第12話 天気が悪くても、やることを探せ

会社に入って最初の赴任先が、「岐阜」と言われても、織田信長、長良川、鮎、鵜飼、関ヶ原、柳瀬ぐらいしか知らない。私は、当時、岐阜営業所の新人育成テリトリーである山県郡、美濃市、郡上郡の担当をした。山坂道が多く、パワーのある我が社の製品がよく売れた。よって、販売市場シェアは、NO1。系列店も多く、新人を育成するには持ってこいの市場です。


各店主はセールスマン育成の使命を理解していました。変化があれば、「所長に電話」です。無理難題を言ってどのように判断するのか?上司との社内交渉はできるのか?

小切手、クレジットの回収が正確にできるのか?部品を注文しても間違えないか?

諸々の営業業務のノウハウを鍛えてくれた。最初は、部品の注文も出来ない新人が、どんどんと営業マンに変って行く。


時が過ぎれば、「買ってください」と商談もできるようになる。自社業務がある程度できるようになると、競合他社の質問、政治・経済の質問、ニュースは、芸能から流行まで、質問を通じて鍛えてくれる。嬉しい限りです。結果は1人前の営業マンに変って行くのです。


私にとっての最難関は「雪」です。バイクの営業なのに、天気には勝てません。どうしようもないと諦めていたら、「私たちは、天気なんて関係ないの。雨でも雪でも、未来に備えるの。」店主と奥さんの「激」が飛んで来たのを思い出します。


「雪は毎年降るの。4か月間何もしなくても給料貰えるのは、サラリーマンだけだよ。」奥さんは、お客様に挨拶手紙、防寒ウェアの案内、冬を越す車両点検の勧め等々、電話、DMの発送に大忙しです。「これをやっておくと春に成果がでるの。」


昨年までの社内会議で、「コロナだから売れません。」をよく聞いた。私は、奥さんの言葉を思い出し、「やる事を探せ」と呟くのみ。都会ばかりでマーケティング理論の学問ばかりでなく、田舎の“現場“を見て来いよと言いたくなるのは歳のせいか?

私の思うに、最近の営業はデジタル依存で、「お客様を知らない」「現場を知らない」見ているのが、商品ばかり。スマホで情報を掴んで結果を出す。あなたの熱がお客様に伝わっていますか?「やることを探せよ」

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