アトリエ・ホワイトブリム。
猫の尻尾
第1話:謎のメイド。
俺の名前は「
以前の職業は刑事・・・とある事件に巻き込まれ負傷しそのせいでしばらく
記憶を失っていた。
眠りにつくとその悲惨な光景がフラッシュバックして眠れなくなる。
それがトラウマとなり警察を辞職せざるを得なくなった。
だから今は刑事の経験を活かして探偵まがいの興信所なんかしている。
ある日の昼過ぎ郊外の住宅地のとある一軒家に調査依頼の書類を持って
訪ねたその帰りだった。
あまりに穏やかで雰囲気がいい場所だったから、そのあたりを少し散策して
みようと歩いていたところ角を曲がったところに小さな庭があって庭の向こう
に、これまた小ぶりな洋館が建っていた。
だが一般家庭の佇まいじゃなかった。
いつからこんな場所に洋館なんかあったかと確かめてみるとなんと、そこは
「アトリエ・ホワイトブリム」って店名のメイドカフェだった。
メイドカフェなんて入ったこともなかったが、メイドと聞いて思い出した
ことがある。
それは俺が冒頭の事件に巻き込まれ負傷し病院に担がれ、しばらく記憶を
失っていた時、ようやくベッドで目を覚ますと俺のそばにひとりのメイドがいた。
俺の枕元にメイドが座っていて俺を心配そうに見ていた。
その子がメイドだって思ったのは、いわゆるヨーロッパの裕福な家庭に従事
してるようなメイドさん特有のエプロンドレスを着ていたからだ。
彼女は上品でいつも物静かで美しいメイドさんだった。
メイドさんの名前は「
だけど、どうして、どう言う言う理由でメイドさんが俺のそばにいるのか?
知り合いの女性にだって元カノだってメイドなんかいない。
病院で俺が記憶を失って眠っている間中、彼女は四六時中付き添ってくれて
いたらしい。
だけど誰が花梨を寄越したのか?
思い当たる人がひとりいた。
それは、その人がホームレスをやっていた時、俺と知り合った人だ。
その人は「
俺が駅にいたところに、その人がやって来てタバコを一本せがまれた。
それからも、その人と時々駅で顔を合わすうちよく話すようになった。
生きることに疲れ挫折したあげく親のあとを継いだ会社も家族も捨てて
その人は世間から逃げるようにホームレスになった。
だけど、俺と付き合うようになって彼は少しづつ生きることに希望を持ち始めた。
俺はポジティブな性格、トラウマを抱えていても元刑事、多少のことじゃ
くじけない。
その俺に感化されたのか、吉村さんはもう一度人生やり直してみようかって
生きる希望を持ってホームレスから足を洗った。
その後、吉村さんは順調よく会社を軌道に乗せ数年後にはいっぱしの富豪になった。
不慮の事件に遭遇したこともあって不便だろうと独り身の俺に花梨を寄こしたのは
吉村さんなんじゃないかと僕は思った。
ホームレス時代、俺が吉村さんを救ったお礼として。
病院から退院してマンションに帰って来た時もリハビリが必要だし、ろくに
家事もできない俺のためにと花梨は俺のマンションに残ってくれた。
入院していた時、病院では聞けなかったことを俺は花梨に聞いてみた。
「花梨、君はどこから来たの?誰の指示なの?」
「あなたのよくご存知の方のところからです・・・」
だけど、俺のよく知ってるその人、吉村さんはもうこの世にはいないんだと
花梨に聞かされた。
花梨を俺のところに寄こしたあと吉村さんはあの世に旅立ったらしい。
だけど俺は花梨から気になることも聞かされた。
それは吉村さんの死がただの死じゃなく誰かに殺されたんじゃないかって
ことだった。
吉村さんの死因は脳梗塞ってことになってるらしいが、それが死の直接の
原因じゃなく他にあるって花梨は言う・・・でも今の所その根拠も証拠もない。
だが吉村さんは生前、花梨に「自分になにかあったら「
訪ねるように・・・「私は狙われいる身、おまえまで私の巻き添えを食ってはいかんからな・・・必ず訪ねるんだぞ」と言い聞かされていたらしい。
それで花梨は俺のところに来たのか?
じゃ〜吉村さんは誰かに殺されたって言うのか?
まあ、確かにホームレスをやめて商売を軌道に乗せる際に彼は反社との繋がりが
あったことは俺も知っている。
綺麗事だけじゃ金持ちになんかなれない・・・誰でも闇は抱えているもの、それは
分かっている。
俺だって正義のためって名のもとに刑事なんかやってたけど、刑事だって清廉潔白じゃ務まらない・・・反社とは敵対していても同じ穴のムジナ。
それはこの社会で生きて行く為にはしかたのないことだった。
吉村さんが花梨に言い残したことなはダイイングメッセージだったのかもしれない。
そして、そのことを俺に告げて俺の体が回復したことを確かめると花梨は、何も
言わず僕の前から姿を消した。
花梨がいなくなったことで、ビルの谷間に沈んで行く夕日を見るように俺の心に
も静かに夜がやって来た。
つづく。
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