その12:兄妹ちゃんはおしまい?(前編)
「どうして……こうなった………」
朝、布団の中で違和感を感じて目が覚めた。何だろこれ。やっぱり風邪でも引いたかな? 隣で寝ているはずのヨリに声を……あれ? これ、ヨリのベッドじゃん。でも僕、確かに昨日の夕食後からちょっと具合悪くて、早く寝たんでヨリとはいちゃいちゃしていないはずなんだけど……そして僕のベッドは空だ。
ヨリはどこ行ったんだ?
リーマ姫は、お母さんの王妃様に、国境までお見送りでついて行ったので、帰りは明日くらいだろう。でも、ノアナさんはいるかな? なんかおかゆでも作ってもらおうかな。
そう思って一階に下り、キッチンでノアナさんを発見した。
「あー、ノアナさんおはよう。悪いんだけど何か、おかゆみたいの……」
「あっ、ヨリさん。おはようございます!!」確かにノアナさんはそう言った。
「えっ? ノアナさん寝ぼけてるの? 僕だよ?」
「はいっ? ヨリさんこそ何ふざけているんですか? お兄さんの口真似して。この間は、私を道端に放置して帰られましたし……私をからかうのもいい加減にして下さいよ」
「?? あの、ノアナさん。もしかしてノアナさんには、僕がヨリに見えてる?」
「まったく、本当にいい加減にして下さい。その可愛らしいベビードールを着ている女性が、ヨリさんでなければ誰なんですか?」
「はいぃ!?」
僕は、慌てて風呂場に行き、姿見に自分の姿を映した。
「はは……ヨリだ……僕、ヨリになってる……」
これって、もしかして……王妃様のお土産のあの秘薬か?
僕には、ヨリが笑いをこらえて腹を抱えている姿が見えた様な気がした。
◇◇◇
「えー。それじゃ、この私の目の前にいらっしゃるヨリさんの、中の人がお兄さん!?」
僕が何回も説明して、ようやく事態を理解してくれたノアナさんが驚いている。
そりゃそうだ。僕だってビックリだよ。
「それで、ヨリ。いや僕の恰好をしたヨリはどこ行ったんだ? さっさととっ掴まえて、元に戻さなきゃ」
「私が朝起きた時は、すでに見当たりませんでしたね。ヨリさんの事ですから、お兄さんの身体で、好き勝手やって来そうですが……あー、でも中身がお兄さんだと思うと、身体がヨリさんでもイチャイチャしたくなっちゃいますね。でも掴むところが……胸しかないか」ノアナさんが変な事を口走ってる。
そしてその時僕は、重大な事に気が付いた。そう……男女入れ替わりラブコメの定番。おトイレに行きたくなったのだ。しかも大きい方。
しかぁし! いまさらである。実の妹ではあるが、僕はヨリといちゃラブし、舐めまわし、排泄行為までこの目でしかと見届けて来たんだぞ。おトイレくらい……そう意を決してトイレに行き、おもむろに下着を……って、あ、そうだ。こいつ寝る時ぱんつ履かない主義だった。僕はベビードールの裾を優雅に持ち上げ、便座に腰かけ、ふんっと気張る。
はあー。めちゃくちゃ緊張した。だが、女性が男性の数倍敏感だというのは何となく体感出来た様な気がする。お尻拭こうとしただけなのに……
こうして第一関門を突破し、僕はノアナさんに告げた。
「早く、ヨリを捕まえなきゃ。放っておいたら、僕が性犯罪者で指名手配されかねない。街に探しに出るから、ノアナさんも手伝って!」
そして身支度をして、街に向かおうとしたのだが、そこで第二関門。
女の子の下着ってなんでこんなにめんどくさいの……いつもは脱がす専門なので、こういう時は困るな。ノアナさんを呼んで装着の指南を受けながら、なんとかブラを装着し、ブラウスとホットパンツも身に付けたところで一応、ヨリとして恥ずかしくない恰好である事を確認してもらった。変な恰好でうろついていたら、後で絶対お仕置きされる……
当然、最初はギルドを目指す。一番情報を集めやすいし、僕の予測だと多分……
「こんちわー。ヨリ……じゃなくてお兄さんいますかー」
「あー、ヨリさん。お兄さんは朝、ここのオープンと同時に立ち寄ったんだけど……」
受付の人がなんか言葉尻を濁しているが、こういう時の僕のヨミは鋭い。
「カミーユさんでしょ? 判かってるら白状して!」
「あはー。やっぱりバレちゃってるのね。お兄さん、朝一でカミーユさん連れ出して……なんかものすごく興奮してたみたいだから、ちょっと精を抜いてもらうつもりだったのかもー。でも、ヨリちゃん。あんまりひどい事しちゃだめよ。サキュバスが精を貰うのは、お仕事なんだからー」
やっぱり最初にカミーユさんの所に来たか。予想通りだな。
はいはいと適当に答えてギルドを出た。くそ、二人でどこにシケ込んだ!
このままじゃ、僕はカミーユさんと……いや、実態は僕じゃないけど、僕の身体が……と言うか、正直なところ、僕は今までヨリ以外の女性と関係した事がない。何度もピンチになって、触られまくったりはしたが最後まで行った事はない、見事な一穴主義者だ!
だが、このままヨリが僕の身体で、あちこちの女性と関係しまくったら……僕は、何かとっても損をしていないか?
いっその事、僕もこのヨリの身体で淫行しまくろうかな。だが……そうなると、僕は男に凌辱される事になるのか? いやいや、僕、その
「ねえノアナさん。スキルの魔導探査とかでヨリの居場所分からない?」
「はあ。ヨリさん見たいにうまくは出来ないと思いますが、やってみますね。あっ、でもそっか。この場合、ヨリさんの気配を探すのか、お兄さんの気配を探すのか……どっちなんでしょ?」
「いやー。どうなるんだろ? とりあえず順番にお願いします」
そしてノアナさんがまずヨリで探したら、僕がヒットした。なるほど魔導探査は、肉体の方を探知するんだ。こんな事でもなければ気にもしない仕様だけど……そして僕を探査してもらったら、どうやら引っかかった様だ。
「近いです。ギルドの裏ですね」そう言うノアナさんの後をついてギルドの建物の裏に回った。なるほど、冒険者用の仮宿舎か。カミーユさんならここは自由に使えるよな。
そのままノアナさんに続いて建物に入る。
「この部屋ですね」確かに、中に人の気配はする。
「それじゃ、遠慮なく踏み込みましょう!」
そう言って、戸口を蹴り上げ中に入ると……それほど大きくはない部屋の真ん中に椅子があり、そこに僕が裸で座っている。そしてその足元には床に膝をついた、これまた裸のカミーユさんが……うわっ、僕をくわえてるっ!?
「はわわ……」ノアナさんが慌てて、僕の後ろに引っ込んだ。
すると、「んっ!」と声がして……どうやら僕は、自分のイキ顔を第三者視点で、まざまざと見せつけられた様だ。
⇒後編へGo!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます