第12話

狙いを定めて投げた玉は、すっぽりとカゴの中に納まっていく。


…案外ハードなのね、この競技。


屈んで地面に転がっている玉を拾わないとならないから、屈伸運動が辛い。


そういえば綾達の勝負はどうなっているんだろう。


自分がいくつ入れたのか数えてるんだろうかと、そんなことを考えていれば。




『出ました!一之瀬君のダンクシュートォォォォォ!これは凄い!でもバスケのゴールと違って案外脆いのでやめてください!』




放送委員長の力の籠った実況が耳に届く。


ダンクシュートって…!


いや、ちょっと見たかったと思ってしまう自分がいるけれど!


わぁわぁと盛り上がる陽乃のギャラリー。


入れた数はともかく、パフォーマンス的にはセナが勝ってる気がする。


と思っていれば。




「はっ。一之瀬にできるなら俺もできるに決まってンだろーが」




ガッと飛び上がって、力強く玉をカゴに叩き入れる綾。


わぁ、ダンクシュートなんて生で初めて見た。


さすが運動神経はすこぶるいい。




『おおおっ!藤代君のダンクシュートも綺麗に決まった!しかし何度も言いますが壊れるのでやめてくださいガチで!!』




実況にもますます力が入って、誰が聞いても必死だと分かる声色だ。

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