雨が降っていた。

 強く、冷たい雨が。

 まるで、闇が零れて落ちてくるような雨だった。


 文字通りに凍えるような寒さの中で、きっとあと数時間もすればみぞれか雪に変わるに違いない。

 大量の雨水に洗われ、土の中から黒い棺が姿を現す。

 棺の中で、少女は数を数えていた。


「百、百、百……」


 闇の中から、また、死がやってくる。

 彼女の思考を止めにやってくる。


「百……ひゃ……くぅぅ…………はぁっ」


 耳を澄ませると天井を叩く雨の音が聞こえた。

 繰り返される百回の死の中で、そんな事は一度もなかったのに。

 次は……百一回目、だ。

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