第2話 ヒトコワ 無敵の人

落語家ともうしましても昔風の話

講談、浪曲、長唄、三味線など師匠から言われて習ったもんでございます。

怪談師と振り返りますと城谷渉さん

劇団、落語を極めまして独特の「城谷怪談」を確立なさった。

小生も芸の肥やしにとグリークラブ、まぁコーラスみたいなもんでございます。

ゴスペルやアメリカのポップスを英語で歌う。

「GLEE」という学園コメデイでかかった曲という縛りが一応あります

これをかれこれ10年は続けている。

メンバーは男一人であとは女性ばかり

こう聞くとハーレムなんかじゃないかと羨ましがられるんですが・・・

さにあらず生来の奥手で素人童貞といえるわちきにはハードルが高いわけで

どうしても下から入って笑いをとるというポジションに甘んじております。

それが「新開地音楽祭」に出演するとなる

そうなると番宣の写真をとろうとなった。

統一カラーは「赤」

そんなもの普段着でもってはいない。

おのずと百着ほどあるコスプレの中からチョイスになってしまいます。

ご存じかもしれませんが「賭けグルイ」の「私立桜花鳳学園」の制服

これなら赤だ。

ちょうどダークダックスとかのムーディ歌謡のメンバーに見えなくないですかね。

それを着こみまして(現地に着替えるのは面倒くさい)

自宅から市バス2系統で元町のスタジオに向かったとお思いください。


「おれはなぁ死んでもいいんじゃ!

この世の中、しょうもない、誰か道連れにして死んでやろうか?

お前殺したろか!」

いきまいてる輩がいる。

左側の優先座席だ。

顔はテリー伊藤を貧相にしたヤツだと思って下さい。

怖がって誰も隣の優先座席に座れない。

おじいさん、おばぁさんが立っている。


迷惑だ。

まだ大声をだしてわめいている。

運転手さんも再三注意しているが馬耳東風だ・・・


立っているおばぁさんに

「おかあさんここに座ってください」

「まぁすいませんねぇ・・・」

と席を譲る。やれやれ有難いという。


わちきも肚をすえたよ。

「おいお兄さんよ、わめくなよ、ここは公共交通機関だ・・・黙って座っていな」

と啖呵を切った。向こうも黙っちゃいません。

「おまえ誰や!うるさいわ!!殺したろか?!」もっと大声になった!

「問われて名乗るもおこがましいが「アーサー・フレック」といいます」

「アーサー?外国人か?ロスケか?クルドかぁ?ボケが日本でウロチョロするな!」

「ジョーカーといえばわかりますか?」

車内で何人がクスクス笑っている。

ワチキの洒落がわかったらしい・・・

「なんや知らんわ」

こいつ本当に知らないのか?

いい年にもなってバットマンのジョーカーも知らんとはどんな青春送ったんや・・・「わたしはね人を三人以上殺してるんですよ・・・ウェイン財団の社員二人を地下鉄で

テレビの司会者マレー・フランクリンのロバート・デニーロを銃で殺してるんです。

じゃあななんで今ここにいるのか?娑婆に出ているのか?

アーカムアサイラムという精神病院で「責任能力なし」と診断されたんです。

これがどういう事がわかりますか?

一呼吸おく

「おまえをボコボコにしても罪にはならんという事や!!」

わちきは殴られました。

盛大に吹っ飛びましたよ・・・半分は演技ですが・・・

「みなさん御覧になりましたか?

10月15日午前10時25分30秒

こいつが先に手を出したの見ましたよね!

証言してくださいよ!!!」

こちらが反撃しようとしたら「野崎通6丁目」から人がたくさん乗ってきて

もみくちゃになった。

わちきも後部座席の方に押し出されたんですが・・・


やつは三ノ宮で降りました。

別の奴とからんで喧嘩しながら降りていきました。


わちきは車内から降り際「キャハハハハハハッハッハ」と

思いっきり高笑いしてやりました。


奴に聞こえたかどうか・・・そんなこたぁどうでもいいんだ


溜飲は下げはしたが・・・はたしてこれはプラクティカルジークになるのか?

赤い背広、黒いシャツ、黄色いネクタイしてるんだ・・・


ルパン三世だって!失敬な!!


こんな事、許されますよね。

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