第16話

昴のおもしろ話を本当に聞きたいか。


どこか真剣な様子で聞かれ、数秒深く考え込んだ優斗は。




「…いや…、聞きたく、はないかなー…」




しどろもどろ。


視線を泳がせつつ頼りなく答える。


綾あたりは聞きたがるんじゃないかと思ったけれど、そういうワケでもなく。


なんだかんだ言いながら、みんな昴のイメージは壊したくないらしい。


そこは譲れない何かがあるらしい。


まぁ私もあんまり聞きたくないなと思ってたしいいんだけど。


なんとなく気まずくなった空気の中。




「じゃ、じゃあ次はヨウ君が自己紹介しなよー」




とりあえず流しとけ、的な感じで優斗が陽平に話題を振った。


瞬間、綾と奏が小さく安堵の息を吐いたのを私は見逃さなかった。


変な緊張感を味わいたくないなら、昴を下手に弄ろうとするのやめればいいのに。


そんな事を思いながら、“俺かー”と余裕気に零している陽平に視線を向ける。


私の視線に気付いた彼は、愛想よくにこりと笑って。




「俺も大して面白い話とか無いんだけど」




と、前振りをした後。




「3つ年上の姉がいるよ」




想像していたよりも予想外な情報を口にした。

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