な感情とかそういうのじゃない。でも、この気持ちを捨てたら本当にダメになっちゃう気がする。

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