第3話-戦闘後、シンボルの意味

「これで全部か…………?」

 数分の間、レーザーを運良く抜けてきたU.D.Cを排除し続けた。

 目の前には死骸しがいが積まれ、動いている敵は見当たらない。

 

『U.D.Cの生体反応はない、殲滅完了だ』

 腕組み女性がそう答え、警戒を解く。


 応援2人はこちらへ来ながらヘルメットを外す。

 腕組み女性は肩にかかるくらいの髪で少し幼さが残る顔立ちだが、キリッとした目つきで只者ただものではないと分かる。


 一方のアスカさんだが、声だけでは分からなかったが女性だった。ベリーショートというのだろうか、髪はかなり短く中性的な顔立ち。耳にはピアスが何個か付いていた。

 なんと形容すべきか、ボキャブラリーが少ない俺には難しいがお姉様としか言えない。


「諸君、お互いにご苦労」

 腕組み女性から声をかけてきた。上からの物言いに、上官だと思わせる雰囲気もあった。

「ありがとうございました!」

「あまり気にしないでくれ、ここに一番近かったのがボクたちだっただけだ」

 謙遜までしてくるとは恐れ入る。これがエース部隊の余裕なのだろうか。

 

「あれくらい、2人で処理できただろう」

「……聞き捨てならねぇな」

 アスカさんの一言にアインが反応する。


「こちとら窓際部隊なんでね、お宅らみたいに強い武器は持ち合わせてないんですよ」

「……そんなつもりで言っていない」

 一触即発いっしょくそくはつの空気が流れる

 

「まぁまぁ2人共、とりあえずそのあたりで止めてもらえないかい? 本部にも連絡を入れるからさ」

『そうだよアインくん、ケンカはダメだよ?』

 腕組み女性の仲裁と、周防隊長の通信が間髪かんぱつ入れず入る。

 

「隊長! 今回の件、結局何が原因なんですか!?」

 アインがやり場のない怒りを、質問として隊長に向ける。

『今回の原因……それは君たちが見つけたシンボルにあるの』


 シンボルとは最初に報告を上げたマークの事だろう。

 結局あれは何だったのだろうか?少なくとも今回の件に無関係ではないだろう。

『あのシンボルは【再生の輪】って新興宗教のものでね』

 通信越しで周防隊長から説明を受ける。

 あのマークの意味、疎開先で起きること、アインと2人で息を飲みながら聞いていた。

 

『共有が遅れて本っ当に申し訳ない』

「何でこんな情報、隠してたんですか?」

 素朴な疑問をぶつける。危険は承知で任務に当たっているが、その危険な情報をなぜ共有していなかったのか?


『いやね、隊長会議で話題に上がってた……らしいんだけど、その会議に呼ばれてなくて。 マークは議事録で共有されたから、それを確認したところですぐに連絡したんだ』

 周防隊長はそう語った。……ホントだろうか?

 確かに窓際と呼ばれている部隊とはいえ、大事な会議に呼ばれないなんて事、あり得るのだろうか。


『いやぁ、僕も嫌われ者かな? なんにもしてないんだけどね……まぁ隊員の監理ができてなかった部分はいなめないけど』

 全てを把握してはいないが、先輩方せんぱいがた手綱たづなが握りきれていなかったのは確かなのだろう。


『とにかく無事でよかったよ! きらりちゃんたちもありがとう!』

「別に気にするな剣司。 近くで武装の実験を行ってたから、いいサンプルになった」

 きらりと呼ばれた女性が淡々と答える。


「あと、白閃はくせんの隊員」

「……? 俺のことですか?」

「そうだ、何故白閃はくせんを使わなかった?」

 聴き馴染みのない言葉に、頭の上で疑問符が出てしまう。

 

「…………もしかして飛ぶ斬撃のことですか?」

「そうだ、ジョニーの作った試作品の中で有用な部類だが、何故使わなかった?」

『威力調整がまだ上手くいってないっす!あと、ファーストネームで呼ぶの禁止っす!』

 デムさんが少し恥ずかしさや怒りを交えながら答えた。

 ……初めてデムさんのフルネームを知った気がする。


「そうだったか、ジョニー。 またデータを貰えれば有意義な談義でもできるが……」

「結構っす! オレの手で完成させるっすから!」

 きらりさんはデムさんと会話……と言えるかは曖昧あいまいだが、ただの知り合いではなさそうだ。

 

「ではそろそろ行こうアスカ、サテライトたちの調整もしないといけない」

「了解」


 装備を整えて、第1小隊の2人は来たときと同じように固有装備とリフターで去って行った。

「俺たちも戻ろう」

「あぁ、そうだな」

 俺たち2人も疎開先を後にした。


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