第八章『ひび割れた友情』



内田との関係も、ついに決定的に崩れた。


「お前さ、俺のこと見下してんだろ?」

居酒屋での、何気ない会話の最中に、内田が突然そう切り出してきた。


「お前、俺のこと“何も挑戦しないやつ”とか思ってんだろ。安定した仕事して、つまんねぇ人生だって」


「そんなこと——」


「俺が一番わかってんだよ、俺が凡人なことなんて。お前がたまに黙ってるとき、めちゃくちゃ優越感に浸ってんの、バレバレなんだよ」


悟は何も言えなかった。

反論できなかった。

なぜなら、内田の言葉は当たっていた。


彼は、内田の“普通さ”を見て、自分の“まだ何者かになれるかもしれない未完成さ”にしがみついていたのだ。


友達という言葉は、ただの錯覚だった。

二人とも、自分の立ち位置を保つために、互いを利用していたにすぎなかった。

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