第14話



名倉先生が出たあと、早速上条さんが転入生の櫻井さんの席へ歩いてくる。


相変わらず取り巻きを連れていたけどね。


まるで金魚の糞みたい、と思うのは閉まっておく。



「初めまして。あたし、上条早桜と言うの。そこの二人は上川愛理に、西條水海よ。」


上条さんの後ろには二人の女子生徒がいて、自己紹介をしている。


後ろにいた二人は顔を見合わせて軽く頭を下げていた。



上条早桜さんが来た事によって、転入生の櫻井さんは椅子から立ち上がった。



「初めまして。これから宜しくお願いします。此処に来て、まだ日が浅いので何もかもわからないんです。」



「……………そう。まだ日が浅いのね、教えてあげる。あの彼女には近づかない方がいいわ、男を見ると色目を使うから気をつけた方がいいわよ?ねぇ、水無月さん?」


転入生の櫻井さんから何故か私へと指を指してくる。



″なんだよー、男に色目って。″


″えー?水無月さんっておとなしく見えるのに意外よね。″



ヒソヒソと私を見て何やら話している外野達。



すみません。


いつ、私が男に色目を使いましたか?


今朝の事かしら。


まあ、反論しても、ぎゃあぎゃあ騒ぐから言わないでおこう。



駄目だよ、夏穂ちゃん。


夏穂ちゃんが反論をしようと口を開くが見えたけど無言で首を振る。



「.........仲が良い事。でもね、如月さん。あなた、水無月さんの情報を知らないわよね。」


私と夏穂ちゃんのやり取りを見た上条さんはフンと鼻を鳴らした。



「まあ。面白そう!!」



え?


私だけじゃない。


夏穂ちゃんやクラスメートも驚いたように櫻井さんを見る。



「上条早桜さんでしたよね?」


「あ、は、はい。」


予想しない問いかけに上条さんも驚いている。  



「なんて素敵!!仲良くしましょう。お友達になってくれるかしら?」


両手を合わせて笑う彼女の後ろには満開の薔薇が咲いている、ような錯覚さえ見えてしまう。



″マジかよww″


″人は見かけによらないな。″


″上条と同じ類って事か。″



櫻井さんの意外な反応に男子生徒からは嫌味が聞こえてきた。


そんな事を気にしないのか。


櫻井さんは、とびっきりの笑顔で上条さんに握手を求めるように手を差し出している。



見惚れるような笑顔に上条さん一瞬拍子抜けをしていた。


しかし。


「宜しくね?あたしと仲良くしたら怖いものなんてないから。なんていったって親が市議員の偉い人だもの。大丈夫、あたしが守ってあげるわ。」


ガシっと両手を揃えて握手をしている。



ふふふと高笑いをした上条さんは何故かまたもや私を見る。



「やっぱり、私の魅力がわかる人は寄ってくる。ほら、ごらんなさい。簡単に転入生まで味方よ。可哀想な水無月さん、もう好き勝手は出来無いわね。」


勝ち誇った笑みに唖然としてしまった。



あ、そうですか。


好き勝手なんてしていませんが。


しかし。


本当に人は見た目によらないのね。



チラリと櫻井さんを見る。


その時に何故かぞくりと鳥肌の立つのを感じてしまう。



何故なら、櫻井さんの瞳がまたもや紅くなっていた。



今度は見間違いじゃないよね?


たぶん。



念の為、目をゴシゴシと掌で擦ってみる。




「どうしたの?目が痒いなら洗ってこれば?水無月さん。」


冷たい声に掌を放して、ゆっくり目を開ける。


声を掛けたのは上条さんで、おそるおそる櫻井さんへ視線を向けてみる。



再び見る彼女の瞳は茶色に近い黒になっていた。



見間違い?


二度も?


疲れているのかな。




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