泥ツッパ〜女神様に転生特典を泥臭くされています〜
まする555号
第1章 離宮編
第1話 女神様は超セクシー
僕は死んだ。
仕事を少し長めに休みをもらい出雲旅行を楽しみつつ、ついでに河原での鉱石収集を行ったあと、駅に向かって歩いていた。
そこで、狭い山道を猛スピードで降りて来たダンプにはねられ、体の内側から聞こえちゃいけないような音が聞こえ、山道と平行に流れていた川に斜面を、腕とか足とか色々曲がっちゃいけない方向に曲がりながら転がり、最後に岩に頭がガツンとなって意識を失った。
即死の範囲ではあるけど、短い間、痛いし苦しいし、死ぬっていうのは楽なもんじゃ無いなと変に達観していた。
けれど、死んだと思ったら黒髪ストレートの滅茶苦茶美女が目の前にいた。着物が着崩れてる。先っぽまでは見えないけど、胸の谷間は見えちゃってて超セクシー。
「ダンプに跳ねられて死亡だと?こやつは随分とテンプレな死に方したもんじゃな」
もしかして女神様なのかな?異世界転生しちゃうって奴?確かにダンプに跳ねられたもんな。ラノベだとそれで転生する事が多いけど、そういうのって普通は横断歩道上で信号無視のダンプに轢かれるものだよね?
「次の転生先は……、地球とは違う中世時代ぐらいの文化の魔法がある世界?なんじゃ、ここもテンプレか……」
僕の方を見て口をパクパクさせているけど何も聞こえないから何を言ってるのか分からないな。
「それでこやつに与えられる特典は全属性魔法適性……、こっちもテンプレじゃちと?はぁ……」
なんかため息つかれてるよ……、ごめん何を言ってるのか聞こえないんだよ。あと眉間に皺寄ってますよ?
「つまらん、実につまらん」
うわっ! 怒られたっ! 声は聞こえないけど迫力が凄い! 特にその揺れる胸!
「第一そんなんじゃ、金持ちだからキープみたいな女ばかり寄って来るんじゃぞ?」
もうすぐで見えると思ったら胸隠されちゃった。しかもなんか説教されてるっぽい。
「もっと泥臭く生きて這い上がっていくほうが運命を共にする相手と出会えて面白いじゃろうに」
もしかして心を読まれている?。
「そうだ、こやつの能力は泥にしよう」
あっ……、明るい顔になった、そうみたい。
「くっ……、ポイントが余っとる。えーい泥に全ツッパするのじゃっ!」
そっか、セクハラっぽい事を考えちゃったから注意してたんだね。ごねん。でもしかたないよ。こんなに綺麗な女性がセクシーな格好をしてるんだからさ。
「カンストさせても残るじゃと?こやつかなり善人だったようじゃの。ふーむ……、余りは運で帳尻合わせとくか。じゃあ行って来るんじゃ!」
あっ……、超いい顔……。この顔超好き……。異世界チート能力は頑張った分ちゃんと成長出来るような才能とかが良いと思っていたけど、女神様と一緒に異世界に行くとかダメ?
「ふぅ……、これで良し。さて次の奴は……、浮気相手とドライブ旅行中に煽り運転助してハンドル操作を誤って事故死?屑じゃのぅ……」
あぁ横向かれちゃった。視界も暗くなっていく……。ダメなんだね……。でも女神様の笑顔……、ずっと覚えていたい……。
△△△
転生するにしても胎児の状態から意識あるって超意味不明。めちゃくちゃ退屈な時間が続くんだ。ずっと真っ暗だしさ。
母さんの心臓の音が理解できるようになるまで、そういう地獄に送られたんだと思ったよ。
みるみる体が成長していって手足を頑張れば動かせるようになったけど動かし過ぎて逆子になって死産とかなりたく無かったから大人しくしてた。異世界転生したと信じて、何かモヤモヤ感じる温かいものを魔力だと信じて体に巡らせるような感じで瞑想してたよ。前世でも、そういう努力系のラノベが好きだったんだよね。
でも、そうやっていたら、何か周囲が狭く感じるようになってさ。それでさすがに苦しいって思うようになった頃にめちゃくちゃ締め付けられてさ。
もう限界死ぬ〜っ思ったら急に明るくなったんだ。でも超苦しいのが続いてたわけ、所謂呼吸の方法が分からなくて窒息寸前だったんだろうね。
でも口に何か突っ込まれてさかさまにされたあと、めちゃくちゃ尻を叩かれてさ。「痛いわボケー!」って感じに叫んだんだよ。そしたら肺に初めて空気が入って超激痛。タバコを最初に吸ってむせるの何百倍の奴が襲ってきた感じだよ。でも窒息があけて苦しいのは楽になっていたけどさ。
結局泣いて疲れて寝落ちして、起きたら肺がめっちゃ痛くて泣いて叫んで疲れて寝落ちしてって奴を繰り返していたんだ。
あと目を開けると滅茶苦茶眩し過ぎるのが意味不明。「目がぁぁぁ、目がぁぁぁ」って叫ぶ感じで泣いて疲れて寝落ち。そりゃ今まで瞼あけようが閉じようが真っ暗だったんだからさ。そりゃ急に明るいところに放り出されたら、3分待った後の天空城の主になっちゃうのは仕方ないよね。
結局安らぐ時は母さんのオッパイにむしゃぶりついていた時だけだよ。
何で赤ん坊が泣く叫び続けるのかとか、母乳飲んでる時だけ大人しくなるのかとか、大人になってもオッパイが魂レベルで好きなのか良く分かったよ。こうやってパブロフされちゃってるだよ。あれをシャブればキマるぜってさ。薬ダメ絶対。
そんな肺の痛さと目の眩しさに慣れたあとはのびのび動かせるようになった手足の運動だよ。
見て聞いて学ばないのかって?いや全然目の焦点が合わないし耳もぼんやりとしか聞こえないんだよ。母さんのお腹の中にいた時はちゃんと聞こえてたのにね。
一応、ボヤーッとした輪郭ぐらいは分かっていた。話しかけられてるな〜とも思うよ?でも顔に表情もうまく動かせないし声もうまく発声できない。意思の疎通は口から息を吐いて音っぽいものを出してるだけ、会話なんて無理無理かたつむりですわ。
まぁ、そうするとボヤーっとした輪郭がめっちゃ動いて話しかけて来るから喜んでるんだろうなって感じぐらいは分かるよ?
でも声を出すって滅茶苦茶疲れるんだよ。あとお腹が超空く。それだけは本能で分かる。だから「おっぱいを所望するっ!」って気持ちで叫ぶと抱っこされて貰えるんだ。たまに「ちょっとお尻のあたりが気持ち悪いんですけど」って叫んでもおっぱいと勘違いされるんだよね。言葉が叫ぶしかないって大変。
あとおっぱい飲むのは凄い疲れる。だって全力で飲むと呼吸出来ないじゃん?鼻だけだと呼吸が疲れるじゃん。飲み方がまだ下手だから鼻にも入って来るしね。そして良く鼻が詰まるんだ。それでも飲まなきゃ空腹すぎて意識朦朧となるからね。だから全力で吸って、トントンされてゲップした時は息も絶えだえだよ。だからそのまま疲れて寝落ちしちゃうんだ。
赤ん坊が寝てばっかなのは仕方ない事なんだね。
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