光の影
「ん? おかえりレオ〜」
「ゲッ、ただいま……」
「ゲッて何よ〜?」
あはは、とエミリーは笑う。二人が留まるには狭いアパートの入り口、
「ご飯はレイゾウコに入ってるから、勝手に食べちゃってね」
「もう、夜勤に行くのか……?」
「仕事のジュンビで一時間早出〜。でも、数千円手当てモラえるし〜」
「土日も休んでねーじゃん……」
「私は平気よ〜。それより、元気ないのはレオの方じゃな〜い?」
ギクッと
「卒業式、近いし……」
「あ〜、そうね。もう直ぐお別れってなるとサビしい気持ちにもなるか〜」
「あ……。今日も、ポッターが泊まりにくるから」
「分かったわ、タケちゃんとかリョウタ君、マサーシも来る感じ?」
「いや、ポッターだけで……」
「ふうん。あの三人、年明けからウチにゼンゼン来ないわね」
「進路の事で、色々忙しいっぽいから……」
「そっか。あ、バスの時間! じゃあ行ってきま〜す!」
エミリーはバタバタと出掛けていき、玄関のドアが閉まると家は
【もう、出てきて大丈夫でしょうか?】
いいよ、と
「えっ、お前水大丈夫なのか……⁉︎」
【今のワタシは少々不衛生ですので】
ロボットの猫が水浴びをする異様な光景を眺めつつ、
選んだ弁当をレンジに入れて
【田口様は、母子家庭でしょうか】
「おお、さすが最先端AIペットだ。見ただけで家族傾向が分かるってのはガチなんだなあ……」
【はい。おや、第四期個人住民税の納付が一ヶ月遅れています。このままでは、差押事前通知書が届く事になりますよ】
「ありがたいような、ありがたくないような機能出てきたぁ〜……」
またかー。と
「ほい、支払い……」
【残念ながら、ワタシには現金決済機能は備わっていませんので。納付書持参の上、金融機関またはコンビニエンスストアの窓口にてお支払い下さいませ】
「だよな〜。でも、オレの学費とかでもうちょい支払い遅れる事にはなりそうで……」
【それでしたら、役所との相談を推奨致します。分割での支払いも可能ですから】
「オレの母さん、日本語の読み書きが苦手なんだ。役所じゃ難しい言葉使われるのがオチだから、手紙で色々言われた方が楽っていうか……」
湯気を立てている焦げ猫は、シンクからジッと
【田口様と高柳様は、同じ学校のご友人でしょうか】
「そんな所。——でも
【中学三年生の二月末に交友を深めるとは、珍しい傾向ですね。お互い呼び方に不慣れな様子が見受けられたのも、これで納得しました】
「オレとポッ……
【なるほど、
「あいつフルネームで呼ばれるの、マジで
教養の
【名前が、嫌とは】
「ポッターん家、いいとこの地主で金持ちなんだよ。厳格親父に激若母ちゃんで、家族関係あんまよくないらしいけど……」
【お父様54歳、お母様36歳、年の差婚というものですね。所有されてる横浜の土地は地価も高く、安定した生活を期待できるでしょう】
「でも今って親父さん寝たきりで、母親は専属のイケメン介護士と家庭内浮気してるとか。そりゃあポッターも、家にいたくもなくなるわなって……」
ぽい、らしい、とか、
「とにかく! 飼い主の事はオレらに任せとけって」
帰宅して家庭の不穏な話ばかり続いていたせいか、
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