第一話 警視庁 捜査一課
「·····さん。志鷹さん」
志鷹は誰かに呼ばれる声とユサユサと左右に揺さぶられ、意識が徐々に戻っていく。
顔を上げ、視線を巡らせ自分が勤務先である警視庁捜査一課にある自分のデスクに顔を伏せて眠ってしまっていたことに気がついた。
「大丈夫ですか?」
横で声がし目を向けると、心配そうなでもどこか困ったような表情を浮かべた
「悪い…寝ちまったか」
志鷹は欠伸を噛み殺す。
「珍しいですね。志鷹さんが居眠りなんて」
「あぁ。事件に進展なくて色々と歩き回ってるからな」
志鷹は頭をガシガシと掻いた時、チラッと先ほど見た夢が頭を掠め、苦い顔をした。
「そんなお疲れなところ申し訳ないんですが」
そう申し訳なさそうに佐倉は続けた。
「そろそろ捜査会議はじまりますよ」
「わかった」
志鷹は席を立ちと、二人で会議室に向かった。
適当な席に座り待っていると、数名の人が入ってきた。
周りが立ち上がるのに合わせて、志鷹と佐倉も立ち上がった。
「敬礼!」
志鷹は敬礼すると座れという号令で座った。
「それでは捜査会議をはじめる。まずは必要ないとは思うが、今回の連続爆発殺人事件の概要だけ話しておく。ことの発端は7月12日に
説明する男は苦い顔をした。
「その後、9月3日に山口健一、21日に
ゴンゴンとイラついたように黒板を叩く男に、志鷹は眉間に皺を寄せる。
「で、今月になって1日に吾妻光輝が12日にそのご両親の圭吾さんと
男たちが去ると志鷹はパタンと手帳を閉じ、ふぅと息を吐いた。
「お疲れ様です。これからどうします?昨日の予定通り、吾妻宅に行きます?」
佐倉は志鷹にキビキビとした足取りで近づき、志鷹に尋ねた。
頭をカリカリと掻くと、志鷹は佐倉を見た。
「そうだな。吾妻宅に行って聞き込みするか」
「そうですか。ならこれを」
そう言い、銀色かかった鍵を志鷹に差し出した。
「これは?」
志鷹は眉間にくっきり皺を寄せる。
「何言ってるんですか?」
佐倉は眉を顰めた。
「吾妻夫妻の家の鍵ですよ。昨日、大家さんの所に行って、預かってきたじゃないですか·····。どうしたんです?今日はやけにぼーっとしてません?大丈夫ですか?」
心配するような目つきを佐倉は志鷹に向けていた。
「大丈夫だ。」
志鷹は苦笑いをする。
「お前も来るか?」
志鷹は聞きながら鍵を受け取った。
「すみません。俺はちょっと調べ物があるので今日はここにいます」
佐倉は申し訳なさそうに頭にてを当てた。
「そうか。無理するなよ」
ポンと佐倉の肩を叩き、志鷹はコートを手に、署をあとにした。
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