第2幕-信じるか信じないかはあなた次第
「亡くなった?…本当に、私が?」
震える声で、もう一度尋ねる。どうか、悪い夢であって欲しいという気持ちを込める。
今、自分に何が起こっているのか、まったく飲み込めない。
手は震えているけど、動く。
足もしっかりある。
ついさっきまでの平穏な日常が、遠く霞んで見える。
「だって、私まだ……卒業式も、これからだったし……。社会人になるのも楽しみにしてた。あのスタバの新作だって、来月からの新ドラマだって……」
呟きながら、冷たくなった手のひらを握りしめる。胸が締めつけられるように苦しい。
お母さん。お父さん。
ハッと2人の顔が浮かんだ。
――悲しむだろうな。
なんて親不孝なんだろう。
"現世と次の世界のスキマ"
目の前にいる存在が静かに告げたその言葉をもう一度反芻し、整理する。
「なんなの?ここ…無理だよ、わかんない…いきなり言われても…だって、死んだって…何で…」
話しているうちに声が上擦り、涙交じりになる。
作り話みたいだ。でも、目の前にいるこの異質な存在は、どう考えても現実的じゃない。
慰めるようなトーンで、彼が静かに答える。
「不慮の事故でした。」
その言葉が、頭の中に響いた。
——事故。
言葉のピースが、じわじわと繋がっていく。やっと理解が追いついてきた。
「あぁ…」
どうしてこうなったのか。信じたくないけど、どこかでわかってしまっている自分もいる。
そんなユイナに、彼は続けて語りかける。
「ここは、あなたの辿った人生が上映される、あなたが主人公の映画館です。」
人生。始めから終わりまでの、22年間。
その人生がもう一度見れる?
「また、選ばなかった“もしもの人生”もご覧いただけます。」
“もしも”の選ばなかった人生?
「人生は選択の連続…。あの時、こうしていたら…ああしていれば…と思ったことはありませんか?ここでは、その“もしも”の先も、観ることができるのです。」
そんなことあり得ない。
けど、ここでは通用しないのがわかる。死後の世界の理はわからない。
考える気力もなかった。
「……そんなの見て、なんの意味があるの?」
思わず口をついてでた言葉。答えなんてないのかもしれない。勢いに任せてさらに重ねる。
「過去を振り返って何になるの?
“もしも”の世界を見て、何が変わるの?」
「意味があるのか、ないのか、それは見てから決めてください。」
目の前の青年が半ば突き放すように言う。
緑色の瞳が、冷たく光る。
少しの沈黙と間。
それから、やっと口を開いた。
「…じゃあ、見るしかないんだね?」
声に覚悟が滲む。
受け入れる以外ない。少しだけ肩の力が抜けた。
そう決めたら、もう迷わないことにした。
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ご覧いただき、ありがとうございました。
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