残月記
GT
プロローグ はじめと三すくみ
こことは違う異界の一国の国がこのお話の舞台である。
その国では人以外にも妖という、数こそ人の10分の1ではあるものの、不思議な術を使う異形者たちがおった。
彼らは長年敵対し続け、長い時を動乱に費やしてきた。しかし、そんな動乱を止める者。後に勇者などとも噂される者が現れた。
そいつはヒトであったがそれと同時に獣のような振る舞いでもあった。
肉体は鍛え上げられ、関節は縦横無尽。その体すべてを武具として扱うその姿は獣のごくし。それも虎の動きのような雰囲気であった。
そして、それについていく小さい術士の少女。戦力とはかなわぬものの戦乱の行く末を占い、勇者を導いていった。
その肉体妖なり。しかして強靭。その力無尽蔵なり。その術の種類、数多にて。その姿後光を浴びる。それが魔王だ。
その肉体鍛えられた。その力有限。術の類、持ち合わせず。その姿泥にまみれて。
しかし、その心。誰よりも気高く。その心歩みを止めること知らず。
それ。無限の進歩をもっていた。
二人は戦乱をかけていく。行く先など当に知れておると言うのに。
とある絶境の果てにある王宮。そこは何があったか豪炎に包まれ、その最奥三つの影あり。
大小様々。倒れる者が一つ。倒したもの一つ。それを見守る者一つ。
倒れる物の影は人一倍大きく、その姿は異形のそれであった。
倒したものは大きさこそ人並であるが、その瞳は朱く光り、その吐息は人のそれではなく、獲物をしとめた満身創痍の獣のそれであった。
見守る者は。何も起こさない。それは何かを呼び起こすものではない。
その光景から暫くの時が過ぎた頃であった。
人の集落の外れのボロ小屋。そこからこのお話は始まるのだ。
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