第26話

そして傍観体勢に入った私たちの視線の先で、不敵に笑った陽平は。




『じゃあいくぞ、愚民ども』




ちょ、えええええぇぇぇ!?


言っちゃった!


あの人ハッキリ『愚民』って言っちゃった!


どうしよう、陽平が身も心もキングになってる…。




「いつでも来やがれこのムッツリヤロウ!」



「ムッツリヤロウー!」




…うん。


なんか、チンピラとその子分A、みたいな。


どう足掻いても負けるような立ち位置だ。




『俺がムッツリだって言うなら、卑猥用語並べたてながら食材を流してもいいけど?』




キングご乱心…っ!


ちょ、陽平どうした…!?


てゆうか陽平の口から卑猥用語なんて聞きたくないんですけど…!




「昴…っ」




今日何度目になるか分からない助けを昴に求める。


すると彼は、一度軽くうなじをかいて。




「陽平、瞳の前ではやめとけ」




呆れたように、そう口にする。


そんな声で届くんだろうか、と思っていれば。




『うん、さすがに俺も瞳ちゃんがいるのに言わないよ。嫌われたくないしね』




完全にきこえたらしく、素直に引いてくれる陽平。


さすが昴、リアルキング…!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る