kaidan ~怪談話~

ゆずたこぽんず

kaidan ~夢~

霞んだ、寺院に並ぶ老婆

霧がかった山中の寺院。

じゃりっ…じゃりっ…

砂利を踏む音が、耳の中で鳴り響いて…


炭色の肌をした老婆は、白い着物を身に着けて。

額には、三角形の布を縛り付けている。


ひとり、ふたり、さんにん‥‥

右にも左にも並んでいる…


寺院の道を進むごとに、その数がだんだんと増えていく。


髪の毛は白く細く…縮れて枝毛が絡み合って、ぼさぼさになった毛が‥‥

腰の方まで伸びている。


老婆の顔は、皺が深く、その目は黒々とし‥‥


じぃ、ろ、りぃ…

こちらを見つめている気さえする。


老婆の列は、寺院の階段の真下まで伸び…

まるで、この先に進めと誘っている。


おいで、おいで…


この先のお寺の中へ…踏み入ったらきっと…


不穏な霧が漂っている夢の中、身体はだんだんと重くなって崩れていく。

視界が闇に溶け始めると‥‥私は、目を覚まして。


夢の中のあの場所は、どこかに本当に存在しているのかもしれないー。


ーおしまいー

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