第7話 勇者のちから


 シャルロットの成長は凄まじい。

 1ヶ月もすると、ハイハイを始めた。


 言葉も覚え始めた。


 だから、話しかけてみる。


 「シャル。前世のことは覚えているか」


 シャルはベビーベッドに寝たまま言った。


 「忘れる訳ないだろ」


 おいおい、随分と滑舌がいいなあ。

 俺の名前も呼ばせてみよう。


 「しゃる。俺の名前も呼んでみろ。ジルベルトだ。難しかったらジルでもいいぞ」


 すると、シャルがモゾモゾとしはじめた。


 「じっ、じー、じーぃべる」


 頑張ってる。

 たとえ元勇者であっても赤子は可愛い。


 やがて、シャルはあきらめたらしく、一言いった。



 「……ソチン」



 「……」



 すると、横で聞いていたルルが言った。


 「あるじさまのソチンを知ってるとは。やはり、夜の運動会で?!」


 ルルは俺の手を握るといった。


 「あるじさま。大丈夫。ルルの愛は、粗末なイチモツだったとしても壊れません。だから、泣かないで」


 いやいや。

 泣いてないし、粗末でもないし。


 ほんと、お前ら。

 揃いも揃って失礼なヤツだな。


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