【完結】もう人間に戻らなくていいかも?異世界で猫になったら毎日が天国でした!

栗パン

第一章:猫になりたい!猫になった?!

第1話 猫神、私の願いを叶えた!社畜やめたら、モチモチニャン!

 会社に行きたくない。

 働きたくない。

 できればもう、なーんにもしたくない。


 ……でも現実は、そんなに甘くない。


「はぁ……」


 私は今日もため息をつきながら、パソコンの前で死んだ魚のような目をしていた。


 自由に生きたい? そんなの無理無理。

 好きなことを仕事にする? 笑わせないで、って上司に一蹴されたばかりだ。

 夢を語れば「社会をなめるな」と説教され、恋をしようとすれば「年収は?」と鼻で笑われる。


 甘いものを食べれば「太るよ?」

 お酒を飲めば「翌日むくむよ?」


 推しは解散。

 しかも――たった6日遅れただけで、ラストライブの申し込みすらできなかった!


 そして実家の母からは、「もっとまともな仕事しなさい」なんて言われる始末。


 ……もう、全部が面倒くさい。


「せめて……猫になれたらなあ!」


 ぽつりと、思わず口にしてしまった。

 そのとき、私の膝の上では愛猫のカボチャが、のんびりと丸くなっていた。


「カボチャはいいよね。寝たいときに寝て、食べたいときに食べて……私も猫になりたいよ……」


 まるで愚痴を聞いてくれる友達のように、カボチャは「にゃあ」と一声鳴いた。


 その瞬間――

 世界が、ぐにゃりと歪んだ。


「えっ……な、なにこれ? ちょ、待って、嘘でしょ――!」


 次に目を開けたとき。

 私はもう――人間じゃなかった。


 ……なんだろう、この感じ。


 体がやけに軽い。

 いや、軽いというか――ない!?


 私はがばっと飛び起き……いや、正確には転がるようにして立ち上がった。

 目線がやたらと低い。しかも、なんだか体が……まるい?


「え、なにこれ……白い?」


 視線を落とすと、そこにはふわふわの白い毛が広がっていた。

 毛は長すぎず、どちらかというと短め。

 その下には、ほんのりピンク色の……皮膚?


 え、え、え、これ、まさか……私の体!?


 足元を見ると、そこには――


「……足、じゃない。え、爪? これ……肉球!?」


 ぷにぷにの赤い肉球が、ぽよんと膨らんでいる。

 指を曲げてみると、尖った爪がちょこっと顔を出した。


「……うそ、これ……どういう……」


 顔を触ると、ひょろっとした長い毛が指(というか爪)に触れた。


「ひげ……?」


 ここまできても、私はまだ事態を飲み込めずにいた。


 そんなとき――

 試しに声を出してみたら。


「……にゃん。」


「……」


「にゃ……にゃん!?」


 あまりにも可愛い自分の声に、思わず飛び上がった。

 わけがわからない。だけど、どう考えても……これは――


「あわわ……と、とにかく、鏡を……!」


 慌ててあたりを見回すと、そこには信じられない景色が広がっていた。


 青く澄み渡る空は、どこまでも高く、雲ひとつない。

 やわらかな陽ざしがぽかぽかと降り注ぎ、草原の緑を優しく照らしている。

 風はほんのりと甘く、草や花の匂いを運びながら、心地よく頬を撫でていく。

 耳をすませば、どこからか小鳥のさえずりが聞こえ、時折、遠くで「にゃ〜」と猫の声も混ざっていた。


 そして目の前には、陽光を受けてきらきらと輝く、澄んだ湖が広がっていた。

 水面は穏やかに波打ち、揺らめくたびに光を優しく散らしている。

 青い空も、緑の草原も、淡い金色の陽ざしも――

 すべてがその水に溶け込み、七色の水晶のように淡く、幻想的にきらめいていた。


 私は、しばらくその美しさに息を呑み、ただ見とれていた。


「うわっ、速っ!? なにこれ、私、めちゃくちゃ走れるんだけど!?」


 自分でも驚くほど軽やかに、私は草原を駆け抜け――


 そして、湖に映った自分の姿を見て、再び固まった。


「……ほんとに猫だ。」


 そこには、真っ白で、まるっとしていて、

 つぶらな瞳とピンクの肉球を持つ、超可愛い猫が映っていた。


 しかも、なんだかやけにまるまるしていて、もちもち感がすごい。

 思わず頬がゆるみかけたそのとき、ふと気づく。


「あれ……でも、ちょっと変じゃない?」


 湖面に映る私は、全身真っ白……かと思いきや、

 尾っぽだけ、ぽつんと黒い。


「えっ、なにこれ、私だけ……尾っぽ黒いの!? なんか、ちょっと笑えるんだけど……!」


 まるで「ここだけ間違えました」みたいな、ぽつんとした黒。


 可愛いけど、どこか妙に間抜けな感じがして、

 私は思わず小さく笑ってしまった。


「これって……もしかして、猫神様が私の願いを叶えてくれたってこと?」


 そんなことを考えていると――


「なにボサッとしてるのよ!早くしないと置いてくわよ!」


 突然、目の前にぽてぽてとしたオレンジと白のまだら模様の猫が現れた。

 大きなオレンジ色の瞳。頭には三角形の模様。そして、なにより――


「お腹……めっちゃでかい!?上半身の二倍……いや、二・五倍くらいあるかも!」

 思わず口にすると、その猫はむっとした顔でこちらを睨んできた。


「もしかして……カボチャ!? えええ!? そんなに太ってたっけ!?」


「失礼ね!この体型は努力の賜物よ!猫界では太っているほうが美しいんだから!」


「ははっ、なにそれ。声もやけに女の子っぽいし。やっぱり去勢したあと、性格変わったよね?」


「また失礼なこと言って……もういいわ、置いていくから!」


 ぷんすか怒りながら、カボチャは小さなお尻をぷりぷりと振りつつ、くるっと背を向けた。

 ……しかし、そのお尻の振り方が、思わず吹き出しそうになるほどコミカルだった。


「ぷっ……ちょ、カボチャ、そのお尻……振りすぎ〜!」


 笑いが止まらない。

 いや、待って。振りすぎどころじゃないよ、これ――もはや武器レベルなんだけど!?


「ひ、卑怯だよそのお尻……!可愛すぎて、もう、触らせてよ!モフモフさせて〜!」


 私は半分笑い泣きになりながら、必死にその後を追いかけた。


 ーーーーーー

 後書き:

 ここまで読んでくださってありがとうございます!

 猫になりたい気持ち、わかりますよね!?

 私も毎朝「働きたくない……猫になりたい……」って思いながら布団から出ています(出たくない)。


 そんな願いが叶って、モチモチの猫になって異世界でぷりぷりしていたら――

 たぶん私はカボチャみたいにめちゃくちゃ太ってしまうと思にゃんす〜

 どうぞ、次回もお楽しみに……にゃん!


 カボチャ様の写真もた〜っぷりまとめたよ!よかったら、ぜひ見てにゃん♪

 https://kakuyomu.jp/users/kuripumpkin/news/16818622174624046753

 ーーーーーー

 後書き②:

 この小説は、私にとって「癒し」をテーマにした物語です。

 自分自身を癒したいと思って書き始めたんですが、気づけばすごく楽しくなってきて……

 だから、読んでくださるあなたにも、少しでも癒しを届けられたらいいなと心から願っています。

 そして毎話、私が撮った猫ちゃんの写真を添えています!第4話からはなんと、動画も登場しますよ〜!ぜひ見てくださいね、超かわいいにゃん♡

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