Ep19:爆弾の謎(真相への接近)
星見小学校の文化祭終了直後、星見キッズが発見した「校内に爆弾を設置した」と書かれた犯行文は、偽物と判明した。
しかし、図書室の黒い箱、「学校の心臓」と書かれた紙切れ、背の高い人影の映像が新たな謎を投げかけていた。ホールで待機する中、シュウたちは次の行動を決めた。
「偽物でも、犯行文と人影は脅しじゃない。S.M.の手がかりを追おう」
夕方5時15分、夕陽が校舎をオレンジ色に染める中、シュウとカナエは図書室に戻った。
黒い箱の周囲を詳しく調べると、箱の裏に小さな紙片が貼り付いていた。「『S.M.』って文字が!」シュウが懐中電灯で照らして確認した。
「S.M.? 誰かのイニシャル? 松本くんは『S.S.』だよね」カナエが目を丸くした。
「うん、別人だ。犯人の手がかりだと思う」シュウがノートに書き込み、紙片をビニール袋に入れた。
一方、ケンタとリナは2階の音楽室でピアノの下に伸びるコードを再調査していた。
リナがスケッチブックにコードの位置を書きながら言った。
「このコード、壁の裏に繋がってる。怪しいね」
「引き抜いてみようか?」ケンタが手を伸ばした。
「待って、危ない! 写真だけ撮って、警察に報告しよう」リナが慌てて止めた。ケンタがスマホで撮影し、シュウに連絡した。
「シュウ、音楽室のコード、壁に繋がってる! 何か隠れてるかも」
「分かった、触らないで。僕たちも図書室でS.M.の紙片を見つけた。体育館裏に移動するから合流しよう」シュウが電話で指示した。
タクミは技術室でカメラ映像をさらに解析していた。
4時40分頃、校舎裏に現れた背の高い人影が体育館裏に移動する瞬間を捉えた。
「シュウ、映像に進展! 人影が体育館裏に消えた。そこを調べたら何かあるかも」
「了解、タクミ。みんなで体育館裏へ行くよ」シュウが仲間たちに呼びかけた。
星見キッズは体育館裏に集まった。
文化祭のテントが片付けられ、夕闇が迫る中、ゴミ箱の裏に小さなバッグが捨てられていた。
シュウが懐中電灯で照らすと、バッグには黒いフード付きジャケットが入っていた。
「これ、人影が着てた服だ!」
「シュウ、ジャケットのポケットに何か入ってる!」カナエが近づいて言った。
ポケットから紙切れが出てきた。
「次はお前たちの番だ。――S.M.」と書かれていた。
「またS.M.! 犯人が僕たちを標的にしてる…」シュウが紙を手に震えた。
「シュウ、怖いよ…。何で僕たちなの?」リナがスケッチブックを握りしめた。
「林間学校の事件と繋がってる可能性がある。松本くんが逮捕されたことで、誰かが復讐に来たのかも」シュウが考え込んだ。
タクミがジャケットを調べ、タグに目を留めた。
「サイズはXL。背が高い人向けだ。タグに『S.M.』の刺繍がある…。犯人の名前か?」
「S.M.が本名か偽名か…。警察に分析を頼もう」ケンタが拳を握った。
佐藤刑事が駆けつけ、バッグと紙切れを確認した。
「重要証拠だ。『S.M.』を追跡する。君たちはよくやったが、これ以上は危険だ。帰宅させよう」
ホールに戻った星見キッズは、疲れ果てた表情で座った。
シュウがノートを開き、状況を整理した。
「『学校の心臓』は図書室を指し、偽物爆弾で僕たちを試した。S.M.という人物がジャケットと紙切れを残し、次はお前たちの番だと脅してきた。背の高い人影は体育館裏に消えた」
「シュウ、S.M.って誰だろう? 松本くんの知り合い?」カナエが不安そうに言った。
「松本くんは『S.S.』だ。S.M.は別人だと思う。林間学校の事件で何か恨みを持ったのか…」シュウが首をかしげた。
「映像の背の高さ、松本くんより少し大きいってことは、別の大人か?」タクミがタブレットを手に考え込んだ。
「可能性はある。ジャケットのDNAを警察に調べてもらえば、特定に近づけるかも」リナがスケッチブックにジャケットのスケッチを加えた。
「動機が分からないけど、僕たちを標的にしたのは確かだ。星見キッズ、次のステップで真相を追う」シュウが決意を込めて言った。
その夜、シュウたちは警察署に呼ばれた。佐藤刑事がジャケットのDNA鑑定結果を持ってきた。
「ジャケットのDNA、松本翔の兄、松本誠司(S.M.)と一致した。彼は20代後半、背が高い。松本翔の逮捕後、精神的に不安定だったらしい」
「松本くんの兄…。僕たちを恨んでる?」ケンタが驚いた。
「可能性が高い。誠司は弟が逮捕されたことで、君たちを逆恨みした可能性がある。だが、動機の詳細はまだ不明だ。彼の行方を追ってる」佐藤刑事が説明した。
「動機…。松本くんの事件とも繋がってる。兄が弟の復讐に来たなら、次はもっと危険かも」シュウがノートに書き込んだ。
夜が校舎を包み、星見キッズは新たな敵の影に立ち向かう覚悟を固めた。
(Ep19 完)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます