3.5 我慢の時

「ふふっ、もう寝てる」


 膝枕と耳かきのコンボで不眠症の亜理紗ちゃんも気持ちよさそうに眠りに落ちていた。


 葉隠亜理紗ちゃん。今年16歳になる女の子で、私の大好きな大好きな可愛い女の子。


 特に小学生に負けそうなくらい小さな身長と、もさっとした髪からごくまれに見える綺麗なまんまるお目目がとても可愛らしい。私のせいでついてしまった濃い隈も、私がつけた痕のような感じがしてとても心に来る。申し訳なさももちろんあるけどね?


 しかも唇はプルプルだし、化粧とかはしないけど色々なことに気を遣っているから肌荒れやムダ毛はない。そういう所も凄く可愛い。


 そんな超かわいい天使のようなこの子と出会ったのは去年。一回生になった途端に増えた空き時間を有意義に過ごすべく、お父さんが使っていたロードバイクで隣の県までサイクリングしていた時。


『お姉ちゃんが一緒にいてあげるね!』


 ぶかぶかであまり似合っていない中学生の格好をした亜理紗ちゃんが、迷子になって泣いている子供を慰めていた。


 最初は泣いてる子供がかわいそ可愛いなぁ程度にしか見ていなかったけど、そのあとに泣いている女の子を必死にあやしている亜理紗ちゃんの姿を見て、人生で初めて恋をしてしまった。


 正直言って、私は今までの学生生活でいつも学園一の美少女とか、付き合いたいランキング一位とか色々ともてはやされてきたし自分でも可愛いという自覚はあった。

 でもこれまでの人生で、こんなにも誰かに惹かれるということはなかった。これには劣るけど、唯一惹かれたのは魔法少女アニメに出ていた主人公くらいだ。


 まぁ、その時から自分でもロリコンの気があるのかなぁとは思っていたけど。でもまさか、本当に亜理紗ちゃんみたいなロリロリした子をここまで好きになるとは思っていなかった。


 誰かのためにこんなにも必死になれるところとか、不安そうにしている子供のためにおどけている所とか、なんかもう上げだしたらきりがないくらい色々な魅力を彼女は持っていた。今思うと、昔好きだった魔法少女と近しいところがいっぱいあるなぁ……


 ちなみに、そのあと少女が落ち着いてから一緒に交番に行って親と連絡を取ったので、事は無事に済んだ。まぁ申し訳ないけど、私の中ではもう迷子の少女のことなんてどうでもよかったんだけどねぇ。


 そしてその事を最後まで陰で見送ってから私は、自分の持てる力を全て注いで亜理紗ちゃんのストーキングに時間を費やすようになった。サイクリングも楽しかったけど、今はこっちのほうが楽しい。


 それに、私のロリコンを暴いた亜理紗ちゃんに責任も取ってほしかったしねぇ〜


「ふふふっ」


 あの日から努力をし続けて約一年。ついに今日、私の初恋の人と一緒に寝ることができている。なんかここだけ聞くと聞こえがいいなぁ……本当は犯罪ばっかして、襲いに来たストーカーなんだけどね。


 膝からおろして幸せそうな顔でベッドで寝ている亜理紗ちゃんは、今日も今日とて天使のようにかわいい。


「あ、忘れてた……」


 やらなきゃいけないんだった。ポケットに忍ばせていたレコーダーを取り出し、耳元で囁く。


 実はこのストーカー生活の中で、私は亜理紗ちゃんの可愛らしい特徴を見つけてしまったのだ。いや、亜理紗ちゃんは何してても可愛いけどね! 


「ねぇねぇ、亜理紗ちゃん」

「うぅぅう……? ぁに?」


 やっぱり囁き声に反応してくれた。


 これが私の見つけた特徴だ。亜理紗ちゃんはなんと、眠っているときでも配信中の私の言葉に応えようとしてくれるのだ。しかも、どれも肯定的な意見ばかり。従順可愛い天使の亜理紗ちゃん。可哀想に、お姉ちゃんにそれを悪用されちゃうなんて……まぁ、悪いなんていっちミリも思ってないけどね~


「お姉ちゃん、ここに住みたいんだけど……」

「ぃぃよぉ……」


 うっ!!!!!! 寝ぼけふにゃふにゃ声+満面の微笑みはやばいっ!!!! 


 …………ふぅ。危なかった。私がお姉ちゃんじゃなかったら耐えられなかった。もう、亜理紗ちゃんったら、顔の良さをもうちょっと自覚して欲しいな!


「ありがとぉ。後、空き部屋で配信してもいい?」

「いいよぉ……すきぃ」


 ううっ!!!! もうやばいっ!! なんでそんなにお姉ちゃんを煽ってくるのかなぁほんとっ!!!! さっきから襲われたいの!? お姉ちゃん本気にしちゃうよっ!!


 配信が好きって意味だってわかってはいるけど、でもあの言い方はずるくない!?!? またキュートな微笑みもしてくるし!!


 絶対後で編集して、いつものデータに良い感じにぶち込んでやる……お姉ちゃんのこと弄んできた罰だよ……!


 凄い今色んな感情が高ぶってきている。でも、発散したい気持ちしかないけど、今日はとりあえず全てを我慢して寝ることにしよう……だって、亜理紗ちゃんと添い寝できるなんて、きっと今日しかないだろうし。


 正直なこと言って、この生活だっていつまで続けてくれるかわからない。もしかしたら明日には通報されているかもしれない。


 だから、悔いのないように色々なことに挑戦していこう。変態ストーカーとして刑務所に入れられた時に後悔しないように……


 まぁ、欲を言えば、このまま不眠症が悪化して私と添い寝しないと寝られなくなって欲しい。そうなれば私に依存するしかなくなるだろうし〜


 亜理紗ちゃんが苦しむのは可哀想だけど、それはそれで可愛いし、悔しそうな顔で私に添い寝を頼んでくる亜理紗ちゃんも当たり前に可愛い。何だこの子。どんな行動しても可愛くないか??


 とにかく、捕まる前に彼女と和解するか依存させるか惚れさせるかしないと、私の華やかな大学生活も社会生活も終わっちゃう……本当は無理矢理逮捕を回避できる方法もあるけど、それをすると私にすごくストレスが掛かることになるからそれだけは避けたい。


 まぁこれからの作戦はまた明日考えるとして、とりあえず今日は寝よう……スウェットは着て、ブラジャーは脱いでっと。


 そうだ! このブラジャーを亜理紗ちゃんの近くにおいてあげよう。私の匂いを刷り込ませておけば、後々いいことが起きるかもしれないし。


 ちなみに匂いは亜理紗ちゃんが使っているメーカーと同じ種類で、しかも柑橘系だけど亜理紗ちゃんとは違う匂いのものを使ってる。


 同じ匂いでも良かったけど、これが私の匂いだって認識させたかったからあえて違うのにした。


 ちなみに亜理紗ちゃんが昔着ていた衣類は全て亜理紗ちゃんが愛用している洗剤で洗って、日焼けしないように遮光カーテンで覆われた空き部屋に保管してある。


 そう。私が両親から譲り受けたマンションの空き部屋に。


 ふふふっ、亜理紗ちゃんがニュースや新聞を全く見ない子で本当に良かった。もしあの子が情弱じゃなかったら、私のさっきのブラフがバレてしまっていた。


 マンションの解約をしてきたのは本当。でも、それは私と両親が元々住んでいたマンションのことで、私が住んでいるマンションは今もまだ契約が続いている。


 というか、契約も何も私がオーナーだから解約とかないんだけどねぇ……元々はお父さんの物だったけど、海外に移るからあげるって権利を譲ってもらったんだよね。維持費は親持ちのままだけどね〜


 まぁこの部屋に住むつもりだから物置部屋にでもしようかなぁ。今住んでいる部屋の方が大きいし、防音もしっかりしてるからそっちに亜理紗ちゃんグッズを移そう。


 今空いてる部屋もいいけど、防音じゃないから音漏れとかしてると嫌だしなぁ……声大きい自覚あるから、前はあの部屋でしにくかったんだよねぇ。


 でもこれからあの部屋に置くから、前みたいにいちいち自室まで持ち込んで衣類を使う必要がなくなるのはありがたいなぁ。


 …………だめだぁ。また気持ち昂ってきちゃった……寝ないといけないのに……


 う〜ん……でも、もしバレたら本当にやばいし、今日はなんとか耐えて明日自室でいっぱい発散しよう。どうせ、荷物取りに帰らないといけないし。

 

 すやすや眠っている亜理紗ちゃんの顔近くにブラジャーを置いて、私はその反対側に寝転がる。


 本当は寝ている隙におでことかほっぺにちゅうしたかったけど、今したら本当に燃えて全てを無視して爆発しちゃうから辞めておこう。


 そして頭の中でつまらないニュースとか課題のことを考えて、ぐっすり眠ることにした。


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今回は短め!! 果たしてこのストーカーは何者なのかっ!? あとお姉さんだからちょっとえっちな表現も多いよっ!!

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